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第9話
手紙
娘の鈴はきっとすばらしい社会人になれると正一は感じた。
そして家に着いてから鈴宛ての手紙を書こうと決めた。
「何の世界でも、結局、才能と、人物ですね。
勝負の世界では、才能の衰えを自覚した時が最後ですね。
でも点数のつけにくい鈴がこれから進む会社員の世界では、
自分の点数を、はっきり自分でつけることはやりにくいですね。
うぬぼれがなくなったら、その世界は続けられないだろうし、
うぬぼれが、いつまでもとれなければ、
それはこっけい人間だし、大変なこともたくさんあると思います。
最近テレビでよく野球を見るようになりました。
今度の東京オリンピックの野球もとても楽しみにしています。
今は野球に対するわだかまりはまったくありません。
桜が咲いたら鈴の元気な社会人姿を見てみたいです。
今年はきっと桜も早いでしょう。では、またね。 正一」