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肉ボールのアキラくん

腰を落とした前傾姿勢と固いガード。

四肢まで一体化したような肉の塊。

難攻不落な構えあるえある……ボクシングならば。


しかしここは王国の刃。

敵は刃物を持っている。

さてこの難題、アキラくんどのように解決するのか?


答えは簡単、単純明快。

アキラくんは頭を振り始めた。

的を絞らせないという選択だ。


右から攻めるぞ、左から行くぞ。

そんなプレッシャーを与えている。

剣士は悲しいな、そんなアキラくんの誘いにいちいち切っ先を反応させていた。


だが切っ先の反応はまだまだ間に合っている。

アキラくんとしてはもうひと工夫が欲しいところ。

そのひと工夫に、アキラくんは左右のステップを持ってきた。


剣士はますます困する。

当たり前だ。

剣士は即応できないポジション、ピポットポジションを狙われているのだから。


その迷いの瞬間、アキラくんが飛び込んだ。

右フック左のボディ右ボディ左フック。

釣瓶打ちとはこういうことを言うのか、この場面ばかりはアキラくんの一人舞台である。


などと思っていたら。

危ない、この剣士は刀を返してきた。

反撃の意思がある。


アキラくん後退、一度間を取る……物理的にも精神的にも。

しかし剣士は後退したアキラくんを、切っ先で狙っている。

まあまあやる方だ、正義の男ジョージ・ワンレッツくらいには使うか。


アキラくんも構えが変わる。

ピーカーブースタイルから肩の力を抜いて、上手なインファイターの形に入った。

これまでのブンブン丸から、ストレート系インファイターに変わるのだろう。


入るぞ、入るぞとフェイントをかけて、相手が空振りしてからジャブ。

あるいはストレートパンチを軽めに撃ち込む。

そうだ、無理などすることはない。


ノックアウトばかりがファイトじゃないのだ。

まっすぐなパンチが当たり出して、剣士は後退する。

場外線を二度三度と割った。


その末に棄権を申し出てきた。

実力的に見て、賢明な判断と言える。

もう逆転の見込みは無くなっていた。


アキラくん、いわゆるTKO勝利である。

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