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極秘の鼎談4

投稿間隔が変になっていますが、別の作品と投稿ペースを合わせるために調整してますので、気にしないでください。

 ハウマンが失脚し、クロウマンとケルアマンが実権を握ったクラウティスでは大きな問題が起こっていた。


「クロウマン、いい加減アザリへ上陸する目途を立ててくれないか?」


「そう簡単に言うけどな、相手は海賊と傭兵を雇ってるみたいなんだ。急拵えの俺たちでは攻め切れない。」


「それはドワーフの島の話じゃないのか。」


「痺れを切らしたドワーフ達と、藁にもすがりたいアザリのやつらが手を組んだ。化け物みたいなエルフと浪人の傭兵の姿が見えないのが今一番問題だ。」


「またその二人の話か。ティスブルクからはなんと?」


「援軍と武器を送るが遅くなるってよ。こんなんじゃ俺たちが先に襲われちまう。それに、ケルアマンが備蓄を惜しみなく開放してくれているおかげでどうにかなっているけど、このままじゃ確実に戦争してる余裕は無くなるぞ。」


「そのことについても話さなければと思っていた。もうこれ以上島中に開放するのは勘弁してくれ。北側の島民の食料を守るだけでやっとなんだ。」


「ケルアマン、そんなこと、」


「仕方ないだろ。北側の俺たちは殆どが血縁なんだ。俺だって親父たちには逆らえない。農場主をやれているのも家族がいてこそなんだ。」


「それじゃ、俺たちはどうしろって、」


「だから言ってたんだろ。早く攻めに行けと。勝ち負けではなく攻めれば消費される物資も減る。」


「お前、それをどういう意味で、」


「言葉通り受け取ってもらっていいよ。クロウマン、君にこのクラウティスの実権は譲るよ。その代わり北側への干渉は無しにしてもらいたい。魚や船との交換で作物は用意する。」


「そんな急な話、」


「君がアザリへ攻めるのが厳しいと答えたらこうしろと言われていたんだ。これ以上付き合いきれない。これが我々北部の総意だ。明日の昼には島中へ通達する。新たな統治者はクロウマンで、北部はこの戦争から外れ独自の統治を始めると。」


「させんぞ。絶対に、させてたまるか。ティスブルクが許すはずが、」


「もう許可は得ている。その見返りとして相当量の備蓄と、掻き集めた捕虜、犯罪者の身柄を労働力として贈ってある。」


「備蓄が急に減ったのはアザリの密偵のせいだと、!!」


「何を言っても無駄だ。とにかく君はこの泥舟をどうにか沈ませないように頑張るんだな。」


 ケルアマンはまとめておいた荷物を持ち執務室から出ていく。残されたクロウマンは頭に血管を浮かび上がらせながら、怒りをどうにかして噛み殺していた。


―――――――――――――――――――――――――――


 デルマテオの働きでリオンとラオ島頭領ツ・ビィウズが話し合いを始めたのとちょうど同じころ、グラバイオスには三隻の櫂船が港に到着していた。


 掲げられる旗には獅子の紋様。ティスブルク軍の軍旗だった。そこには数刻前リオンとデルマテオが見かけた二人組の男女の姿もあり、ティスブルクの軍旗を見た商人たちは顔色を変え、その場からあっという間に逃げ隠れてしまった。


「どうしますかいな。兄貴、これじゃあ道を聞くのも難しそうですがな。」


「シロ兄妹に南側から回って情報を集めるよう言っとき。あっしらは飯でも食い散らかして待ってようや。」


「そうですな。シロ達に伝えておきますな。」


「あいつら勝手にちょっかいかけてボコボコにされて帰ってきてたからな。少しお灸を据えてやらんと。」


 単眼の男と、犬獣人の男が船着き場で談笑しながら東地区に向かって歩き出す。


 本来、東地区はグラバイオスの中でも特に活気がある地区とされており、クラマ商会が代官として取り締まっている。他の地区のと大きな違いは常時競りが行われており、どんな商品であっても手に入れることが出来るという点。


 クラマ商会はグラバイオスの商業地区を治める商会の中でとりわけ新しく、商会や貴族の中では成金や田舎者と口にするものは少なくない。


 しかし、その分クラマ商会は手広く自由に販路を伸ばし、大陸へ手が届きそうなほど大きな力を着実につけている。


 どんな時でも競りが行われるクラマ地区が、ここまで静寂に包まれるのはいつ以来だろうか。カムナバの日の影響で、物資が滞り、グラバイオス全体で不況の大波にさらわれたあの日か。

 それとも、クラマ商会が代官になると決まったあの時か。


 どちらにせよ、クラマ地区の静寂は異常事態を知らせている事には違いなかった。


「聞いてた話と違うわ。まぁ、なんとなくわかってたけどよ。あっしらはこの海一番の嫌われ者だろうからな。」


 アルト海での派閥争いといえば三竦みのそれぞれが牽制しあっているように捉えられるが、実情はティスブルクが一方的に先制攻撃を仕掛けまくった結果が招いた事だ。


 グラバイオスは派閥争いに干渉する事は無いが、各商人の感情としては当然肯定的にはなれない。


 単純に海路を潰されたり、取り引き相手がこの戦争によって困窮し、結果的に商人達が物資難に陥ったり、アルト海出身の商人達は故郷が戦乱に巻き込まれている者もいる。


 彼らを歓迎するとしたら、無神経な守銭奴か無知な大陸出身者だけだろう。

 そして、現在グラバイオスにはこれに対応する者達は居合わせていなかった。


「この様子じゃ、店でまんまにありつける事も出来ませんな。大人しく船に戻るか、そこらの空き地でも借りましょうな。」


「空き地って、仮にもあっしは参謀なんですがね。まぁ、つべこべ言ってても仕方ない。割高でも諦めて場所を借りるとするか。」


 二人は、立ち止まって考えていたが、仕方ないと覚悟を決めて街へ入っていく。後ろには数人の部下が列を成して着いてきた。


 グラバイオスにおける波乱の幕開けだった。

 

 

現実が忙しく、書く時間を取れていないため、しばらく投稿は無しです。年末までには数話投稿できるように頑張ります。

年末の繁忙、お互い頑張りましょう。



読んでいただきありがとうございます。


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