8話這いよる混沌
「おひさー」
そう明るく言い放って部屋に入ってくるのは久しく姿を見ていなかった金色の髪をなびかせる少女だった。
「おい。お前2週間の間どこ行ってたんだよ。」
「みんな調子どーだったー?」
「無視かよ!」
「ごめんごめん!」
「それに肝心のお前が気絶したから俺は帰れなくなってクドクド...」
二人きりにされひたすら説教が行われる。
「はぁ全く。」
説教が終えるとかすてらは根生尽き果てていた。
「^o^」
「何か言う事は?」
「すいませんでした。」
しゅんとしたかすてらに話しかける。
「罰として妻に買う誕生日プレゼント選ぶの手伝ってくれないか?」
するとかすてらの顔が明るくてなる。
「この私に任せな!」
(命を天秤にかけられ脅されてるとは言え中学生でさらに身長も相まって幼いから優しくしちゃうんだよなー)
そんなことを考えていると扉が開く音がする。
「失礼しまーす。」
そーっと桃色の短い髪と翡翠色の瞳が特徴的な男が現れる。
「すいません外から少し聞こえてきたんですがその、買い物着いて行っていいですか?」
「いいよ」「やだ!」
二人の声が重なり、互いを見つめ合う。
(あーそっか俺はこいつと色々出かけたりご飯食べに行ったり仲良くなったけど、かすてら目線だとただのやばいやつか。)
正気か?と見つめるかすてらにごかい?を解こうとする。
「大丈夫、ネジ外れてるところもあるけどいい奴だよ?」
「まぁ、信じるか?」
「じゃあ場所は会社の近くのショッピングモールで現地集合午後1時」
かすてらを納得させ、ガッツポーズを決める香留とその香留に不信感を募らせるかすてらとの出かけるのが決まった。
(まだ誰もいないか...)
疲労を感じさせる声と楽しげな声が聞こえた。
「おっいるねー」
「こんにちはー」
「二人一緒にきたのか?」
「いや、途中で会いました。」
「ひたすら話しかけてきて疲れた」
珍しくかすてらが押され疲労を感じている。
「少し休憩するか?」
「大丈夫」
「さぁ買い物へ行きましょう!」
テンション差の激しい二人と共にショッピングモールへ入っていく。
ショッピングモールの中は休日なだけあってかなり賑わっており多くの人が入り乱れている。そんな人混みに紛れショッピングモールの奥へと進んでいく。
「その奥さんはなにか欲しいものはあるの?」
「んー、それとなく聞いてみたんだが特にないと」
「困りましたね、女性が喜ぶ物?何があるんでしょう?」
「奥さんは何か趣味とかある?」
「そういえば最近庭で花を育ててたな。」
「ガーデニングですか、いい趣味ですね。」
「植木鉢と花の種とかはどう?」
「いいかもしれませんね。」
「よし!善は急げ!色々みに行こうー」
ガーデニング系の店を色々みて周り、ある花に惹かれた。
(ワスレナグサ、この花めいかと初めて出会った時に咲いてた花)
「かすてら、香留決まったよ。ワスレナグサにするよ」
「いいんじゃない?でも確かワスレナグサの開花時期春で今夏なことを除けば...」
「あ」
「なら他にも買っていきましょう!まだ植木鉢とか花壇とかもまだですし」
「そうだな」
「結局かなり多く買ったなー。これ渡して困らないよな?」
「社長も一緒にガーデニングすれば良いんですよ。」
「そうだな。」
そういい店を出る。
「途中で歩き疲れてダウンしたかすてらを回収しにいきますか。」
「はい!」
かすてらを置いてきたフードコートへ向かう。
「かすてらー帰るぞー」
「おおー色々買ったねー。喜んでもらえたらいいね」
「ああ」
そう言い笑う。
時間は6時になり日は傾き空は赤く染まる頃だろう。帰るため3人は足を進める。
(おかしい。気づかなかったけど人が私たち以外居ない。フードコート付近でこの時間帯こんなに人がいないことあるのか?)
「洋介、月見里!何かおかしい!」
そういうなり遅れて二人も異常性に気づく。
「人が居ない?」
ショッピングモールをくまなく探しても人は見つからない。まるで最初からここには居なかったかのように。
「早くこの場を出ましょう!」
「ああ、急ごう。」
そういい足早に出口へ向かう。
「よし出口!早く出ましょう!」
そういい出口へ走り始める香留を洋介は止める。
「何かいる。」
するとギギギと何か固い物を引きずる音が聞こえてくる。そして目の前に出てきたのは頭から触手を生やしニタァと笑う槍を持った二足歩行の異形。その異形はそのままこちらへ槍を振り回して向かってくる。
「気をつけろ来るぞ。香留は俺の後ろへ」
<物質創造・刀>
振り下ろされた槍を刀で受け止め弾く。
<自然魔法・風刃>
かすてらが放った風の刃が異形の命を奪う。だがゾロゾロと異形は出てくる。
「キリがないね」
「あれはなんなんですか?」
「あれはムーンビースト、最近よく謎の変死や神隠しが起きるだろ?それの原因はああいった化け物のせいだ。あれはその一例」
「私は後方を担当する。洋介は出口のある前方よろしく」
「了解」
(そういったものの俺じゃこの数相手だと不利だ、押される...まずいな)
最初はムーンビーストを順調に倒すが数が増え続け押されていく。そして視覚から槍が飛んできて刀が弾かれる。
(まずいしくった!)
横から腹部を蹴り飛ばされる。
「カハッ」
店の柱に激突し吐血する。そして槍が投げられ眼前に迫る。
(かすてらは後方で手一杯、俺は反動で動けない。無理だかわせない、ここで終わるのか...)
しかしその槍は洋介を貫くことなく投げたムーンビーストに向かい槍は反射されムーンビーストを貫く。
「香留?」
洋介の前には香留が立ち塞がる。その光景にかふてらと洋介は驚愕する。
「あいつ呪文持ちだったのか。」
「社長!さっきの反射はまぐれです!次もできるとは限りません!無茶言いますがなんとか復帰してください!」
「ああ無茶な要求だな。」
(正直かなりきついそりゃそうだあんな速度で蹴り飛ばされ激突したんだから骨も折れる。でもやるしかない)
覚悟を決め立ち上がり刀を創造する。
<運動量操作・加速>
香留が投げた柱の残骸は加速し、ムーンビーストを蹴散らす。
「そんな力あるんだったら最初から使えよ!」
「いや後ろに隠れろとか戦闘から外されていたので...」
「報連相!」
そんな会話をしている間にムーンビーストは数を減らす。
<自然魔法・天雷>
雷がムーンビーストを穿つ。
「こっち終わったよ。加勢する。」
(いける勝てる。)
残りも数えれる程度になる。すると少年の泣き声が聞こえてくる。
「く、来るなー!!!」
反射的にその少年の元に駆け寄りムーンビーストを切り伏せる。
「!」
(何か違和感が...)
「月見里!よそ見しない!」
(まずい!何かわからないけどとにかく!)
「大丈夫?」
そういい洋介は少年に手を差し伸べる。
<運動量操作・加速>
刹那洋介は何者かに突き飛ばされる。目の前に広がるのは異形に成り果てた少年と洋介を庇い腹部に大穴を開け触手で貫かれている香留の姿があった。




