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第4話 敵対と圧倒

二度目の勇者は異世界観光しながら人生勉強 第4話


~安藤隆哉視点~

俺の目の前でクラスメイトが殺されそうになっている・・・。


それなのに・・・俺は・・・。


この国、ブルームーン王国に召喚された異世界転移者の中で勇者の称号を持っているのは俺だけだった。


つまり、俺は選ばれた人間というわけだ。


地球にいた時から俺は頭脳明晰、容姿端麗で友人も多く、異性にもモテていた。


もはや俺が主人公と言っても過言ではない。


だけど、そんな俺には1人だけ気に入らない男がいた。


それが今、俺たちクラスメイトの前で騎士に殺されそうになっている男だ。


久我信之。


子供の時から俺の周りには3種類の人間しかいなかった。


俺に媚びへつらう連中と俺に敵意を向ける連中、そして俺を恐れて関わらないようにする連中だ。


それは高校生になっても変わらなかった。


俺の見た目や能力目当てに友人として一緒にいる連中。


俺が異性に人気なのを妬み、敵意を向ける連中。


俺を敵に回したくないと関わり合いにならない連中。


だが、そんな連中のなかで久我信之だけは違った。


久我は俺に関わってこない。


しかし、それは敵に回したくないから関わってこない連中とは違い、俺に全く興味がないからだ。


それが俺には気に食わなかった。


そして、いつも一緒にいる美紀と舞が久我のことを好きなんじゃないかと瑞樹が言っていたのを聞いてなおのこと気に食わなかった。


だからこそ、俺も久我に関わらないようにした。


そんな矢先、俺たちのクラスは異世界に召喚され、鑑定の宝玉の結果、俺は勇者という栄誉を得て、久我は落ちこぼれの烙印を押された。


その時の俺は、何故か気分が高揚した。


まるで、スポーツの試合で長年のライバルに圧勝したかのような、そんな高揚感だった。


そんな、時にクラスメイトの浅井たちが昨夜大けがを負ったという知らせを受けた。


話によると浅井たち7人が久我に呼び出され、殺されそうになり、浅井たち4人が大けがを負ったものの久我は撤退、そして今度はこの国の国王とソフィア王女の命を狙っているらしい。


俺はその話に違和感を覚えながら、謁見の間にクラスメイトのみんなで行った。


そして、俺たち全員がそろい、国王とソフィア王女、そしてこの国の宰相のアレックスさんが現れ、そして騎士に連れられて久我が現れた。


そのあとはアレックスさんが久我の処刑を提案し、久我は反論も何もせずにいつものように冷めた目で国王アレックスさん、そして俺たちクラスメイトを見ていた。


そして、アレックスさんが国王への侮辱罪で久我を処刑するように騎士たちに命じ、騎士が剣を振りかぶった。


クラスメイトが殺されそうになり、悲鳴が上がる。


俺の後ろにいた美紀と舞が青ざめた顔で目をつぶった。


・・・やっぱり、お前たちはあいつのこと・・・。


俺はせめて久我の最後を目をそらさずに見届けようと思った。


だが、次の瞬間、久我に振り下ろされた剣がすべて根元から叩き折られた。


そして、久我を殺そうとした騎士たちが一斉に倒れ、その中心にいた久我が凄まじいプレッシャーを纏いながら立ち上がった。


~久我信之視点~

俺を殺そうとした連中の剣が展開しておいた結界魔法で根元から叩き折られたのを確認した俺は、剣が折れたことに驚いている連中にユニークスキルの威圧を発動させて気絶させた。


