第139話 色々言ってた割にノリノリの人
『ああ!駄目だ!西園寺さん完全におかしな方向に向かっちゃってるよ!甲武の映画のスターってみんなこんなセリフを吐いてるの?あそこは映画と言えば時代劇で、サムライが活躍してるってアメリアさんが言ってたけど……時代劇の世界ってこんななの?』
誠の焦りと恥ずかしさに流れる汗を勘違いするかなめの姿がそこにあった。
「マスター。取り合えずワイルドターキー。12年物で」
かなめはおそらく喫茶店でなくバーのつもりでそう注文した。
「あのー…キャプテンシルバー。うちは喫茶店だからアルコールは無いぞ」
暴走するかなめに明石は呆れた顔で答えた。さすがにここに来て自分の勘違いに気づいたかなめはすごい勢いで顔を赤く染めていった。
「まあいい。これだけの戦力が集まったんだ!」
かなめは恥ずかしさをごまかすように大声でそう言った。彼女は手を差し出して周りの人々を見つめた。
かなめの殺意すら感じるような視線におびえた誠は反射で彼女の手に自分の手を重ねた。さらに小夏、サラ、明石、その上にグリンまでも手を伸ばして重ねられた手のひら。
「必ず機械帝国の野望を砕いて見せるぞ!」
そう叫ぶ明石に一斉に声を張り上げる誠達だった。
『この面子……何が出来るんだよ。小夏ちゃんは中学生だし、サラさんはラスト・バタリオンなのに女子高生並みの体力だし、明石中佐は……まあこの人は戦力になるな。西園寺さんは戦力には成るけど暴走ばかりだし。せめて僕がなんとかしないと』
物語の中だと言うのにリアルな実生活の話が頭から離れることのない誠だった。