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準々決勝最終試合まで

昨夜の日本酒が効いてしまい大遅刻です。

会場全体がお桃色、当然私もピンク色のフルプレートアーマー、金狼ヨミがお送りしております。



「乗りましょう、このビッグウェーブに! 解説の参謀役カエデです」

「フルフェイスの兜もかぶっているので、もはや私が誰か分かるまい。解説のリュウです」



いやぁお客さまもノリが良いというか、みなさん一斉にピンク色になってくださいました。



「これはもう箱推しのみなさんが『わかってらっしゃる』というものでしょう」

「それにしてもカモメ選手としては、四面楚歌の孤立無援。やってらんねー感に満たされているのでは?」



チッチッチッ……リュウ先生、それは違います。

アレもこの業界ではすでに『姐さん』と呼ばれるくらいの古株。

つまりあらゆる困難を気合いと根性だけで乗り切ってきた女。


この程度で燃え上がることこそあれ、しなびるなどということはとてもとても……。

それはそれとしてカエデ参謀、カモメの片手剣にムニたんの厳ついランス。

この武器のチョイスはいかがでしょう?



「まずはカモメ選手、片手剣ということで快速軽快攻撃的で連打を狙うという、大変にカモメ選手らしい武器と言えるでしょう」



対するムニたん選手のランスはいかがでしょうか?



「ムニたん選手と言えば、オーバーズの中でも屈指の体力無し。それが扱いにくい大型ランスというのは、私としても『ん~~……』と唸らざるを得ませんねぇ」



リュウ先生はいかがでしょう?



「カモメ選手の得物に関してはカエデさんと同意見ですが、逆に言えばカモメさんはその考えまで手に取るように分かるほど単純……失礼、バカのひとつ覚え……失礼、一本調子と言えます。そこにつけ込むためのランスとしたら、ムニたん選手。兵法を見せてもらえるかもしれませんよ」



弱者には弱者の策があるのか?

それともカモメが面白くもなんともなく、プニプニほっぺを蹂躙するのか?

見合って見合って……ゴングです!!


まずは先制とばかり、カモメの突進!! しかし片手剣の間合いに入る直前で止まった止まった止まった!

対するムニたんが無防備、唇に人差し指をあてがい可愛らしい童女の表情!

これに斬りかかるは鬼の所業、血も涙もない悪魔の振る舞い!


斬れないカモメ、これは斬ることができない!



「猟師に追い詰められたシカの瞳は、必殺の引き金をためらわせる愛くるしさがあると言いますが、ムニたん選手のあどけない眼差しが正にそれ、ということですね!」

「ここで斬りかかるには『人』を捨てなければならないカモメ選手。私はカモメさんが斬れないに一票です!」



ためらっている、カモメとしては大変に苦しい展開。

果たしてカモメは剣を振りかざすことができるのか!?

あーーっとムニたん選手、重たいランスでカモメの足を払ったーーっ!!


カモメ転倒、カモメ転倒!!

そこに重たいランスを突き刺すムニたん!

普通ならばブスッブスッと音がするところですが、なぜかその音はぴすっぴすっ。


それもそのはず、ランスのするどい先端はカモメのお尻を攻め立てている!

「ちょ、お前どこ刺して……」という声も虚しく、カモメは手足をバタつかせるばかり!

それもそのはず、なにしろカモメは『お尻を責められている』のだから!


「バカヤロ、恥ずかしいだろ!」と口では言うものの、抵抗しないのか抵抗できないのか!?

カモメ選手一方的にお尻を責められてしまった!

口元が緩んでいる、カモメにガチ恋とウワサされているオーバーズメンバーの、その口元が緩んでしまっている!!


あーーっとここでカモメ選手ギブアップ!

恥ずかしい場所を丹念に責められて、恥ずかしさのあまりとうとうギブアップ!

ありがとうカモメ、君はハガネ隊長の次に貢献してくれた!


耳まで真っ赤、うつ伏せのまま耳まで真っ赤にしてカモメ選手動けない!

ムニたん選手、そんなカモメにもうひと槍!

ここでカモメも良い反応っ!


まるでセンシティブ・クイーンの座を狙っているかのようだ!

カエデ参謀いまの一戦どうでしたか?



「酷いといえば酷い話ですが、オーバーズとしては極上の闘いと評価します」



リュウ先生はいかがですか?



「まぁ、よもやの一発勝負。大胆な賭けに出たムニたん選手、サプライズはありましたね。シークレットは存在してました」



あまりにも大胆、あまりにも積極的。

そしてあまりにもサティスファクションな策略で、ムニたん選手ベスト4。

準決勝へと駒を進めました!


そしてこの最強トーナメントも準々決勝最終試合。

赤からの入場はここまで生き残った最古参、なんだかんだで努力がモノを言った!

始祖のアイドル海ちゃん選手の入場、会場の半数がオーシャン・ブルーのTシャツに着替える。


そして半数が若葉色のTシャツに着替え始めた!

白からは若手のホープ、フィジカル・ナンバーワン!

先輩の背中を超えてゆけ、次は君たちの時代だ!! ニンジャ選手の入場だ!


最新の情報ではこの両者、オーバーズキャラクターのビジュアル人気投票においてワンツーフィニッシュを迎えたとのこと。

そんなビジュアル派両巨頭がここで、この場で激突です!


カエデ参謀、この試合どのようにみますか!



「気後れしない! 絶対に気持ちで勝て!」



ではリュウ先生。



「なんのために今日まで努力したのか、絶対に忘れるな!」



気持ちの入ったお言葉でした、それだけこの一戦は気持ちが勝敗を決するということ!

場内大歓声、準備はすべて整いました!

いよいよ世紀の一戦です!


白のニンジャは直刀のニンジャカタナ、対する赤の海ちゃん選手は軽快に手槍。

見合って見合って、ゴングです!

飛び出したニンジャを海ちゃんが迎撃、しかしニンジャこれを足で躱す躱す躱す。



「躱すだけじゃありませんね、間合いの長短を活かして海選手の小手に牽制を仕掛けてますよ」



なるほどそれでは海ちゃん選手、躱すニンジャ選手に追撃はかけられませんね。

間合いの海選手、速度のニンジャ選手。

勝利の女神はどちらに微笑むか!?

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