第2話 再会と現状把握
「それにしてもまた異世界に呼ばれるとか、あんたは神に愛されてるね~」
目の前のソファに座りながら、大爆笑している美女。
俺はそいつの対面のソファに座り、テーブルの上のクッキーを食べながらジト目でそいつを見ていた。
「女神のくせに他人の不幸を大爆笑してんじゃねよ。それで、今回の召喚はお前の仕業か?」
「いや。前回と違って今回は私は関わってないし、あの世界の担当女神も関わってないよ。そもそも異世界転移と異世界召喚は完全に別物のシステムさ。異世界転移は女神が担当の世界を消滅から救うために別の世界から人を呼んで力を与えるシステムなんだけど、異世界召喚は基本的に地上の人間の能力かそれ専用のマジックアイテムを使って召喚するからそれには神の力は絡んでない。それ専用のシステムが自動的にステータスと専用のスキルを与えるだけ」
「なるほどな。つまり、今回の召喚はあの国の独断ってことか?」
「私たちは力を使ってないし、さっきあの子から召喚システムが動いたって報告受けてるからそうなるね」
「そういえば、あいつらは?」
「マリアは今君が召喚された世界の担当女神にお届け物してもらってるからいないけど、そろそろ帰ってくるんじゃない?ルーとクゥーはさっきまで遊んでいたけど今は寝てるよ」
「そうか・・・」
俺たちが話していると、俺の背後からコンコンと控えめなノックの音が鳴った。
女神が「どうぞ~」というと、ゆっくりと扉が開かれた。
・・・ここ、扉なんてものがあったんだな、気づかなかった。
「失礼します。お使い終わりましたよ。シルヴィア様・・・」
入ってきた女性は金髪の髪をシュシュでまとめ、真っ白なワンピースを着ている美女であった。
その美女と目が合った。
俺は笑顔を浮かべながら、手を振った。
「久しぶりだな。マリア」
俺がそう言うとマリアが一直線に俺の胸に抱き着いてきた。
「ノブユキ様!!会いたかった!!会いたかったです!!」
マリアが俺を抱きしめて、号泣し始めた。
すると、さっきマリアが入ってきた扉がバタンと勢いよく開き、見た目10歳くらいの女の子が二人、入ってきた。
青い髪をポニーテイルにしている女の子と黒い髪をマリアと色違いのシュシュでまとめている女の子だ。
その2人も俺と俺に抱き着いて号泣しているマリアを見て、俺に向かって走ってきて俺に抱き着いた。
「パパー!!やっと帰ってきたー!!会いたかった!!」
「お父さま!!会いたかったです!!会いたかったです!!会いたかったです!!会いたかったです!!会いたかったです!!会いたかったです!!会いたかったです!!会いたかったです!!会いたかったです!!会いたかったです!!(以下無限ループ)」
「ルー!!クゥー!!分かった。分かったから落ち着け!!マリアもいい加減泣き止んでくれ!!そして、そこのソファで腹抱えて爆笑しているアホ女神はさっさと助けろ!!」
その後、俺に引っ付いて泣きわめく3人が落ち着くのに30分ほどかかった。
「いや~。君たち親子は本当に面白いね~」
さっきまで、俺たちの様子を大爆笑してみていて、割りすぎてむせていたアホ女神がようやく落ち着いたようでいまだ少し笑いながらそう言った。
ちなみにマリアは俺の腕に抱き着いておれ、ルーは俺の膝の上に座りながらクッキーを食べて、クゥーは俺の背中に抱き着いている。
さっきからクゥーの鼻息が荒すぎて、少しくすぐったい。
「それにしてもノブユキ様はどうしてここに?」
「俺はまた異世界に召喚されてな。地球と違い、魔力がある異世界ならここに来られると思ったんだ」
「そうですか。いつもメッセージのやり取りはしてましたけどこうして会えるとやはりうれしいですね」
「そうだな。マリア」
そういって俺はマリアが抱き着いている腕とは反対の手でまりの頭を撫でた。
俺に撫でられたマリアは顎を撫でられた猫のように目を細めて気持ちよさそうにしている。
「イチャイチャしているところ悪いんだけど、君は何かあたしに用があったんじゃないの?」
「あぁ、そうだった。俺のステータスについて聞きたいのと、マリアとルーとクゥーを連れていきたいんだが」
「そうか。マリアとルー、クゥーはもともと君の契約精霊だから問題ないよ。もともと地球に戻った君の下では生きていられないからここに置いていたんだけど。君が異世界に来たのなら連れていくといいよ。そのほうが彼女たちも喜ぶっしょ」
「ありがとよ。シルヴィ」
「いやいや。あたしとノブユキの仲じゃないか。それでキミのステータスで聞きたいことって?」
「とりあえず、これを見てくれ」
俺はそう言って「ステータスオープン」とつぶやいた。
すると、俺の前に透明な四角い板が現れた。
~ステータス~
NAME (名前) 久我信之
RACE (種族) 亜神
