表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/8

第3話 帰還と圧倒

あの後、シルヴィから何個か忠告を受けて俺は元の部屋に戻ってきていた。


だがあちらに行った時と違い、今ベットに横になっている俺の横には寄り添うように寝ているマリア。


そして、俺の上に覆いかぶさるように寝ているルーとクゥーがいる。


俺は穏やかに眠る3人に苦笑し、3人に声をかける。


「マリア、ルー、クゥー起きてくれ」


俺がそう声をかけると3人ともすぐに目を覚ました。


「ノブユキ様・・・どうやら着いたようですね」


「パパ~。おはよ~」


「おはようございます。お父さま」


「あぁ、おはよう」


俺は三人を起こして、状況を説明した。


3人には基本的に精霊化してもらって実体化するのは俺が結界魔法で密室にして周りの目がないときのみにしてもらった。


3人は文句たらたらだったが、旅に出たらいくらでも実体化してもらっても構わないというと素直に言うことを聞いてくれた。


3人が精霊化して部屋の隅で戯れているのを確認して俺は結界を解除してメイドに夕食の準備をしてもらった。


メイドが夕食を運んできた後、風呂などについて質問した後、後の世話を断り、メイドを部屋に戻らせて、結界で部屋を覆い、音が外に漏れないようにしてから3人に実体化の許可を出した。


その後、夕食を食べて、お風呂に入った。


ちなみにお風呂は個室に小さいがバスタブがあり、実体化したマリア、ルー、クゥーと一緒に入ったが、これは前回の転移の時からなので特に何もなかった。


せいぜい言えばマリアが俺の背中にずっと抱き着いて、ルーとクゥーが俺の胸にずっと抱き着いていたが、これはバスタブが狭いせいなので仕方ないだろう。


そして、お風呂から上がった後、動きやすい服装に着替えた俺は3人といろいろなことを話しながら過ごしていたが、いきなり部屋のドアがノックされた。


俺は3人に精霊化してもらって、結界を解除して、ドアを開けると部屋の前にはクラスメイトの男子が立っていた。


名前は憶えていないが、ステータスを見たら伊藤誠也(いとうせいや)と書いてあった。


「伊藤か。どうしたんだ?」


「君を呼んでくるように言われてきたんだ・・・ついてきてくれないかな?」


伊藤はビクビクしながら俺にそう言ってきた。


俺は誰に言われたんだと聞こうとしたが、それよりも先に伊藤が歩きだしてしまったのでついていった。


ちなみに俺の後ろをマリア、ルー、クゥーの精霊組がついてきている。


俺は普通についてきている精霊組に苦笑しつつ、伊藤を追いかけた。


そして、伊藤が俺を案内したのは城の裏手にある庭園であった。


「連れてきたよ・・・」


伊藤がそう言うと、暗がりから男が4人と女が2人出てきた。


全員がニヤニヤしながら俺を見ている。


全員クラスメイトだが、生憎と俺は憶えていないし、ステータス鑑定をする気も起きなかった。


「よう、久我~。こんなところによくノコノコ出てこれたな~」


「お前らが呼んだんだろうが・・・それでなんの用だ?見た目だけヤンキー軍団」


俺がそう言うと、俺を囲んでいる連中が俺を睨んできた。


ちなみに俺をここまで案内した伊藤はいつの間にかいなくなっている。


多分、脅されて俺をここまで呼んでくるように言われたんだな。


・・・かわいそうに。


俺が伊藤に憐憫の思いを抱いているとさっきまで俺を睨んでいた見た目だけヤンキー軍団が今度はいきなり笑い出した。


「やっぱりこいつ!!落ちこぼれだ!!全ステータスが10でスキルもないし、ユニークスキルもない!!超雑魚だ!!」


なるほどな・・・鑑定されたのか。


ローラの言っていた通り、封印による偽装が働いているみたいだな。


「おい!!久我!!今すぐ謝ってさっきの発言を撤回するなら俺たちの奴隷にしてやるぞ~」


「なんで俺がお前らみたいな見た目だけのヤンキー軍団の奴隷にならなきゃいけないんだ?頭大丈夫か?異世界来てボケたか?・・・あぁ、地球にいた時からバカだったか」


俺がそう言うと、見た目だけヤンキー軍団が切れたようで何か喚いているが、俺はこの後の展開が分かりやすすぎたためあるスキルを使った。


案の定、見た目だけヤンキー軍団がいきなり殴りかかってきた。


「落ちこぼれのくせして口だけはいっぱしだな!!ならお前をボコボコにした後土下座させてやるよ!!真身体強化!!」


先頭にいたやつがユニークスキルの真身体強化を使ったようだ。


そして、それに合わせるように周りの連中のなかで男たちが何か叫びながら俺に向かってきた。


残っている女たちは何かつぶやいているが・・・おそらく呪文詠唱をしているんだろう。


見た目だけヤンキー軍団を冷めた目で見ていると、先頭の男が俺に殴りかかり・・・拳を破壊されていた。


「ぎゃああああああああああああああ」


俺に殴りかかろうとして、逆に拳を破壊された男が右手を抑えて悲鳴を上げている。


その手からはすさまじい勢いで血が流れている。


周りの仲間たちはその様子を呆然と眺めていた。


だが、残った男た3人が一斉に俺に殴りかかってきた。


そして、最初の男と同じく殴った手を破壊され、地面に倒れた。


俺はそれを冷めた目で眺めた後、呪文を詠唱していた女たちを見た。


すると、青ざめた顔で俺を睨みながら呪文詠唱を終えたようで魔法を放ってきた。


ファイアーボールが3発とロックバレットが2発、俺に向かって放たれた。


俺はそれを・・・()()()()()