そして、俺を驚愕の目で見ている国王、宰相、そしてクラスメイト達に気絶しない程度に威圧を放ちながら、立ち上がった。


「さて・・・お前らは俺が魔王軍のスパイだと思っているようだな?」


「だとしたらなんだ!!」


「なら、魔王軍のスパイらしく振舞おうと思ってな。そこにいる勇者を始末するとしよう」


俺の言葉に謁見の間にいた全員が驚愕の表情を浮かべた。


「まぁ、勇者を始末する前に・・・おい。そこにいる見た目だけヤンキー軍団」


俺は勇者たちの後ろで怯えている連中に近づいて行った。


あいつらは逃げ出そうとしていたが、足が動かず、尻もちをついた。


「逃げても無駄だ。お前らの体は魔力糸で縛ってある。お前らを動かせるのは俺だけだ」


「ふざけるな!!離せ!!」


「なんで、俺がお前らの言うことを聞かなきゃいけないんだよ。昨夜、俺を痛めつけようとした連中を」


「嘘言うな!!俺たちを殺そうとして昨日俺を庭園に呼び出したのはおまえだろ!!」


「・・・なんで俺とお前たちが会っていたのが庭園だと思ったんだ?」


「え?」


「宰相は俺がお前たちを呼び出したとしか言ってない。だから場所を知らないはずだ。なのにお前は庭園に呼び出されたと言っている。なんでお前と宰相の言葉は違うんだ?」


「それは・・・」


「まぁ、お前らの嘘の証言の証拠はあるけどな」


「嘘だ!!」


ヤンキー軍団の先頭にいた浅井がなにか喚いているが、俺はガン無視して謁見の間の空中に魔法で映像を映し出した。


『よう、久我~。こんなところによくノコノコ出てこれたな~』


『お前らが呼んだんだろうが・・・それでなんの用だ?見た目だけヤンキー軍団』


『やっぱりこいつ!!落ちこぼれだ!!全ステータスが10でスキルもないし、ユニークスキルもない!!超雑魚だ!!』


『おい!!久我!!今すぐ謝ってさっきの発言を撤回するなら俺たちの奴隷にしてやるぞ~』


『なんで俺がお前らみたいな見た目だけのヤンキー軍団の奴隷にならなきゃいけないんだ?頭大丈夫か?異世界来てボケたか?・・・あぁ、地球にいた時からバカだったか』


『落ちこぼれのくせして口だけはいっぱしだな!!ならお前をボコボコにした後土下座させてやるよ!!真身体強化!!』


そこには、俺に向かって暴言を吐き、俺に殴りかかり、そして、俺は何もせずにただ突っ立っていただけなのに拳を破壊され倒れる見た目だけヤンキー軍団、そして俺に魔法を放って消された女子2人の映像が映し出された。


「なんで・・・これが・・・」


「まぁ、これを信じるか信じないかはお前らの自由だが、その判断が出るときにお前らが生きているといいな」


「何を・・・するつもりだ・・・」


「さっき、そこにいる宰相も言っていただろ?お前らを殺すに決まってるんだろ」


見た目だけヤンキー軍団が怯え、俺から逃げようと暴れるが魔力糸の拘束から逃げられず、もがくだけだった。


「近衛兵!!そこにいる男を殺せ!!」


俺が見た目だけヤンキー軍団に近づくと、慌てた宰相が謁見の間の外にいた近衛兵を呼び、そう叫んだ。


剣を構え、俺に向かってくる30人ほどの近衛兵を俺は神魔法エクススタンで全員を気絶させた。


俺に向かっていた近衛兵が全員、いきなり倒れ、ピクリとも動かなくなったことで、元クラスメイト達から悲鳴があがるが、俺は気にせず、見た目だけヤンキー軍団に近づいて行った。


だが、その俺に向かって凄まじいスピードで接近してくるやつがいた。


俺はそいつの聖剣を魔力剣で受け止めた。


「何の用だ。勇者」


「まて!!久我、お前が見せた映像が本当のことならあいつらのしたことは謝らせるし、この国に対しても謝罪と賠償を勇者の名に誓って約束させる!!だからまずは落ち着け!!」


