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栄光は君に輝く

オーバーズ主催『王国の刃』最強決定トーナメント、決勝戦に上がってきたムニたん選手。

その秘密のベールがとかれたが、シーツの下からあらわれたのはピンク色の騎士甲冑!

ムニたん選手、フルプレートアーマーで登場です!


カエデ参謀、これはどうしたことでしょう!?



「ムチを避けられないなら鎧を着込め、ということでしょう」



それは分かりますが、機動性や視界で不利に働きませんか?



「動きにくいでしょうが動けない訳ではありません。視界は悪いですが見えない訳ではありません」



そうこう言っている間にも試合開始、ゴングが鳴ったーーっ!

ハネル選手まずはムチをひと振り、しかしペチッと音がしてカスダメしか入らない!

さらに攻撃、また攻撃! しかしペチペチという音ばかりでまともにダメージを与えられない!



「なんだよこれーーっ! 汚ぇだろっ!!」



文句をたれるハネル選手、そんなこと言ってる暇はあるのか!?

ムニたん選手の手槍がハネル選手の脇腹に入ったーーっ!!

『あふん♡』と可愛らしい声をもらして、ハネル選手転倒!


ムニたん、這いつくばるハネルが逃げられないように足で踏みつけて、突き突き突き突きーーっ!

どんどん突く、まだまだ突く! 観客席からはワッショイワッショイの大合唱!

そしてついに、今大会初の防具破壊、積み重なったダメージで防具が砕け散った!


これは大きなポイントだ、そして配信衣装の背中を突く脇腹を突く!

ゲージを削られるハネル選手、しかしムニたんの足元から抜け出せない!

オーバーズという素人集団の戦闘ゲームにおいて、ついに出るのか初キルシーン!


観客席が沸いている、日本中が沸いている!

そして世界が沸いている!

注目の中ついにっ、削った削った初キルだーーっ!


誰が予想したこの結末、神のいたずらのようなこの結果!

優勝の栄光と賞金一千万円は、ムニたんのものとなったーーっ!!

駆け寄ります、いや試合場へとなだれ込みますオーバーズ!


華奢なムニたんがもみくちゃにされて、それでも何かを捜し求めている!

何かを叫んでいる!



「……エイドリアン……エイドリアーン!!」



ムニたん君の年はいくつだ!?

イマドキの女の子はエイドリアンなんて知らないぞ!

そして会場の屋根は開かれた!


夜空に花火が打ち上げられ、暗転した試合会場にムニたんの姿が浮かび上がる!

時刻は深夜0時ちょうど! 新しい年のスタートです!

放送をご覧のみなさま、明けましておめでとうございます!!


オーバーズ今年最初の配信は、ムニたんのこの笑顔からスタートします!

敗れたハネル選手も実に天晴、決勝の舞台を踏むなどとは失礼ながら誰も考えていなかった!

そのハネル選手が夜空にほえる!



「一千万円がもらえなきゃ、意味ねーんだよーっ!」



これぞ魂の叫び、いつわらざる本音!

こんなところで撮れ高をひと稼ぎするあたり、まさにエンターティナー!

しかししかしだ、おーっと!?


その傍らに漆黒のマント、嘘くさいくらいに真っ白な軍服!

ピカピカに磨かれた皮長靴の男、この大会の首謀者のひとり。

ミチノックコーポレーション総裁、鬼将軍水樹隆士が寄り添った!


マイクを手にする!

何を語るというのかっ!



「……全世界の諸君、この国日本では年が明けた。新年を祝おう」



ありきたりな挨拶ではあるが、まだマイクは手放さない。



「そして我が国日本には、新年にとくべつなお小遣い『お年玉』を与える風習がある……」



お年玉……来るのか、お年玉…っ!?



「オーバーズ配信者諸君、陸奥屋まほろば連合ネームドプレイヤーたちから好きな者を一人選ぶが良い! その者に勝利したならば現ナマトッパライで五百万円を進呈しようではないかっ!!」



キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!! 新年そうそうにビッグボーナス!

ネームドプレイヤーを倒すだけで、なんと総裁からのお年玉、五百万円をトッパライでいただけるお年玉企画!

一人倒せば五百万円、鬼将軍プレゼンツ!


いつ、どこで催されるのかっ!?



「いまっ、この場でだっ!!」



出時やり時を外さない鬼将軍、アフターのイベントもこいつにおまかせだっ!!

そうなると一番手、誰がゆく? 誰を選択する?

ハイッと手を上げた一番槍!


やっぱり出てきたあんたが大将! 愛されるべきアホウドリ、カモメがトップバッターだ!

手には得物の日本刀、そしてカモメは誰を指名する!



「フッフッフッ……ここで誰を指名するか? 実はそこが五百万円チャレンジの肝ってヤツよ……」



あーーっとここで自信満々、アホウドリがこっちを見た!

放送席に目をくれている!



「悪いなカエデちゃん! カエデのために五百万円になってくれ!!」



ここであのアホウドリ、頭脳労働者のカエデ参謀を指名した!

実に姑息、実に欲たかり!

そんなに醜い心を晒してまで、五百万円が欲しいのかーーっ!



「……いいですよ」



カエデ参謀もこれを快諾!

鬼将軍プレゼンツ、五百万円チャレンジがここに開幕だーーっ!!

試合場に上がるカエデ参謀、いつもの得物の丸楯片手剣。


両者が見合って見合って、それゴングだ!

さあ解説のリュウ先生、この一戦をどのようにみますか?



「まあカモメさんは初手、頭から突っ込んで来るでしょう」



リュウ先生の言葉通り、突撃一番カモメが突っ込む!

しかしカエデ参謀、これをケロリと躱してしまう!



「まあ一直線の電車道ですから」



あ、カエデ参謀。マイクは切ってもらって構いませんから。

カモメは振り向いて仕切り直し、カエデ参謀は涼しい顔。

そしてカモメは二度目の突撃、お前はそれしか無いのかーーっ!


これも闘牛士のように軽やかに躱したカエデ参謀。

そして仕切り直すカモメ、三度目の突撃を開始っ!!



「チッキショーーッなんで当たらねぇんだよ!」



カモメ、お前もマイクを切れ……って、アレ?

カエデ参謀がいない!

姿を消したカエデ参謀っ!


「どこだっカエデちゃん! どこ行ったっ!」

「ここにいるんですけど?」



あーーっと、カモメの陰に隠れていたカエデ参謀!

突然姿を現して、無防備なカモメにワンショット、ツーショット、スリーショットの三連撃!

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