表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

673/724

稽古三昧からカモメさんのトークへ

みな鍛えに鍛え上げたな。

ならば練習試合だ。

陸奥屋まほろば連合一五〇人が紅白に分かれて、片や革鎧、片やフルプレートアーマーでの大激突。


もちろん私たちも袴履きの常装に西洋甲冑にと、敵を想定した稽古を行う。

七十五名と七十五名の激突だ。

それなりに迫力はあろうが、本来ならば中途半端な迫力のはず。


しかしそこは陸奥屋まほろば連合。

気合いと根性と精神力が違う。

同志同朋の間柄といえど、容赦手加減など皆無。


西洋甲冑を転ばせに転ばせ、仕留めに仕留め抜いた。

もちろん西洋甲冑軍も手加減などしない。

体にまかせて猛然たる突撃、また突撃。


素肌剣術の連合軍に簡単ではないことを教え込んでいる。

できる稽古はすべてやった。

あとは本番を待つばかりだ。


しかし稽古に励む私たちを、こっそりとうかがう者がいた。

オーバーズが誇る人気者のひとり、ウサギさんだ。

いつからだろうか、と私は思う。


ウサギキャラが腹黒いとされたのは。

事実ウサギさんはキシキシと嫌な笑い声を立てながら去っていった。

ろくでもないことにならなければ良いが、そんな懸念が先に立ってしまう。


しかしそれでも年末はやってくる。

今年一年の締めくくり、年末イベントの開幕だ。






ハイ、ということでカモメのゲストトーク。

本日のゲストは雪と血の三日間を戦い抜きました、陸奥屋まほろば連合の現場参謀、カエデさんにお越しいただきました。

『港町の住人』たち、拍手〜〜♪



「あ、みなさんどうも、、いつものゲストのカエデです」



いやぁカエデさん、今回もパーフェクトに近い勝利でしたが、まずはおめでとうございます。



「ありがとうございます。パーフェクトに近いと褒められてはいますが、今回も危うい場面は何度となく発生してくれましたので。やはり勝利条件にいらないことを付加されるのは厳しいですね」



いらない勝利条件というとやはり、アレですか?



「はい、アレです。牙門旗を倒したら敵の勝ち」



その辺りも踏まえて、まずは試合動画を振り返ってみましょうか。

まずは開幕直前、キュートなナンブ・リュウゾウさんが牙門旗を支え、キョウちゃん♡さんが控えてますね。



「はい、この時点で二人は最前線。まったくと行ってよいほどの無防備な状態です」



あ、開幕の銅鑼が鳴りましたね。

さっそくアメフト軍団が牙門旗目指して突撃してきます。

で、なんと!? 災害なんて呼ばれている、達人の四先生が牙門旗の周りに!?



「まずはここが最初の危険ポイント。こちらの陣形が整っていないうちに牙門旗を倒されかねないので、お恥ずかしながら先生方のお手を煩わせてしまいました」



いや、それにしても先生方、むらがる敵をバッサバサと……ほんとうに強いんですねぇ。



「ワンショット・ワンキル。うちではそのように呼んでます。この技術は先生方だけでなく、ネームドプレイヤー級ならばほぼ全員使えます」



普通なら鎧を剥いでからのキルなんですけど、先生方おかしいわ……。



「先生方もそう仰ってます。こんな技術は身につけちゃいけない、だけど残さないといけない技術なんだって」



それにしても鬼ツヨですわ、こりゃ……。

そんなこと言ってたら最初の陣形が整いましたか?

……でもこれって、陸奥屋まほろば連合があまり取らない陣形では……?



「はい、珍しく縦深型陣形を組んでみました。これで敵は挟み撃ちの形です」



しかもこのポジション取り、牙門旗へ近づけば近づくほど強敵……ネームドプレイヤーたちが待ってますよね?



「はい、試合が一方的になりすぎないように、四先生方には後方へさがっていただきましたが、それでも十分に強い指導員格がお出迎えです」



現在あちこちの戦闘をランダムに拝見してますが、若手たちもネームドたちも、敵を転ばせてから仕留めてますね?



「そこが今回の肝、崑崙八仙ころばせ戦法です。まともに衝突したらいかにネームドとはいえ、敵のフィジカルに飲まれてしまう可能性がありますから」



ですが参謀、ネームドたちから苦情は入りませんでしたか?

俺たちを甘く見るなって。



「みなさん理解がありますから。あの新選組も、達人を用いて達人を斃すという考えでしたし」



二人一組せんぽうといい、カエデ参謀の中では新選組が重きをなしてますね。

するとカエデさんは『おんな土方』……?



「なにか言いました?」



いえ何も。

と言っている間にも、フィジカル軍団に全体号令がかかったみたいですね。

続々と後方へ転進していきます。



「ここはある意味第二の危険ポイント。敵にカリスマ級の指揮官がいるということです」



なるほど、サッカーにもラグビーにも監督はいるんですから、アメフトに指揮官がいてもおかしくはないでしょうね。

おっと、ここで生き残りのアメフト軍団が小隊単位で隊を編成しましたよ?



「こちらが二人一組なら、あちらは小隊一組と考えたんでしょうね。その知恵と即応できる練度は、これまた危険ポイントと言っても過言ではないでしょう」



しかしこの小隊戦法に対して、勇猛果敢なトヨム小隊長がケンカを申し込む!

長い杖でもって打って払って薙いで突いて、まさに快刀乱麻を断つ勢い。

ワンショットワンキルとまではいかないが、敵の防具を鮮やかに破壊。


後方のマミさんにキルを託す。

いや、ここは番能美少女シャルローネがゆく!

手にした得物は殺傷兵器ではないというのに、それでも敵に致命傷、キルへの手傷を負わせてゆく。


さらにはセキトリ、裸同然のアメフト兵に得意のぶちかまし!

さらに鍬に似た得物をぶん回し、アメフト軍の傷口を広げてゆく!

さあ陸奥屋まほろば連合、その中核であるネームドプレイヤーたちが、ここぞとばかりに猛追撃!


君はコカせ、僕が仕留める。

君が防具を破壊しろ、僕がとどめを刺す。

まさにこれが連携プレイ、命のバトンならぬ殺戮のバトンをつないでゆく!


だがやはりフィジカルは強い、若手プレイヤーたちをフィジカルまかせに食い破ってゆく!



「またまたピンチの展開ラウンドですね。ネームドや先生方を出せば簡単に逆転はできますが、それは無粋というもの」



それもまた、総裁鬼将軍の指示なんですか?



「はい」



ったく、ロクなこと言わねぇ奴だな。




つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