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タイトル未定2025/01/16 19:09

「ほいじゃあリュウ先生、他の先生方にも観てもろうて結論づけてみるのはいかがかいのう?」

「それだな、セキトリ」



私は自分のモニターを開くと、すみやかにアンチクショウへメールを打つ。



本文

へいセニョール、観たかい今回のチャレンジャー。

まだ観てないなら地獄車を八回転してからエビ反りハイジャンプ魔球のなげこみ百万球、フィー先生のバストアップ体操の講習を受けた上で拝見してみやがれ。お前ぇのあぼーんフェイスが目に浮かぶぜ!

動画サイトで検索ワードは『揚心流 中島』だ!

それじゃあな、俺はこれから小隊のレディたちとブリリアントな夕食だ! 邪魔するんじゃねーぞ、チャオ♡

                              お前の愛人エマニュエル・リュウ




「送信っと」



士郎さんへメールを送る。


すると思いのほか素早く返信があった。



本文

よう、俺だぜ。麗しの美人妻を娶って人生絶好調のダンディ・士郎だ。

独身で家に帰ってもゴキブリの卵温めるしか用のないゲス野郎に、勝ち組の俺様が直々にメールを返してやるぜ。


おかしなモン見せるんじゃねぇ、このスットコドッコイ! 思わず日課のヨガをしながら屁の勢いで空中浮遊しちまったじゃねぇか!


だがよ、こいつぁ一流派立ち上げる力量じゃないってのは確かだな。お、体術まで披露してるぜ。




とのこと。

なに、体術だと? 興味は無いが確認しておくか。

……………………。


なんですか、コレは?

発剄とかタイトルがついているが、癇癪起こしたおじいちゃんが腕を振り回してドタバタと地団駄を踏んでいるようにしかみえないのだが……。



「ねぇダンナ、これが発剄なの?」



トヨムが訊いてくる。



「中国武術は門外漢なので断定はできないが、恐らく違うと思う。士郎さんもそんなニュアンスだ」

「ん~~……揚心流を知らないかもしれない、発剄も謎理論となればこの方……インチキですかー?」

「その見解だと違うだろうね、彼は彼なりに稽古を積んで一流派を立ち上げた。だがその目的が、私や士郎さんのような人間とは違うところにあるのだろうさ」



もちろん彼の武術解釈も理論も、まったく別物なのだろう。



「正直ダンナ、鬼将軍の大将がダンナに『このオジサンとたたかってくれ』って言ってきたらどうする?」

「闘うさ、もちろん。私たちの立場はいわゆる食客だ、断ることはできない。ただし、この中島氏に対しての興味は毛ほども無い」

「難儀だねダンナも……」

「剣士とかサムライとかいう穀潰しなんてそんなもんさ。生産性が無いから生産力のある奴が喜ぶ芸を見せて食わせてもらう。あの剣聖宮本武蔵でさえ、晩年はそんな立ち位置だったからね」

「へぇ〜~……武蔵さまがねぇ……」



ほう、トヨムが武蔵さまと来たか。

一端の持ち上げ方を覚えたものだ。



「ですがリュウ先生?」



カエデさんが言いにくそうに切り出してきた。



「実は今度カモメさんのチャンネルで、振り返り配信をすることになりまして……」

「唐突だね」

「だから切り出しにくかったんですよ。リュウ先生にもご一緒いただけたらと思いまして……」

「断ることなどできないさ、カエデさんの申し出なら」



ということで、揚心流の話題を打ち切り、一度振り返り配信に移行します。

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