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閑話休題 カエデちゃん劇場(激情)!!

このエピソードは本編に一切からみません。ほんの戯言、茶飲み話と思ってください。

げに忌々しきはこの黒マント。

いや、黒マントに罪はありません。

問題はこの黒マントが譲渡された経緯と譲渡してきた人物です。


その男、陸奥屋まほろば連合総裁を自称していながら、世界規模とはいえ所詮は一事業主。

天宮緋影さんには決して頭の上がらないただの経営者、鬼将軍。

この黒マントは、その鬼将軍が譲渡してきたものだから憎々しい。


そして譲渡の理由が、また憎々しい。

私は参謀を自認していて、なおかつ努力に努力を重ねて参謀足らんと務めている。

そんな私にあの男は、『アイドルたちに無防備同然の鼓笛隊衣装を着せて立ち向かわせた、その意気や良し!!』と、まるでおバカの代表みたいな評価をしてくれやがったんです!!


その上で、『作戦内容も吶喊吶喊、また吶喊!!

その評価は抜群である!!』だなんて、まるで私が策略皆無のおバカ丸出しーノみたいじゃない!さらにそこから私に与えられた称号が、『ミス・ミチノック!!

あるいはミチノック・レディーを名乗り給え!!』って、あんた。


私をお嫁に行かせたくないの!?

花の乙女をこの年齢で、行かず後家にでもするつもり!?

なによその恥ずかしい称号!

ってゆーか、そんなもの熨斗つけて返してやるわよ!!


クラスでの私は、陰キャのカエデさん。

最近ではマミやシャルローネがからんではくるけれど、普段は陰キャの歴女。

色々こじらせていて面倒くさい女、カエデ。


そんな私が世界配信の大舞台で、世界注目の中黒マントを譲渡され、称号を授かり、いったいなんのいやがらせよ!?

絶対に仕返ししてやるんだから、鬼将軍!!


……ということで、さっそくやって来ました馴染みの武器屋兼道具屋。

ここには様々な装備品が展示されてるから、何かアイツを打ちのめすような逸品を探し出して贈りつけなきゃ。

ということで、一山いくらのジャンク品の中からガサゴソと物色。


む!?こ、これは!!

豹柄金モールラメラメのビキニパンツ!!

……駄目だわ、こんなもの贈っても、ヤツは極上の笑みを浮かべながら、『丁度こんな下着が欲しかったんだ。ありがとう、カエデくん』とか言ってのけるわ。


ならばガサゴソ、これなんてどうかしら!?

メキシコの仮面貴族がファンにばら撒いた、プロレスのマスク!!

……これも駄目ね、ヤツの自室というか蔵には、この手のマスクがコレクションされてそう。


なんの、ガサゴソ。

これぞアイツが嫌がる極み!!

コルトSAAのリボルバー拳銃!!

……だけど、振るとカタカタ音がするわね。

ちょっと開けてみましょうか。……あら、プラスチック製のメッセージカードが出てきたわ。



……最後の狙撃者? 没!! 速攻ボツ! この拳銃は呪われてるわ。





そして引き当てたのが、コレ!!

これこそが私の探し求めていたものよ!!

マペット劇『飛べ!! 孫悟空』で沙悟浄が使用していたビカビカ眼鏡!

あの鬼将軍も眼鏡人メガネびと、これならヤツにヒザを着かせられるわ!


ということで、御前会議。

議題は『やがて迫りくるVttuber軍団。奴らが西洋剣術を身につけていたら、株式会社オーバー所属アイドルは如何に闘うべきか?』。


その席で存分に意見を述べ、議論を交換した後、会議がお開きになったところで。



「あの、総裁。先日は素敵な称号と黒マントをありがとうございました」



心にもないお世辞をたれ流しながら、ヤツへと接近する。



「おや、カエデくん。気に入っていただけたようで何より。私も一張羅を進呈した甲斐があったというものだよ」



クソッ、こいつには嫌味も通じないのか。

っつーかお前、今でも黒マント羽織ってるだろうが!!

だけどそこは参謀を自負する私。冷静に、冷静に。



「つきましてはお返しなどを。もちろん若輩の選んだ粗末な品物、総裁のお眼鏡に叶うかどうか……」



ヤツの腕で、ロレックスの腕時計が輝く。

その左手で銀髪の前髪をかき上げて、ヤツは破顔した。



「これは驚いた! このように若い乙女からお礼が来るなどとは!!」



おう、周りに喜ばしく吹聴してんじゃねーよ。

これは辱めを受けた私の復讐なんだから。

どれどれと開けた、プレゼントの箱。


おい! お前これにトキメキの笑みを浮かべるのかよ!?



「リュウ先生、どうかね!? これはあの沙悟浄がビカビカ光らせていた眼鏡だよ!!」



喜ぶな!!自慢するな阿呆ーーッ!!



「いやぁ、これは探しても探しても見つからなかった逸品なんだ。ありがとう、カエデくん!」



手を握るな、シェイクするな!

なんだこの阿呆はっ!?

だけど私の悲劇はこれでは終わらない。


なんとあの、天宮緋影さまがあの眼鏡を羨ましがってしまったのだ。

そこへ囁く悪魔の誘い。



「緋影さま、緋影さまもカエデさんに贈り物をすれば、あのような逸品をプレゼントしてもらえますわよ」



おう、デコ。

そこのデコ。

デコデコデコ。


お前ナニ吹き込んでくれてんのよ?

ってゆーか緋影さまもすっかりその気!?



「じゃあ、一度手にすれば最後、二度と手放すことのできないこの王家の錫杖を、地味川カエデに授けましょう」



いや、いらない!

いらないってば!!

私の得物は片手剣と丸楯っ、ユーシー!?



「あー、カモメたちも参謀どのから、何か欲しいなー」



アイドルっ、そこのアイドル!!

あんたたちはスタッフやマネちゃんに頼めば、なんでも手に入るでしょうがっ!!

ってゆーか令和日本において、あなたたちは長者番付に乗りそうな人物!

お金持ち! ドゥユーアンダスタン!?



「ということでさー、カモメたちから軍師どのに、この王冠を贈りますわー」



しょ、小隊長っ!!

羽交い締めにしないでっ! 載せられたら最後、あの王冠も絶対に外れないからっ!!






…………ハッ、目が覚めた。

悪い夢を見ていたわ。

どうして私が、見せ物であるかのように、王様装束をキメなきゃならないの。


だが、目を覚ました私の目の前には、微笑みの参謀長出雲鏡花。



「あらカエデさん、アイドルさんたちが西洋剣術にいかに対応するかという作戦会議に居眠りだなんて、余裕ブッコキまくりですわね」

「そーそー、カモメたちのことなんて、どうでもいいとかそんなことないよねー」



その手に握られた王冠と王家の錫杖。

何をする気!? 私をどうしようって言うの!? 助けて小隊長!! 助けてリュウ先生っ!! カエデ、手ごめにされちゃいます!!





どっとはれ


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