選抜会議
「さて困ったのぅ……」
そう言ってアゴを撫でたのは緑柳先生。
お久しぶりの私視点、貴女のリュウです。
さていつもの茶房『葵』、こちらに災害先生四人で集まり会議の最中と思っていただきたい。
「五人に絞るのかい、誰が良いかのう?」
「才能が多過ぎですからねぇ……」
フジオカ先生が続けた。
五人に絞る、才能の宝庫。
つまり出したい選手が多過ぎて、どんなメンバーで揚心流を迎え撃つか?
そこで悩んでいるのだ。
簡単に名前をあげてみよう。
鬼組ユキさんとまほろばの白銀輝夜、この二人はテッパンだろう。
欲を言えばキョウちゃん♡も出したいしフィー先生なども候補に上がる。
ウチなどもシャルローネさんとトヨムがいる。
フジオカ先生のところにはナンブ・リュウゾウという『強いってんなら滅法強い、森の石松』がいる。
そう、士郎さんのところには忍者もいるじゃないか。
さらに言うなら拳闘少女赤ブルマーの戦士、アキラくんも出してみたい。
そして茶房店主の葵さん。
こちらの体術も魅力的だ。
……もう何人の名前があがった? 明らかに定員オーバーだろう。
ざっと十人、定員の倍である。
これを五人に絞るのだ。
卓には名前の書かれた札が置かれていた。
その一枚を緑柳先生が移動させる。
「いつまでも困った困った言ってても仕方ない」
移動させた札はナンブ・リュウゾウにトヨム、葵さんにアキラくん。
そして忍者。
一応五人だ。
「このメンバーは除外ですか?」
私が訊く。
「うんにゃ、無手のメンバーよ」
「ほう」
思わず興味をひかれる。
無手対剣術か。
「面白かろう?」
「ブッチギリで」
士郎さんが即答。
実力勝負なら、私たちの圧勝だろう。
揚心流の試合動画を確認させてもらった。
失礼ながらオリジナル剣術といった雰囲気。
どこの系統、どんな流れを汲むといったモノではなさそう。
ならば無手のメンバーというのも有りか。