「「・・・えっ?」」


俺はそいつらを一瞥すると何も言わずに部屋に戻った。


部屋に戻った俺は、戸締りをしっかりして、結界を展開した。


するとそれに合わせて精霊組が実体化した。


「パパ、すごーい!!」


「お父さま、さすがです!!」


「ありがとう、ルー、クゥー」


俺は2人を撫でながら、マリアを見た。


「マリア。眷属の小精霊をさっきの連中のところに送って尾行してくれ。何か進展があれば報告してくれ」


「わかりました。ノブユキ様」


マリアは俺に頭を下げると、彼女の体から6体の光の玉が生まれ。それが部屋の外に出て行った。


それを確認した俺はベットに入って寝た。


もちろん俺の右隣にはマリア、左隣にはルー、クゥーが並んで寝ている。


懐かしい暖かさに俺の意識はまどろんでいった。


次の日の朝、俺は窓を激しくノックする音で目を覚ました。


何かあったのかと思い、すぐに3人に精霊化してもらい、結界を解除した。


ドアを開けるとそこには俺の世話役のメイドと騎士が4人ほどいた。


「こんな朝早くから何の用ですか?」


「ノブユキ・クガ。君は魔王軍のスパイ疑惑が上がっている。我々とともに来てもらおうか」


騎士たちはそう言うと俺の両腕をつかみ、連行していった。


俺が連行されていった先は昨日国王と対面した謁見の間だった。


謁見の間にはすでに国王と王女、それにクラスメイト全員がそろっていた。


俺は国王の前まで連れていかれ、跪かされた。


そして、俺をここまで連れてきた騎士全員に剣を突き付けられた。


そして、国王の隣にいた宰相が話し始めた。


「容疑者ノブユキ・クガは鑑定の宝玉で特に優れたステータスを持っていないにも関わらず、昨夜ユウマ・アサイ殿、ユウゴ・イトウ殿、リク・タケダ殿、レン・キシダ殿、ユウコ・スガワラ殿、ナナ・マツダ殿、セイヤ・イトウ殿を夜遅くに呼び出し、殺害しようと画策、結果ユウマ・アサイ殿、ユウゴ・イトウ殿、リク・タケダ殿、レン・キシダ殿が重傷を負うも一人も殺せず撤退。そのままこの王城に潜伏。勇者様と国王の命を狙っていると思われる。よって、我々はノブユキ・クガの処刑を国王陛下に提案します」


すると、俺のクラスメイトが一斉に騒ぎ出した。


国王は最初の報告を聞いて、一度目を閉じたが、すぐに目を開け、俺を見つめてきた。


「クガよ。おぬしは魔王軍のスパイなのか?」


俺はそれにため息をつきたくなった。


だが、俺が何か言う前にアホが口をはさんできた。


「そいつは間違いなく魔王軍のスパイだ。ステータスが全部10でスキルもユニークスキルもないのに俺たちに大けがを負わせたんだ。間違いなく魔王軍から貸し与えらえた何かを持ってるはずだ」


見た目だけヤンキー軍団の浅井がそう叫ぶとほかのヤンキー軍団も浅井に同調して叫びだした。


国王はそんな見た目だけヤンキー軍団を一睨みして黙らせると、もう一度俺を見てきた。


「もう一度聞こう。おぬしは魔王軍のスパイか?」


「国王はどう思っているんだ?」


俺の言葉に騎士や宰相が俺を睨みつけてきたが、俺は気にしなかった。


「わしにもわからん。おぬしが魔王軍のスパイならいつ魔王軍と連絡を取ったのか疑問点が残る。だがおぬしが魔王軍のスパイでないのなら昨日の出来事と鑑定の宝玉の結果の整合性が合わない。なので決めかねておるが・・・」


「でしたら国王陛下。このものは処刑してしまったほうがよろしいかと。魔王軍のスパイならこのまま城に置いておいては危険です。それに仮に魔王軍のスパイでなくても暴力行為で勇者様方にけがを負わせてのです。その罪は処刑するに値するものです」


「しかし・・・」


国王はいまだに悩んでいたが、いい加減俺はこの茶番の相手をしているのが面倒になった。


「もういい。つまりこの国としては俺を処刑したいってことでいいんだな」


俺がそう言うと国王が否定しようとしたが、それよりも宰相が先に叫んだ。


「何を偉そうにしている!!ステータスが低い落ちこぼれ風情が!!国王陛下への侮辱罪でこの場で処刑してやる!!騎士たちよ!!その愚か者を殺せ!!」


宰相がそう叫ぶと、俺に剣を突き付けていた騎士が思いっきり剣を振りかぶり、俺を切り殺そうとした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