二日目終了、そして最終日へ
冬イベント二日目、残り試合時間は十分を切った!
ここでアメフト軍、起死回生の一手が打てるか!?
おっと、槍組力士隊を相手にしていたアメフト軍軽量級中量級が一斉に転進!
重量級と戦う陸奥屋一般プレイヤーたちへと一直線!!
「ここで美少女参謀が一般プレイヤーたちに散開の号令を出してますね」
一般プレイヤーたちは即応、攻撃の手をやすめてひたすら逃げ回っていますが、これは事前に打ち合わせがあったのですか?
「アメフト軍司令塔から指示が飛んでいたときに、私たちも仕込みをしていました」
なるほど、ある程度の予測はしていたんですね?
「ホント、読み合い化かし合いの世界です」
そして置き去りにされたかと思われた力士隊たち、こちらもアメフト軍中量級軽量級を追いかけて追撃の体勢。
「お互いがお互いをサンドイッチにする挟み撃ち合戦の様相ではありますが」
なんとここで陸奥屋一般プレイヤー、両サイドへと避難!!
挟み撃ちの罠をスルリと逃れて……あーーっと、今度はグルリ一周アメフト軍団を取り囲んだっ!
上手いぞ一般プレイヤー、やるじゃないか一般プレイヤー!
「一人ひとりの火力は小さいですが、軍としてまとまればその火力は無視できなくなります」
本来なら数で劣り、火力で負けている陸奥屋。
しかしアメフト軍に攻勢を許しません!
今や試合を動かしているのは、視聴者のみなさんと同じ一般人。
ごく普通に働いてゲームを楽しむ、達人でもなんでもない普通の人。
それが世界を代表するアスリート相手に、見事なまでの攻撃を見せている!!
「でも、攻勢もここまで。やっぱりフィジカルって凄いんだよね」
あぁっ、体力まかせに力まかせ。
フィジカル軍団の猛反撃に、陸奥屋一般プレイヤーたちが一人、またひとりと倒されてゆく。
戦線維持に奮闘するのは、陸奥屋古参の力士隊たち。
そして中堅格の情熱の嵐たち。
がんばれふんばれ、二日目終了のゴングはもうすぐだ!!
「陸奥屋としては一般プレイヤーたちをどれだけ三日目に繋げるか? そこが目標になっています」
がんばれーーっ!! 二日目終了はもうすぐだぞっ、格好悪くてもなんでもとにかく逃げ回れっ!
三日目に一人でも多く生き残れっ! そっちはダメだ、回り込まれてる! バカヤローっ、仲間助けるのに楯になる奴がいるかーーっ!!
そうだ、イイぞ、二人一組の形だ! あぁっ、それでも一人やられるっ! なんとか生き残れよ、みんなーーっ……!!
「さ、二日目終了の銅鑼が鳴りました」
……………………。
「カモメさん?」
カエデ参謀、何人生き残った……?
「カモメさんの応援が通じて、大半が生き延びました」
カモメ嘘はキライだよ、カエデ参謀、何人生き残ったんだよ……?
「中堅格に死亡無し、十八人全員健在」
一般プレイヤーたちは……?
「カモメさんの応援が通じて」
だから!
「一般プレイヤーの生き残りは、どうにか十三人。陸奥屋まほろば連合史上、最大の惨敗です」
……っ!
「気持ちはわかりますがカモメさん、世界クラスのアスリート相手にこの戦績は胸を張って良いものですよ?」
それはわかってるさ、わかってるんだけど!
「だけど? まさかとは思いますが、自分がいれば状況を好転させられるとでも?」
そんなことができないから口惜しいんだろ! カモメに力があれば、カモメが強ければ!
「誰でもそう思っています。だけどそれが簡単にはできません。それを可能にする者を、人は英雄と呼ぶからです。そして三日目、ヒーローたちの復活です!!」
そうだ、ポイントは逆転されて死人部屋は満室。
だけどこのピンチを覆すヒーローが、このチームにはいるんだ!
陸奥屋まほろば連合の牙門旗を高々と掲げ、ナンブ・リュウゾウを先頭にネームドプレイヤーたちが続々と入場!
そして最後尾には無敵の四先生!!
しかしその腰に木刀無し、いわゆるハンデ武器を手にしての行進だ!!
弱小キャラが知恵を使って危機を乗り越えるのが受ける昨今、それでも悪魔的な火力は魅力的!
仲間たちの仇を討ってくれ! 頼むぞまかせたぞ、英雄たち!
「そしてポイントはアメフト軍団有利の展開。全米の声援が集まる中、三日目のゴング!」
まずは牙門旗、ナンブ・リュウゾウが行ったーーっ!!
「だからアンタは行くんじゃないわよ、バカーーッ!」
しかしその脇をスルスル抜けるように、キョウちゃん♡選手が随伴。
牙門旗の護り手ここにあり!
二人を護らんと後を追うのは、二日目の生き残りたち。
一般プレイヤーに中堅格、そしてグッと格上げしてネームドプレイヤーたちも牙門旗を追いかける!
征けっ! 先に逝った者を追いかけて!
復讐するは我にあり! 好き放題してくれた倍返しだ!!
そして何もかもを追い抜いて、先頭に立ったトヨム小隊長!
長杖でまずは敵の攻撃を弾きとばす。
そこで一般プレイヤーと中堅格が敵を転ばせトドメを刺して、次々とキルの山を築く!
崩れゆくアメフト軍団の前線、そこへ本命ネームドプレイヤーたちが傷口を広げにかかった!
それでも丁寧、陸奥屋まほろば連合ネームドチーム。
確実に敵を転倒させて中堅格や一般プレイヤーにつなぎ、自らもキルを奪い?にゆく!
「放送席放送席、こちら現場のカエデです」
えっ!? 振り返り配信で実況中継?
「こちら最前線、敵に十重二十重と囲まれている牙門旗、ナンブ・リュウゾウ選手とキョウちゃん♡選手の様子です」
はい、最前線の様子はいかがでしょうか?
「真剣な血走り眼の米軍たち、それに囲まれているというのに旗手ナンブ・リュウゾウは大喜び。文字通りのクレイジーです」
キョウちゃん♡選手はどうでしょう?
「こちらも得意の剣術が冴え渡り、ほぼすべての敵を一刀両断。ワンショットワンキルを連発しています。それというのも我らがキューティー・トヨム小隊長が、右に左に敵をいなして転倒者を続出させているためです」
おっと、ここで展開がありました。
これはキツイとばかり、一部アメフト軍メンバーが左右へ展開。
活路を開こうとしています。
「ところがどっこい、じゃじゃ〜ん♪ そここそ鬼門、鬼の先生方が待ち受けています♪」
嬉しそうなカエデさんとともに、次回へ!!