3話光に群がる虫
「本日のニュースです。地下鉄で失踪事件が相次いで...」
ニュースの音と共にため息をつく。
「はぁ」
「どーしたの?」
「お前がさも当然かのようにこの会社の俺の部屋で堕落を貪っているからだよ!」
白装束の件から3週間が流れた、その間毎日俺の会社に訪れ堕落を貪っている。さらに他の社員も彼女に魅了されもはや小言を言うのは俺だけになってしまった。それに今日は雇った研究者が来る日、こんな彼女の姿を見て会社のイメージに傷が入っては困る。
「なぁ、今日は新たな社員が来る日なんだ。出てけとまでは言わないがせめてもうちょっとどうにかならないか?」
「わかってるって〜」
(大丈夫なのだろうか...)
その心配は予想の斜め上を行きあたることになった。
「その新人遅いね〜もう約束の時間から30分は遅れてるよ〜」
「最近は怪異も事件も多いから巻き込まれていないといいが。」
その時ノックがなった。
「どーぞ」
(お前が言うのかよ)
彼女の発言に心の中でツッコミをしつつ表情を整えて切り替える。
「すいません!道草食ってたら遅れました!」
そう言い彼は道に生えてたであろう雑草を食べる。
「まず、あー、色々言いたいことはあるがまず食べるのをやめようか。」
これには流石のかすてらも困惑してその行動原理がわからず恐怖し身を隠している。そして俺の表情も崩れてしまった。
「ふみはへん」
「口の中なくなってから喋ろうか。」
その場に静寂が流れる。
「なくなりました!」
「まず遅れてるけど気づいてた?社会人として遅刻は良くないんじゃない?」
「すいません。でも、道草がどうしても美味しそうで食べたくてしょうがなかったんです。すいません。次は気もつけます。」
「?」
「?」
初めてかすてらと同じ気持ちになったかもしれない。こいつはやばいタイプだ。
横に来たかすてらから話しかけられる。
「ねぇコイツ解雇した方がいいんじゃない?」
「そう思うがそうもいかないんだ。最近は若い人も少なければ研究職なんて尚更だ、それに月見里香留彼の功績はかなり輝かしいものらしい。」
コソコソと話し合う。そしてかすてらが何か閃いた。
「あ!出張あるんだったー!それじゃ!」
そう言いかすてらはそそくさと逃げていった。
(はぁ...胃が痛い。)
(洋介大丈夫かな?)
少し彼のことを心配しつつ目的地へと向かう。
(全くあの大臣も人使いが荒いよ。突然来れるかって。全く...)
心の中で愚痴を吐きながら地下鉄の階段をくだりホームへと向かう。ホームへと近づくにつれて違和感を感じる。
(この時間帯人が少ないかったとしても全く人がいないなんてことある?東京だよ?都心だよ?そんなこと...)
そう考えていると電車の到着を告げる電子音が流れる。
「まもなく電車が到着しますまもなく電車が到着しますまもなく電車が到着しますまもなく電車が到着します」
まるで壊れた機械かのように同じ音声が鳴り響く。そして徐々にこの世のものとは思えない言語へと変わっていき電車が到着するや否や扉をあけまるで誘い込もうとしているかのようだ。
(私一人のタイミングで!クソとりあえず逃げ...)
そう考え行動に出ようとした時駅のホームの壁が彼女の身を押し電車に押し込み電車は動き出す。
(まずい逃げれない)
あたりを見渡すと前方の車両へ向かう扉が開く。気持ち悪い足跡を鳴らし中からでてきた生物はまさに異形だった。手には槍を持ち顔であろう部位からは触手が飛び出ている。
(ムーンビースト...)
かすてらは覚悟を決めムーンビーストと向かい合う。しかしその覚悟を打ち砕くように奥から次々とムーンビーストが姿を表す。
(これは詰み...かな?)