「お前にそんな権限があるのか?」


「俺は勇者だ!!この国も俺からの要望を切り捨てることはできない。だからやめろ!!」


「お前さ、バカだろ」


「え?」


俺は聖剣を大きくはじき飛ばした。


「お前を始末しようとしているやつに向かって突っ込んでくるんだからな」


俺はそういうと、勇者の胸に魔力剣を突き刺した。


一瞬の静寂の後、勇者が口から血の塊を吐き出し、そのまま倒れ伏した。


元クラスメイト達から、凄まじい悲鳴があがるが、俺は魔力剣を消し、空中に魔力で生成した槍を6本生み出し、魔力糸で拘束している見た目だけヤンキー軍団に近づいて行く。


見た目だけヤンキー軍団は顔を青ざめながら、俺を怯えた目で見ている。


「悪かった!!久我、いえ、久我様!!嘘の証言をしたことを認めます!!ですから、命だけは・・・」


そう言って命乞いをしている見た目だけヤンキー軍団に俺は一瞬笑顔を見せ、次の瞬間空中に待機させておいた槍で全員の眉間を貫いた。


魔力糸の拘束を解くと、全員が謁見の間の床にぐしゃという音を立てて、倒れた。


「これがお前ら王国側の判断の結果さ、宰相殿?」


「バカな・・・貴様は落ちこぼれのはず・・・一体、どうやって・・・」


「お前らの疑問にわざわざ答えてやる義理はない。それよりもこれだけ敵対したからにはこちらもそれ相応の対応をさせてもらおうか」


「なんだと!!」


「まず、俺はこの国を出ていく。そして、お前らは俺の敵だ。この国の国民もそこにいる元クラスメイト達もな」


「な!!何をバカげたことを言っているんだ!!」


俺がこの国と元クラスメイト達に敵対する。


つまり、俺はこの国と元クラスメイト達相手に殺し合いをすると言っていることを理解したのか、宰相と国王、そしてクラスメイト達が騒ぎ始めた。


そして、連中の希望の光でもある勇者はたった今、俺が始末した。


「まぁ、敵対するといってもこちらからわざわざ出向いて、お前らを殺そうとは思っていない。そんな面倒なことやる気にならないからな。だが、俺にこれ以上害を向けるのなら、その時はこの国ごと容赦なくお前らを殺す」


俺の言葉に謁見の間にいる全員が何も言えず、怯えた表情で俺を見ている。


「待ってくれ!!」


そんな中、俺に声をかけてきたやつがいる。


そう、国王だ。


「君のことを誤解していた!!頼む!!話をさせてもらえないか!!」


「それは、その宰相を説得してから言うんだな」


「宰相は責任を取らせ、処刑する!!だから頼む!!私の話を聞いてくれ!!」


国王がなにか言っているが、俺はすべて無視して、あるやつの前に歩み寄った。


俺を昨日、あの場所に連れて行った伊藤だ。


あいつは青ざめながら、腰を抜かしている。


「昨日は変なことに巻き込んで悪かったな、伊藤」


「え?」


「これは詫び代わりだ」


俺はそう言って、伊藤に手をかざした。


「これは?」


「俺のステータスの一部をスキルとして伊藤に付与した。全ステータスにそれぞれ1000の補正がついてるはずだ」


伊藤は驚いた表情をして慌ててステータスを確認している。


俺は次に第2王女ソフィアへ向かう。


あの女も腰を抜かして、逃げられていない。


「なんですか・・・」


俺はソフィアの質問には答えず、彼女に手をかざした。


すると、彼女は気を失った。


「貴様!!ソフィアに何をした!!」


「心配するな。気絶させただけだ。それよりもこいつともう1人を今回の件の詫びとさせてもらうぞ」


「なんだと!!」


「いるはずだよな?第1王女」


俺がそう言うと、国王と宰相がハッと息をのんだ。


「なぜ貴様が・・・それを・・・」


「わざわざお前らに教える義理はないな。・・・マリア、出てきていいぞ」


俺がそう言うと俺の後ろでマリアが実体化した。


「呼びました?ノブユキ様」


何もないところからいきなりマリアが出てきたことで謁見の間にいる全員が驚いていた。


「この女を運べ、それと第1王女の居場所はわかっているか?」


「えぇ、昨夜の間に調べております。謁見の間から見える唯一の尖塔の中の部屋です」


「あそこか、ならそこに行くぞ」


「かしこまりました」


「なぜ、第一王女のことを・・・」


国王は何かをつぶやいているが、俺は気にせずにさっき始末した見た目だけヤンキー軍団の6人と勇者にある魔法を使用して、そして俺とマリア、それとマリアがお姫様抱っこしているソフィアの3人が入るように魔法陣を展開した。


