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極秘の鼎談6

「リオンは?」


 目を覚ましたラパパが一言目に発した言葉は、友人の行方についてだった。昼の番で看病していたシケムが、サバとパドンカを呼びに部屋を出ようと立ち上がった。


 ラパパはシケムを逃すまいと腕を掴み再び同じ質問を投げかけた。


「リオンはどこだ。それと、」


 シケムはラパパの言葉に被せて


「ラパパ殿、それより先に」

  

 とラパパの身をあんずる二人を呼ばせてくれと頭を下げる。しかし、ラパパとシケムの話声が聞こえたようでシケムが立ち上がると同じくして、サバとパドンカが駆け込んできた。


「起きたか!!」


パドンカは両手を大きく広げラパパの起床を喜び、サバは異常がないかラパパの傍まで寄ると、背中に手を当てて治癒魔法を使った。 

 シケムの前では強がっていたようで、サバの治癒魔法を受けると自然に声が漏れ、呼吸がゆっくりと落ち着いたものになっていく。しばらく治療を受けたところで、ラパパは落ち着きを取り戻しリオンとデルマテオの居所について問いかける。

 

「御二人はグラバイオスに行かれました。」


「グラバイオス?それはどこだ。ここから近いのか?」


「近くはないですね。私も行ったことはないので詳しい場所まで知りません。アルト海の中心にあると言われている島なので、ここから向かうとしたら早くてひと月。天候や食事の事を考えるとその倍は考えた方が良いかもしれません。」


「リオンならお構いなしにひとっ飛びだもんな。俺たちがそのデルマ何とかに着くころには、別の島に行ってるかすれ違いになってるだろうな。」


「サバは風魔法使えないのか?」


「わたしですか?私は神に全てを捧げた身ですから。神聖魔法しか扱えないのです。シケムであれば少し出来るかもしれませんが、」


 シケムに視線が集まるが、シケムは気まずそうに首を横に振るだけだった。


「ラパパ様とパドンカはこの後リオン様の後を追うのですか?」


「おらはリオンに会いてぇけど、あんまり船の旅は好きじゃないだ。リオンの船か、団長の船ならご飯いっぱいあるからいいんだけどよぉ。」

 パドンカは腹を掻きながら、この島に来るまでの船旅を思い出し苦い表情を作る。ラパパもパドンカの意見に半分賛成するような形で。


「俺も同じ意見だな。万全じゃない俺と、それを看病しながらではサバと、シケムも大変だろう。」


「「え?」」

 

「ん?」


「我々と、一緒にというつもりでしたか?」


「そりゃそうだろ。船旅は多い方が楽しいんだぞ。それに俺たちは料理も作れないし、航海術もろくに持ってない。ここまで来るのにデルマテオと、キロの指南書なしじゃ当然無理だった。俺たち二人じゃあ一晩で終わっちまう。」


 ラパパは周知の事実を話しているかの如く、疑問をもつシケムとサバの態度を笑った。

シケムとサバはお互いに顔を見合わせたあと、「少し待っていてくれ」と言い残し一緒に部屋を飛び出していった。


「忙しい奴らだな。」


「サバはラパパが倒れた後もずっと忙しそうにしてただ。この村で一番偉くて、もしかするとこの島で一番偉くなるかもとか言われてただよ。」


「この島って言ってもあいつら以外あんまりいないんじゃないのか?」


「それを今調べてるって言ってただ。」


「大変なんだな。偉いってのは、、」


 ラパパとパドンカは久しぶりの会話を楽しみつつ、ティケティスから言われていた伝言についてとラパパが眠っていた間の情報について言葉を交わした。

 バタバタが続いたこともあって、ティケティスからリオンへの伝言を伝えそびれてしまった。「ビィウズには耳を貸すな」ってなんだろうなと、考えながらパドンカの話す、この島で食べたご馳走の話に付き合わされることとなった。 


「あの魚がコリコリして、すげぇんだ。話してたらまた食べ、」


「お話し中すいません。今よろしいですか?」

繰り返し聞かされるパドンカの食語りから解放される絶好の機会だと、ラパパは食い気味に言葉を返す。

 

「あぁ、大丈夫だ。シケムなんかあったか?」


「グラバイオスまでの話ですが、我々も同行させていただくことにしました。」


「シケムとサバの二人か?」


「いえ、別で二人ほど乗せて四人でご一緒出来ればと、」


「俺たちの船、六人も乗れないぞ。それに食料と水も乗らない。」


「それについてもう一つお話がありまして、」


 シケムは自分達を迎えに来る定期船の説明をし始めた。サバやシケム達は祈りの民であり、大陸全土で信仰されるクムバ教の信教者だと言う。

 彼らはクムバ教の聖地とされるアルト海で、聖地を保護するために様々な島に派遣されているようで、もう少しで交代の時期になると言う事だった。


 枢機卿のサバと、大司教のシケムは本国へ帰る前に幾つかの仕事を任されているとの事で、アルト海で残された幾つのかの仕事をこなすためにグラバイオスへ向かう事にしたとラパパとパドンカに説明した。


 そして、サバとシケムをこの島から送っていく役割として、クムバ教が用意する定期船があるため、その船にラパパとパドンカも乗らないかと言う提案だった。

 船員手伝いと用心棒として雇いたいと言われ、当然給料は支払うとシケムは頭を下げた。


「ご飯はあるのか?」と言うパドンカの問いかけに表情を崩しつつ頷くと、パドンカは「それじゃあおらは乗る」と答えた。

 

 ラパパは少しだけ間を空けた後、幾つかの質問を投げかけて納得した様子で「俺もお世話になるよ」と乗船の話を了承した。


 こうして、ラパパ、パドンカは、サバ、シケムと共にクムバ教の船でリオンを追う形でグラバイオスに向けて出発する事となった。

読んでいただきありがとうございます。


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