SEX (性別) 男
LV (レベル) 測定不能
HP (生命力) 測定不能
MP (魔法力) 測定不能
PWR (物理攻撃力) 測定不能
MPWR (魔法攻撃力) 測定不能
SPD (速さ) 測定不能
DEX (防御力) 測定不能
MDEX (魔法防御力) 測定不能
LUX (幸運値) 測定不能
SKILL (スキル) ・体極LvMAX ・剣極LvMAX ・全属性魔法LvMAX・結界魔法LvMAX ・時空魔法LvMAX
USKILL (ユニークスキル) ・神身体強化Lv- ・威圧LvMAX ・精霊術LvMAX ・飛行LvMAX ・転移魔法LvMAX ・無限倉庫Lv-
EXUSKILL (エクストラユニークスキル) ・悪夢の暴食 Lv- ・転移門LV- ・消滅LV- ・神眼Lv- ・神魔法Lv-
STATE (称号)異世界転移者 魔王を葬りし者 異世界の英雄 神の使徒
「どういうことだ?」
「どういうことって?」
「確か、地球に戻るときに生活に不自由しないようにステータスは調整するって言ってたよな?なのになんでこんなバケモノステータスになってんだよ」
「厳密にいえば、一度変化したステータスは神の力であっても元に戻すことはできない。神々でもね。だから君のステータスは地球に戻る際に3段階に分けてステータスに封印をかけて一般的な人間と同程度のステータスに戻した。スキルの方は使おうとしなければ発動しないからね。地球に戻るときに使わないように言っただけで封印はしてないよ」
「なるほどな・・・それで俺が聞きたいのは今回新しく入っている項目についてだ」
「あーエクストラユニークスキルのことだね」
「これって今回の召喚で付与されているってことだよな?今回の召喚にお前らの力は関わってないのに何でこんなことになっている?」
「詳しく説明すると今回の召喚で君に新しく追加されたのは悪夢の暴食だけさ。ほかの四つは今回の召喚ではなく前回の転移の時についてたものと地球に帰還する前に着いたものがある」
「はぁ?気づかなかったぞ?」
「そりゃそうだ。転移するときに付与したエクストラユニークスキルの消滅は君が魔王を倒せずに死にそうになった時に最終手段として付与したものだからね。できれば使ってほしくなかったんだけど君が無事消滅を使わずに魔王を倒したからね。言ってなかったんだよ。残り三つの転移門と神眼、神魔法は君が魔王を倒して称号に魔王を葬りし者と異世界の英雄が付与されたときに転移魔法から派生して生まれたのが転移門で真鑑定から進化してのが神眼、神聖魔法が進化したのが神魔法だよ」
「なら、なんで今の今までステータス欄に出てこなかったんだ?」
「エクストラユニークスキルは普通のステータス鑑定では表示されないんだよ。それに君、魔王討伐した後ステータス鑑定した?」
「・・・してない」
「そういうこと。つまり神眼でのステータス鑑定は今回が初めてだ。だから今まで出てこなかったエクストラユニークスキルも見えるようになったていうこと」
「てことはあの宝玉を使ったステータスチェックでの全項目かゼロだったのはそういうことか?」
「いや。君にかけている封印はまだ効力を持っているあの封印は君のステータスを抑える力と君のステータスを偽装する力がある。だから封印が施されている間のステータスはあの宝玉でのステータスの通りさ。まぁ、封印によるステータス偽装は神眼に通用しないけどね」
「そういうことだったのか」
「それに神眼がある今なら、ステータスの詳細鑑定もできるようになってるから悪夢の暴食も詳細鑑定で鑑定してみるといい。何かわからないことがあったらまた連絡してくれ。」
「わかった」
「それで、君は契約精霊を全員連れてどうするんだい?魔王でも瞬殺して地球に戻るのかい?」
シルヴィにそう聞かれ、俺はいまだ俺の腕に抱き着き、俺を見つめているマリア、そしていつの間にか俺の膝を枕にして寝てしまったクゥーとルーを見て少し笑みをこぼし、まっすぐにシルヴィを見た。
「前回は俺が魔王を倒さなきゃいけないという責務があった。だが今回の召喚で俺にそんな責務はない。だからこそ、久しぶりにこいつらと再会できたんだ。今回の異世界は自由に好きかってやらせてもらうさ」
俺がそう言うと、シルヴィは一瞬呆けた顔をしたが、次の瞬間大爆笑した。
「ハハハハハ。そうかいそうかい。君はそういうやつだったな。いいんじゃないか。前回は確かに君は魔王討伐だけを考えて生きていた。そういう生き方をさせてしまった僕が言えたことじゃないけど今回の異世界は楽しんで生きてほしい」
「おう!!」
俺がそう言うと俺たちはお互いに笑った。
ひとしきり笑うと俺はシルヴィにあることを頼んだ。
その頼みを聞いてシルヴィはまたしても腹を抱えて大爆笑した。