マミさんのミッドナイト・トーク
こんマミで〜〜す♪
『王国の刃』のアバターがありますから、これを使って配信のマネごとを試みる、インチキ&パクりアワー。マミさんのミッドナイト・トークの始まりで〜〜す♪
ひょっとしたら著作権肖像権その他諸々、大人の事情で今宵一夜限りの徒花となる可能性がありますから、みなさん汚いモノを仕舞って参加してくださいね〜〜♪
この放送はミチノック建設さん、ミチノック運輸さんミチノック海運さん、ミチノック精肉さんなど協賛各社の提供により、ここ『王国の刃』管轄『嗚呼!!花のトヨム小隊』拠点をキーステーションに、世界中インターネットの届く範囲の中、世界配信を行っております♪(BGM
Bitter Sweet Samba)。
まず今回の大きな話題といえば、こちら! ちゃらん♪ 『株式会社オーバー所属Vtuberたち、王国の刃プロチームに挑む!!』です〜!!
当たり前のことをぶっちゃけてしまうとー、素人が付け焼き刃で本職に挑むという無謀企画ではありましたがー、そこはさすがアイドルさん♪
逆転また逆転、どちらが勝つか分からないシーソーゲームとなって、視聴者の心と身体の一部を熱くさせてくれましたねー♪
プロチームはプロチームで粋な計らい、六人全員でアイドルを滅多打ちにするのではなくー、二人出てはタッチ交代という、タッグマッチ形式で相手をしてくれました♡
こうしたスケベったらしい配慮が高視聴率を生み出し、子供を騙くらかす悪い大人の懐に札束をねじこむんですねー。プロとしてはタニマチを潤わす、正しい判断だと思いますー♪
ですがですがぁ、悪い大人の悪だくみはこれでは終わりません。幼気な女の子たちを年末に引きずり出し、さらなる大儲けを企んだりしていました!!
ちゃらん♪ 『年末特別企画!! 陸奥屋まほろば連合対アイドルチーム』!!
神の怒りか地の声か、なんとなんとアイドルさんたち、彼氏もいないのか誘ってくれるお友達もいないのか、聖夜のイベントでアマチュア最強軍団、陸奥屋まほろば連合とサシで対決することが決まりましたーー♪
おや? ここでこんなマイナー配信を視聴してくださってる、危篤なリスナーさんのコメントを拾いましょうか。
『ちょ、マミ! あんた何やってんのーっ!』
これはアイドル陣営に出向している参謀さん、KEDさんですね? マミさんにはお見通しですよ〜〜♪ 『俺おれマミさん!
見てるから俺!!』と、こちらは情熱が空回り気味、貴方の本当のマドンナが見えていない朴念仁のコメントですねー。
さて、アマチュア最強軍団に戦いを挑むアイドルチーム。ただでは絶対に勝つことはできません。そこで強力な助っ人として、高級参謀のヤハラさん。そして陸奥屋まほろば連合のことなら、お尻の穴のシワの数まで心得ているカエデさんが出向。
さらには基本基礎の鍛錬のため、『災害先生』たちがコーチについています♪
そして本番当日は、『災害先生』方、ウチには付かず中立を保つそうなんですよねー。プロの中のプロが、ド素人の小娘相手に本気は出せませんもんねー♪
また、災害先生方がアイドルチームに加担すると、これまた阿鼻叫喚。四先生のうち一人であっても、マミさんは生き残る自信がありません♪
ん? 『俺おれ、俺が守るよマミさん!』……おサルさんはこんな配信観てないで、木村政彦さんのような鬼気迫る稽古をしてください!
そしてマミさんではなく国花の御楯として散ってくださいね?
それではマミさんの凸取材! 株式会社オーバー所属アイドルたちの稽古風景を……おや? これは著作権肖像権の侵害にあたりますか?
大丈夫でしょうか。ということで、その場面を録画再生ですぅ♪
みなさんの推しが写っていたら、最低でも五万回はアーカイブを再生してくださいねぇ〜〜♪
……まずはズラリ並んだアイドルさん、そしてその所属している『jj
CLUB』のみなさん。稽古会開催に先立ちまして、先生方や主催企業のみなさまのご挨拶を……そこそこに済ませましたよ!? 良いんでしょうか、大人として!
みなさん緊張の面持ちかと思いましたが、そこはアイドル。カメラに向かって投げキッス、Wピースやらぴょんぴょん跳ねて愛想を振りまくなど、アイドル活動に余念がありませんでした。
まずは温和で知られる中年リュウ先生が、アイドルさんたちに刀の執り方を口伝で教えて、さらには振り方まで伝授しました。
その上で素振り本番♪
「斬ってなーい! 斬れてなーい!! 斬る気がなーーい!!!」
早速過激派、士郎先生からいただきました初心者への洗礼。斬ってない斬れてない斬る気がないの三点セット!
これを昨日今日刀を手にした初心者に浴びせるところが、まさに古流。初心者といえどひと度腰に剣を落としたならば、剣士としての覚悟を持て!
