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とどめおかまし

先日誤字脱字報告をいただきましたが、これはいささか応じかねます。『ボーナスぁ安い』は間違いで正確には『ボーナスは安い』という部分を御指摘いただきました。ですがこのような言い回しというのはごく普通にあるもので、自分を卑下するリュウ先生の悲哀を織り交ぜた表現としてしたためました。返答が遅れたのはせっかく指摘していただいた方の御意見を否定したくないと思い、熟慮に熟慮を重ねた結果です。返答が遅れたことをここに謹んでお詫び申し上げます。

なお投稿くださいました読者さまに関しては、引き続き拙作をお楽しみいただければ幸いに存じます。

                             作者 寿

うん、分かる。分かっている。

男ってそうだよな、男として生まれて敵を目の前にしたら、突っ込んでいくよな。

それが男であり、君たちは男なんだ。


分かる、分かるよ。

だがしかし、今は聞け。そして猛省せよ。

軍曹のところで何を学んだ?


戦場にあっても常に冷静であることじゃないのか?

キャプテン・ハチロックのところで何を学んだ?

下から攻めることじゃなかったのか?


それが銅鑼ゴングと同時に突撃かますとは、一体どういうことだ?

ナンブ・リュウゾウにキョウちゃん♡、そしてジョージ・ワンレッツの三人は、私の前ではで正座している。

そして、うなだれていた。



「いやまあ、その……ゴングが鳴ったら飛び出せファイトってか……」



てか? リュウゾウ、お前はいつからキックの鬼になったんだ?



「リュウ先生、男なんだからグズグズはできません!」



ジョージ、それ以上は喋るな。色々とマズイ。



「急かされるんです、戦場では。早く早くと俺の血が、騒ぐんです」



キョウちゃん♡、きみは厨二病かい? いや、訊いた私が間違ってた。

きみは厨二病という『麻疹はしか』にかかってるんだ。

とはいえ、重症だ。特にキョウちゃん♡が危篤状態である。


私にも少年期はあったから、彼らの気持ちはよく分かるのだがしかし、どうにかしなくては。



「リュウ先生〜、マミさんとしてはお三人片に、役割を与えてみるのがよろしいかと〜」

「ほい、それはどういうことかな?」

「そ〜ですね〜……マミさんたち女子部は〜華奢で可憐な乙女でしかありません〜〜。どなたか鉄壁で不動の要塞のように、頼もしいお味方さんが欲しいです〜♪」



シュタッと手を挙げたのは、ナンブ・リュウゾウであった。



「よしマミさん、困ったときは俺。後ろに隠れてな!! 俺は鉄壁の要塞、絶対に動かないでマミさんの楯になるぜ!」



分かりやすい、というか女の力が偉大なのか……。



「となるとー次はジョージさんですね〜♪ ジョージさんの後輩さんたちは、そんなに頼りになりませんか〜?」

「い、いや。みんな一騎当千だぞ!!」

「でしたら〜ジョージさんは後輩さんたちが困ったときにだけ、助けに入ってはいかがでしょう〜?」

「いや、俺は……隊長はっ!! 誰よりも先駆けて活路を開かなくてはっ!」



クソがつくほど真面目で熱い、ジョージとはそういう男だった。



「では活路を開くのに、一番良い方法は〜?」

「片ヒザ立ち戦法……」

「よくできました♡」



バカ』要塞のうち、ふたつが陥落した。

のこるはキョウちゃん♡だけである。



「これはマミさんの手には負えませ〜ん♪」



いやマミさん、匙を投げないで、お願いだから。



「ですがリュウ先生〜? お顔立ちがよろしくって腕っぷしに自信があって、学力も優良のキョウさんなのに〜、彼女さんのひとりも無く武道に打ち込んでるだなんて〜闇が深すぎですよ〜?」



なにっ!? キョウちゃん♡お前彼女さんのひとりもいないのかっ!?



「それだけ遊びの無い方、マミさんの手には負えませ〜ん♪」



なんてこったいルークコンタイ。(注1

確かに私も腕っぷしの憶えありのイケメンで、公務員としての出世も順調だ。(注2

だが私の場合、そんなに闇は深くない。


たまたま良い出会いが無かっただけなのだ。



「ん〜〜……ホトケのマミが匙投げるほどの重篤患者か……」



トヨムもいささか困り顔だ。



「まあ簡単に治るような病気なら、士郎先生がとっくのトンマに治してるだろうしね」

「そうなると小隊長ぉ、キョウさんの病気を病気は治療よりも先に病名を明らかにする方が先じゃありませんかねぃ?」



あ、シャルローネさんが脱線事故に向けて舵を切った。



「ってことは、剣術好き好き症候群とかかい?」

「もう一声、三次元に興味無い症候群とか、いかがでぃしょう?」

「なんだか変態チックな病名ですね〜〜♪ カタブツ症候群というのもまた、『硬いブツってなんですか〜?』と訊きたくなってしまいますねー♪」

「しかしナニをどうしたら、ブツが硬くなるのかな?」



ダイスケくん、参戦。

事態はますます混迷してしまいそうである。



「入れるときは硬くて、終わると柔らか。最後は紙で処理するもの、な〜んだ?」



カエデさん、君までそんなナゾナゾを!?

トヨムとシャルローネさんといった純情派は顔を赤くしているぞ。



「その答えは『チューインガム』ですよねー。わお、マミさん賢い♪ ところでお二人は何故顔を赤くしてるんですか〜?」



なんだ、そんなオチかい。

というかキョウちゃん♡の治療どこ行ったよ?



「いえいえリュウ先生、治療の前に病気の原因を発見しなくては」



いやカエデさん、君たち楽しんでるだろ。

ここは本人に訊いてみるのが早いか?



「ということでキョウちゃん♡、君は剣術が好きだよね?」

「はい、女の子と遊ぶより何倍も」



一番最初に女の子と来たか。

昭和の頃なら『三度の飯より』、というのが定番だったよな。

ということは、キョウちゃん♡もそれなりに女の子には興味がある、と?


いや、冷やかしではない。

乙女なんてものはそんなもんだ。

強くありたいのは何のためか?


歴史や文化を剣術から学ぶとかいうのは、本音ではない。

凛々しくたくましくあって、『女の子にモテたい』。

大人の本音なんてのは、大抵そんなモノなのだ。



「ほう、女の子とヨロシクするより何倍もと来たか。いやいや若者は正直でよろしい。では、キョウちゃん♡が好きな女性のタイプとは、どんなとこかな?」

「何故そんな話に?」


「それが君の『突撃病』の根本原因だからさ」

「今ひとつ理解はできませんが、強くなるためなら……」

「そう、男が強くなりたい理由なんてひとつさ。『女の子の前でイイ格好したい』からさ」


「ますますわかりません」

「種の保存を甘く見るなよ、若造が。子宝に恵まれなかったが故に『御家断絶』もあったのが武家社会だ。つまりサムライの最大の仕事というのは、子供を授かることなんだ。女の子に興味を持つというのは決して悪いことじゃない」

「ではリュウ先生は?」



ぶっとばしてやろうかな、このガキぁ。





(注1 『ルークコンタイ』 またまた出てきましたね。リュウ先生の持ちネタなんでしょう。

(注2 『イケメン』 自分で言うな。

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