探索
「ここがセーフティゾーンだ」
ドネルに防具と武器を見てもらう為にセーフティゾーンに来ていた。
「ここがセーフティゾーンねぇ。」
「そうだ、ここならゴブリンなんかのモンスターが出てこない冒険者にとって安全な場所、セーフティゾーンだ。」
セーフティゾーン。階層の切り替わる場所や、広い階層では部屋になっている唯一モンスターの湧かないエリアだ。
「まぁ余程のイレギュラーでも無い限りここにモンスターが出ることは無い。って言っても何かあるかもしれないから基本的には見張りを立てるんだがな。」
「なるほどねぇ、じゃあ、あんたは今までどうしてたんだい?ずっとソロだったんだろう?」
「俺は入り口や近くにトラップを仕掛けてたからなソロで潜る時の苦し紛れの対策だ。もっともレベルが高くなればモンスターの知能も上がるからこう言った低レベルと言われるダンジョンじゃないと使えないけどな」
「そうかい、じゃあ最初の見張りは私がするよあんたの武具の手入れも任されてるしね。」
「そうか、助かる。じゃあ3時間交代で休憩を取ろう」
「わかったよ。それじゃ先に休んでな。」
シェードが先に寝るのを確認してから武具の確認に入る。
「こりゃダメだね。どこを見ても刃こぼれだらけ、オマケに多少歪んでるじゃないか、今までよくこんなので戦ってたもんだよ。」
文句を言いながらひとつひとつ武具の状態を確認していく。どの武具もまともな手入れが出来ていない。素人の手入れでなんとか使えているだけで、武具の耐久性も期待出来ない。
「もってこのダンジョン内だけだね。」
シェードの武具の状態を見て改めて新しい防具分の材料も必要だと密かに考えるのだった。
セーフティゾーンで休息を終えた後、ドネルと共に目標としていたエリアまでたどり着いた。
「ここでは地上にある鉄よりもいい品質のものが手に入るのさ!10キロは持ち帰りたいね!」
「2人で10キロか、中々大変な帰りになりそうだな」
ゴブリン洞窟の四階層まで来ていた。四階層では他の階層に比べて鉱石の採掘量が多いため、序盤鍛治師では世話になる事が多いという。
「ほら、シェード!行くよ!」
大分上機嫌なドネルに従い、階層探索をするのだった
「それで?シェードはどうだった?」
「どうもこうもねぇよ。相変わらず酷い状態の装備でダンジョンに行きそうだったんでオススメの鍛治師を紹介したとこ。」
「鍛治師ねぇ、まぁ冒険者と鍛治師は切っても切れないからねぇ、いいんじゃない?」
「だろ?これであいつも少しはマシな装備になってくれりゃこっちも心配事が減るからな。せっかく助けたんだから長生きしてもらいてぇし」
「そうだな、知人が居なくなるのは日常茶飯事とはいえ、寂しいからな。」
「だな!…っとそれはそうと何のようだよ『シエスティー』」
「いやなに、そこまで大したことじゃあないんだが、ミルディには話しておこうと思ってね」
「何をだよ。」
「最近、窃盗犯による窃盗及び殺人が増えてきていてね、冒険者全般に顔が効く君からも全員とは言わないが、親しい者だけにでも注意を促してほしくてね。」
「なるほど。そんな事か、まぁそれくらいならお安い御用だ、任せときな。にしても窃盗と殺人か、物騒だねぇ。シエスティーも気をつけるんだぞ!」
「私は君に心配される程じゃ無いはずなんだけどね。」
「まぁ、それもそうか、じゃあ、情報サンキューな!」
「あぁ、また何か有ればこちらから連絡しよう。」
「おう!それじゃまたな!」
「あぁ、また…」
去っていくミルディの背を見ながら独り言を1つ。
「シェードにだけは伝えておいてくれよ…ミルディ」