カモメとカエデの冬イベント振り返りトーク
さてカエデ参謀、崩れ始めた若手陣営ですがここで彼らを助けるヒーローが現れるんですよね?
「……………………」
どうしました、渋い顔して。
「愛されるべき男、ナンブ・リュウゾウの暴走を許してしまいました……参謀失格です」
ですがカエデさん、リュウゾウ選手のツンツン攻撃で確実に敵の勢いが止まりましたよ?
「参謀というのは結果オーライではいけません。勝つべき段取りをして勝つべきプランに則り、勝つべき行動をするべきなんです」
それを言うなら、先生方やネームドを温存すること自体が間違ってるでしょーが。
「そうですよね、そうなんですよ!! それをあの鬼将軍がやれ苦戦を演出しろとか圧勝してはダメだとか」
カエデさん、それが社会人というものです。
「私まだ高校生なんですけど」
さてここで、ナンブ・リュウゾウ選手のツンツン攻撃が、敵の勢いを止めたといいましたが、キルどころかクリティカルすら入ってないのにどうして敵が止まるんでしょうか?
「答えはすごく簡単、アメフト軍団はナンブ選手に目を狙われてるからです」
あーそーかー、目を狙われたらだれでも逃げるよねー。
「ただここには私たちも授かってない秘技が隠されているようなんですけど……」
それをリュウゾウ選手が使っていると?
「それはサルがロケットを飛ばすようなものです」
キビシイですね、カエデ参謀……。
と、ここで勢いの止まったフィジカル軍に、キョウちゃん♡選手も飛び込んで形勢は逆転。
とられたポイントを奪い返そうとするアメフト軍団を、突き放しにかかります。
「ポジションが圧倒的に悪いですね」
その辺りを詳しく。
「押せ押せで一般プレイヤーにのしかかってきたアメフト軍団、その中に飛び込んだんですから。多少勢いは止めたものの、火力ではあちらが有利。そんな場所にウチの『玉将』がいるんですよ?」
あぁ、カエデさんの悲鳴が聞こえてきましたね。
「あの時ばかりは肝を冷やしました……」
ですがそこは陸奥屋まほろば連合、すみやかに鬼組と鬼神館柔道の面々が壁になります。
「だけではありません、火力が集中しないように敵陣後方で忍者が単身『撹乱』してくれてます」
追いすがるアメフト兵を振り払うかのように、牙門旗は後退。
しかしここで奴の檄が飛んだっ!!
鬼将軍だ、鬼将軍が牙門旗前進を命じている!
これにはカエデ参謀も怒る怒る!
鬼将軍に斬りかかったが、このゲームでフレンドリーファイアは無効。
鬼将軍は涼しい顔!
むしろ胸を貸してやろうじゃないかという態度!
安全地帯から奴は笑う、黒マントを翻し高らかに笑う!
「本当に、この男だけは八つ裂きにしても飽きたらないですね」
そして男一匹ナンブ・リュウゾウ、牙門旗を得物として前進前進また前進。
右に左に敵を薙ぎ払い、まるで『俺についてこい』と言わんばかりの猛攻を見せます。
「だから、孤立するからさっさと帰って来てください!」
カエデさんの嘆く通り、いかに猛者とはいえ孤立無援。
徐々に囲まれてゆくナンブ・リュウゾウ選手とキョウちゃん♡選手。
しかし今度は鬼神館柔道、フィジカルでは決して負けていない異次元生物たちがアメフト兵にお仕置きだ!
そしてそれを後押しするのが、死人部屋から帰ってきたニクイ連中。
一般プレイヤーたちがフィジカル兵に群がって、敵の思う通りには事を運ばせない。
そしてアメフト軍団の監督も、『牙門旗を倒せ!!』と声を枯らす!
しかしアメフト軍団、火力の集中が思うように行ってない様子。
「ここは鬼組のユキさん、フィー先生にもお願いして戦力の分断をはかっています」
なるほど大人数の軍団でも、戦力を一挙投入できなければ効果は薄いということですか。
牙門旗に対して集中砲火を浴びせられないアメフト軍団。
全米のアメフト・ファンからすれば、ストレスのかかる展開が続きますね。
「そしてこのごちゃ混ぜ状態な密集した戦場。これでは助走をつけて力を発揮するアメフト軍団は、なかなか思うように動けないところですね」
逆に陸奥屋まほろば連合は、敵を転ばせる技術は習熟済。
コカしてはモーニングスターで殴るの繰り返し。
とはいえフィジカルで一般人を上回るアメフト・ゴリラ軍団、ラリアットの要領で一般人の群れを蹴散らそうとするが手を取られ足を挫かれ、エンパイアステートビルから墜落寸前のキングコング状態!
あ、出て来たよカエデちゃん。
そろそろ俺たちも本格的にゴリラと遊びたいぜって、先生方が近づいてきたよ。
「まあ先生方のすることに、さすがの鬼将軍も口は出さないから」
まずリュウ先生に突っかかったアメ公が、即座に潰されたね。
「無双流の柔の手ですね」
固め技のはずなのに、瞬殺の死人部屋送りじゃん……
「固める投げるトドメを刺すが一拍子だから……。」
でもなんで死人部屋送りになったの?
「それはね、リュウ先生の得物が鎧通しだからですよ?」
すげぇじゃん達人! 刀も木刀も持たないで、フィジカル・ゴリラを仕留めるなんて、どこまで強いんだよ達人!!
なんて喜んでたら、次なる達人士郎先生の登場だ!
手にした得物はいつもの木刀じゃない!
えっとあれは……十手じゃないよね?
空手の武器で見たような……。
「空手の武器は『サイ』ですね。これは筆架叉といいます」
どこがどう違うんでしょう?
「おんなじです」
同じかよっ!?
「ちなみにリュウ先生の鎧通しと同じく、私の血を吸ってます」
物騒だな、オイ! しかも両先生からかよ!!
「大人の味でした♡」
殺されただけやん、アンタ殺されただけやん!
というかその士郎先生、せっかくの筆架叉もまったく使わずにゴリラ軍団の攻撃を足だけで躱していますね。
「もはやこの程度の芸当では、驚いてもくれませんね」
達人の技を芸当とか、カエデちゃん発言が鬼将軍に似てきてるよ?
「士郎先生間合いに入ってすれ違いざまにワンキル! もう実況の言葉が追いつかずにツーキル!」
早い早い、早いッスよ士郎先生! やっぱこれが達人ッスよね?
「カモメさんの声が届いたか、画面こちら側で実はリュウ先生もすれ違いキルを奪ってるんですね」
ムキになった小学生のかけっこかよ、四十歳……。
つづく