といういわばご挨拶。
ですが一応斬る、つまりヘッドスピードを上げるというのがどういうことかという説明が『それなりに』されます。
左手だけで斬る、小指に力だけで斬る。う〜〜ん、大変に分かりにくいですねー♪
ですが古流経験者のみなさんだけが、うんうんとうなずいている辺りとっつきにくい世界なのは間違いありません。
その辺りをリュウ先生に訊いてみました♪
「いちいち全部懇切丁寧に教えてちゃ、いざというとき使えないからね」
使う気なんですか、日本刀を?
「古流ったって、死んでる訳じゃないだ。死んでないなら活かしてやんなきゃね」
だれに!? どのように活かすんですかっ!? マミさんビックリですよ。
すると笑い出すリュウ先生。
「そりゃ王国の刃で活かすのさ。もちろん対戦相手に、ネ♪」
いえ、リュウ先生が言ってもあまり説得力がありません……。そして素振りを連続百本も振ったところで、悪魔の申し子フジオカ先生のお言葉。
「どうだ、素振りの何たるかがわかったかーーっ!?」
「わかる訳ないじゃない!! もっと丁寧に説明しなさいよ!!」
クソガキムーブのキャラクターさんが、真っ先に口答え。するとフジオカ先生もニッコリ。
「よし、それじゃあもう百本振るか!!」
顔面真っ青になる暇さえ無し。
「気合いかけた方が良いかもな。よーし、全員で一本一本気合い入れてぇっ!!」
音頭をとるのはリュウ先生、普段は大きな声など出さない先生ですが、甲高く通る声で号令をかけます。一本振ってエイッ! 二本振ってエイッ!
そもそも柳心無双流は大きな声を出す流派ではないはずなのですが……。
『気合いを入れる掛け声な、あれは怖くて怖くて仕方のない剣士たちの、悲鳴なのさ』。
以前リュウ先生は、そんなことを仰ってました。
『それくらいに命のやり取りなんてものは恐ろしいし、一度それを生き残ってしまうと、人間が狂ってしまうんだ』。
……簡単に真剣勝負とかなんとか、言うものではないんですねぇ。マミさんはそのときそう思いましたよ。
そしてリュウ先生の、『素人は黙っとれ』という暗黙の教えも授かった気がします。
ですがですが、アイドルさんという人種は頭のネジが弾け飛んでいるんですねぇ♪ 文句をタレてたクソガキちゃんも、ブチブチ言いながらまた百本振ってくれました♪
こんな不親切極まりない稽古について行くなんて、やっぱりファンのみなさんのためなんでしょうね? お? ここでまたもやコメントが入りましたよ?
『む、素人でありながら、ここまでの努力。これは油断できないな』
……貴方はもっと師匠であるお父さんの言うことに従って、より柔軟な姿勢を身につけるべきですよ?
本来ならサラブレッドの貴方はピカイチの実力なはずなのに、お笑い芸人やっててどうするんですか?
で、こちらのコメントは、『百本なんてぬるいぬるい! 基本というものはね、三千回いや三万回やっても足りないものだよ!』
……小隊長、今は令和の世の中ですから。昭和の価値観でモノを見ないでください。
『や〜い、キョウちゃん怒られたー♪』
はて? キョウちゃんとは誰のことでしょう? マミさんにはとんと分かりませんが……。
『カメラ! どこを写しておるかっ!! もっとこう、儚さ全開の少女を全面に押し出してだなぁ……』
スポンサー総裁さま? あのように見えてアイドルさんたちはみんな十八歳を越えていますので、ロリータな要求はほどほどにお願いします。
というか、みなさん稽古もしないで配信を視聴してるんですか?そのうち先生方が帰ってきて、鬼のようにシゴかれますよ?
「おう、リュウさん。同じ技ばっか百も二百も振ってたら、お客さんが飽きちまうだろ」
合計二百本の素振りが終わって、士郎先生が言いました。
「そうだな、今度はちょっと手を変えてみるか」
ということで言い出したのが、中段の構えからチョンと突きを入れて、刀を体側で大車輪。前に出ながら相手を真っ二つ。今度は逆の体側で大車輪させながら後退しつつの脳天真っ二つ。
刀を上げ下げしなくて良いので、アイドルさんたちの目にも生気が戻りましたよ。うんうん、知らないって幸せなことなんですねぇ……。
「ただし、刀を体側で回すとき、小さくキリッと回したんじゃ面白くない! できるだけ大きく振り回して威力を高めよう!!」
結局背後から振り上げて正面に振り下ろす。このこと自体は変わらないんですよねー。
そのことに気がついたアイドルさんたち、顔から血の気が引いいていましたよ〜。ただ、フジオカ先生が発破をかけてました。
「敵もこの程度の稽古は普通にこなしている! これをこなさないと、とてもじゃないが勝ち目は無いぞ!」
と言われれば、アイドルさんたちにも火が着きます。
「うおおぉぉっ!! 筋肉は、パワーーッ!!」
「ステゴロで、このくれぇ闘えるようになりてぇーーっ!!」
「幕ノ内っ!! 幕ノ内っ!」
……まぁ、気合いのかけ方は人それぞれですからねぇ。