「それじゃあな」


そう言って、俺たちは第1王女がいる部屋に転移した。


尖塔の中の部屋には大きなベットが置かれ、1人の少女がそこに寝ており、そのわきには2人のメイドが控えていた。


「何者ですか!!」


部屋にいたメイドが侵入者である俺の姿を確認すると、俺に近いほうにいたメイドがいきなりナイフを取り出して俺に向かって襲い掛かってきた。


もう1人のメイドはベットに寝ている少女をかばうような動きを見せた。


俺は威圧を瞬間的に使い、メイド達を気絶させ、魔力の鎖で拘束した。


そのまま俺はベットに寝ている少女を見つめた。


顔立ちは奇麗だが顔色が悪いせいでせっかくの美人が台無しになっていた。


そのまま神眼を発動して、目の前の少女を詳しく鑑定していった。


・・・・なるほどな、面白いものがいるな。


俺が目の前の少女の中にいる存在を確認していると後ろで放置していたメイド達が目を覚ました。


メイド達は自分が拘束されていることに気づき、慌てて拘束を解こうとしてもがいている。


「それは魔法の拘束だからいくらもがいても無駄だぞ」


「あなたは何者ですか!!姫様から離れなさい!!それになぜソフィア王女を!!」


「なるほど。やっぱりこの少女が第一王女だったのか」


メイド達が息をのんだのが気配で分かった。


「それで?この女はなんで()()()()()()()()


「なぜ・・・呪いのことを・・・」


「眼はいいほうなんでね。それでこの呪いは一体?」


俺がもう一度問いながら、威圧を少し発動して脅すとメイド達は青ざめながら説明を始めた。


メイドの話を要約すると、第一王女の名前はスミレ・ミア・ブルームーン。


年齢は18歳。


スミレは6年前、城の宝物庫で入ったときに封印されていた宝形を誤って落とし、その宝玉に封印されていた()()()に呪われ、その後体力、魔力の両方が回復せずに減り続けているらしい。


城の宮廷魔術師や教会の司教などが診断したが原因が解らず、体力回復と魔力回復による延命治療を続けているが一向に打開策は見つからずに今も眠り続けているそうだ。


メイド達は泣きながらスミレの現状をしゃべってくれた。


「それなら、俺がその呪いをもらっても文句はないな?」


「どういう・・・意味ですか?・・・」


「そのままの意味だ。この女の呪いの根本原因を俺がもらっても構わないかと聞いてるんだ」


「分かるんですか!!姫様の呪いの原因が!!」


「あぁ、眼がいいんでね」


「「お願いします!!」」


魔法の縄で拘束されながら土下座をするメイド達。


俺は、その様子を一瞥してからスミレをもう一度神眼で観察した。


スミレの中にいる存在の位置を正確に確認して、エクストラユニークスキルの神魔法をその存在にぶつけた。


次の瞬間、スミレの体が光輝き、体から何かが飛び出してきた。


それは魅惑的なプロポーションに扇情的な衣装を身にまとっていた。


そして、特に目を引くのはその存在の頭にある角と背中から生えている翼、そしてお尻から伸びている長いしっぽ。


見た目は物語などに出てくる悪魔そのものだった。


その悪魔は俺と目が合うと勢いよく・・・土下座してきた。


「あなたに服従しますので!!殺さないで下さい!!」


「・・・えっと・・・」


あまりの奇麗な土下座に戸惑ってしまう。


とりあえず、スミレのほうにエクストラヒールをかけて魔力と体力を回復させる。


おそらくすぐに目を覚ますだろう。


スミレを回復させた俺はいまだに土下座している悪魔を神眼で鑑定した。


 ~ステータス~

NAME (名前)  リリス・ソフィア

RACE (種族) 夢魔女王(サキュバス・クイーン)

SEX (性別) 女

LV (レベル) 300

HP (生命力) 5000

MP (魔法力) 15000

PWR (物理攻撃力) 1000

MPWR (魔法攻撃力) 5000

SPD (速さ)  3000

DEX (防御力) 1000

MDEX (魔法防御力) 5000

LUX (幸運値) 3000

SKILL (スキル) ・全属性魔法LvMAX ・夢魔法LvMAX ・吸精魔法LvMAX 

USKILL (ユニークスキル) 夢魔女王(サキュバス・クイーン)の絶技LvMAX 

STATE (称号) 夜の女王 久我信之の性奴隷


悪魔かと思ったか、まさかの夢魔(サキュバス)、しかも、夢魔の女王(サキュバス・クイーン)とはな。


かなり、強い魔族だが・・・称号欄どうなってるんだ?

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