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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第三十六章 終業時間が来て

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第150話 時間に追われて

 誠が予想したとおり空気を読めるアメリアはおとなしくなった。誠達にはアメリアからの呼び出しもかからず何事も無く終業時間を迎えた。誠はここ最近の法術関連の事件のファイルを整理していた。そんな茜から渡された資料のまとめがようやく終わり、あとは最終チェックをするだけになっていた。隣の席で襟首のジャックに直接コードをつないでずっと音楽を聴いていたかなめが机から足を下ろした。


「さてと、今日も終わりか。カウラ、神前。着替えるぞ」 


 そう言うかなめに専用端末のキーボードをずっと叩いていたカウラが疲れたというように伸びをした。誠も端末のデータを保存する処理を行った後、軽くこった肩を叩いた。


「さてと、今日は寮の飯は……ロールキャベツだったよな」 


 そう言うとかなめがカウラの肩に手を乗せた。


「ロールキャベツねえ……なんだかパッとしねえな。神前、おごるから月島屋に行くってのはどうだ?」 


 かなめは非常に好き嫌いが多い質なのは有名だった。ロールキャベツのキャベツ。そして付け合せのにんじん。どちらもかなめの嫌いな食材だった。


「貴様のおごりならかまわないが……神前も行くだろ?」 


 普段の安心したような顔でカウラは誠に笑いかけた。


「ええ、悪いですねいつもおごってもらってばかりで」


 誠は月島屋では大体がランのツケで、それ以外の時はかなめのおごりで酒を飲んでいた。 


「決まりだな!じゃあ……」 


「待ちなさいよ!」 


 部屋を出ようとしたかなめの前にはアメリアが立ちはだかっていた。


「なんだよ。オメエはまた泊りか?ご苦労なこったな」 


 アメリアはそう言って彼女をすり抜けようとするかなめの肩をつかんだ。


「月島屋に行くつもりでしょ?私達にも……」 


「やなこった!なんでテメエなんかにおごらなきゃならねえんだよ!オメエにゃおもちゃにされてひどい目に遭ってうんざりしてるんだ。逆におごってもらいたい気分だね」 


 かなめはアメリアの顔にキスできるほど近づいてそう言った。


「そう言う割にはリンちゃんに鞭うたれてる時思わずかなり気持ち良くなってたみたいじゃないのもしかして……マゾに目覚めた?」


 どうしても仲間に入れてもらいたいアメリアはそう言ってかなめを刺激して激高させる戦略を取った。


「誰が気持ち良くなって……た。すまん。アタシもああなると気持ちよくなるんだって自覚した……アタシは『女王様』失格かな。痛みが快感に変わる瞬間ってあるんだなって思ってた。なるほどこうしてマゾは産まれるんだなあとか考えてた」


 突然、落ち込んだようにかなめはそう言ったのが周囲にとっては意外な反応だった。


「やはり姉妹ね、性癖はかえでちゃんと同じってわけ。じゃあ、おごりなさい!おごったら私が新『女王様』としてかなめちゃんを気持ちよくしてあげる!」


 一人動揺していなかったアメリアは高らかに命令口調でかなめにそう言った。


「気持ちよくなるのとおごるのは話が別だ!それにリンや家事使用人を責め慣れてるかえでと違って素人のオメエに鞭や縄の扱いが出来るとは思えねえ。あれはあれで慣れが必要なんだ。こんど、かえでに頼んで縛って鞭打ってもらおう。そしてそのままでかいアレを……」


 とんでもないことを言い出しかねなかったので誠は思わずかなめの口をふさいだ。


「分かったわよ!じゃあ、今日はご苦労さんと言うことで私がおごるわ!かなめちゃんは後日、かえでちゃんとリンちゃんに気持ちよくしてもらいなさい!じゃあ行くわよ!」


 やけになったアメリアはそう言うと部屋を出ようとするがそこには小夏とサラとパーラが立っていた。


「クラウゼの姐御、まいどあり!」


「アメリア、以前の車貸した時の貸しはまだ返してもらってなかったわよね。月島屋で手を打つわよ」


 小夏とパーラにそう言われてしまえばアメリアに逃げ場は無かった。



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