表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人生というポール  作者: 勇翔
1/17

第1話

「人は、尊敬できる先輩や仲間と一緒に働けば、

 少しずつでも成長できるのに対し、

 悪い仲間とつるむようになると、

 あっという間に人生のポールを滑り落ちていくこと になります。」

かつてのプロ野球の名監督の言葉である。


宮崎正一は、悪い仲間とつるんでいたわけではない。

だが、「なんのために働いているのか?」とか「どういうふうになりたいのか?」

といったような働くためのモチベーションがまったくない。


かつては持っていた理想の人生像みたいなものもすでに記憶から消えている。

5年前から務めている運送会社は、正一には居心地がいい。

小さいながら社長があまりプライベートに鑑賞してこなかったり、

頼まれた仕事を淡々とこなしさえすれば多くない給料が毎月安定して入ってくる。

競争をしなくてもいい社会は、戦後の日本人が目指した「豊かさ」のひとつの

表れという言い方もできるだろう。


正一は、無難というのか、波風を立てないことが、

今日一日を無事に過ごすことが「いちばんいい」と考えていた。

誰かと寄り添う生活というものの心地よさもすっかり忘れてしまった。


高校の野球部時代の同級生二宮清は、こんな正一にとって唯一の飲み友達だ。


「今月も養育費を払ったら残りは何万かしか残らないよ。」


「じゃあ!今日は俺がおごるよ!」


二宮清は小料理屋の板前で、いつか自分で店を出すことが夢である。

もともと実家が経済的に恵まれなくて、

大学なんてものを考えられなかったのは、2人の共通項だが、

正一は人生のポールを滑り落ち、清はきつい思いをしながらも、

人生のポールを必死に上っていた。


「3か月後にはもう大学生になるんか!」


「あっという間だな!」


10年前に元妻静香と離婚したことは、

一人娘の鈴にとってはベストな方法だったと、

正一は今でも思っていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