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ミリアズレポート:マナ

・えっと、こんな感じでいいのかな?(シェード)

 ・はい、大丈夫ですよ! これで大項目は完成です。それじゃあここに書いていきましょうねシェードちゃん!

  ・わ、私が書くんだよね……ちょっと緊張する。(シェード)

   ・別に誰が読むわけでもないんですから、気楽に書けばいいんですよ、最初はどれからでしたっけ?


・最初はえっと、宿痾の目的について、かな?(シェード)

 ・宿痾の目的、特異の性質と月光の狩人、そしてマナの特性。この三つですね。

  ・……うん、一つずつ順番にやっていこう。

 ・えっと、このレポートは、私達がこれまでの戦いで理解してきた、宿痾について。宿痾が狙う月光の狩人について。そしてそもそも宿痾と特異を生み出すマナという存在についてをまとめたもの、です。(シェード)

  ・こういうところでないと、纏められませんし、共有できませんからね。きちんと解りやすく形にして、未来につなげましょう。

   ・うん、頑張ろう(シェード)


>宿痾

・じゃあまず、宿痾について。生態とかも纏めたほうがいいかな?(シェード)

 ・宿痾の目的に関わる部分は、サクッと書いていきましょう。


・それじゃあ、宿痾とはなにか。ってことから。(シェード)

 ・宿痾はマナによって作られたまったく新しい生命体。意志は持つけれど、総じて悪辣であるように“調整”されている。独特な言語を使い発声も独特。(シェード)

  ・目的は月光の狩人を人類から生み出すために、人類を程よい数で管理すること、ですね。

 ・宿痾には特殊な装甲を纏った主っていう個体と、それを操作する操手っていう個体がいる。(シェード)

  ・どちらが上かっていうと、主ではなく操手ですね。操手はシルクさんでも主を操れますから。


・宿痾操手は人間から改造された宿痾ってことでいいんだよね。(シェード)

 ・正確には三種類存在します。人間として生み出され改造された試作型。宿痾にするために生み出された人間を改造した型。そして最初から宿痾操手として創造された完成型。完成型以外の型にスペック差はありません。

 ・シルクさんが試作、“兄弟”が改造型、アイリスが完成型だね。(シェード)

 ・宿痾操手には宿痾を操る能力と、個別に独自の能力を有する。(シェード)

  ・この個別の能力は、操手を特異持ちにしようとした名残なんじゃないかと私は思うんですよ。操手を月光の狩人にできるのが一番楽ですし、特異も操手の能力も、マナを使って発揮される独自の魔法と考えると同じものです。

   ・まぁ、結果からして失敗したんだね。きっと本命じゃなくて、ついでに成功すればそれでよかった、って感じなんだろうな。(シェード)


・それで、宿痾は人類を追い詰めることで特異の発現率を上げてたんだよね。だから人類を滅ぼすつもりはなくって、適度に追い詰められればそれでよかった。(シェード)

 ・人類が今まで生存できた理由ですね。戦姫や魔法の存在は確かにありますが、それでも両者の戦力差は明白でしたから。

  ・この世界は、ある意味で宿痾の箱庭だったってことだね。結果として、ランテちゃんが現れたわけだけど……(シェード)

 ・とりあえず、特異と月光の狩人についてまとめましょう。宿痾については、人間を殲滅しようとしていたわけではない、ということがハッキリすればいいのです。それが黒幕の目的だということですからね。


>特異と月光の狩人

・特異、人類が発現する固有の魔導。人体に存在するオドをマナに変換する器官に異常があって、結果独自の現象を引き起こしてしまう。(シェード)

 ・一種の超能力ですね! とはいえ、問題はそこではないのです。問題は、そもそもどうしてこれが宿痾の出現以降、人類に多く見られるようになったか、です。


・特異の発現にはいくつかの条件があって、その人に生きたいという渇望が強く存在することが大事なの。人の気性は環境と素質で決まるけど、素質がないと、どれだけ環境が過酷でも人は前向きに生きられないから。(シェード)

 ・人類の歴史において、超人的な活躍をした人は多くいます。こういう人は無意識に特異を有していたのではないでしょうか。歴史にすら影響を与える強い意志の力とそれを支える才気。これらは特異を発現するのに非常に有用な素質と言えます。

  ・逆に言うと、特異――というより、魔導ってマナが認識される以前から存在してた、ってことだよね。(シェード)

   ・遠い昔、神話の時代には、そういう魔導が感覚的に使われていたのかも知れませんね。

 ・話を戻すけど、どっちにしてもそれだと可笑しいことになるんだよね。どうしてマナが認識されてから極端に特異が増えたの?(シェード)

  ・戦姫の二割が特異というくらいには、特異は今、非常に発現しやすい環境です。つまり、そうなるように宿痾が人類を選別した、という答えにたどり着くわけです。


・今の人類は、明日に対して希望をいだいていないけど、今を生きる事にはとっても真剣だよ。そういう人ばかりを選んで、セントラルアテナに宿痾達は誘導したんだから。(シェード)

 ・全ては月光の狩人を生み出すため、特異を発現しやすくして、発生率を上げたんですね。


・そうして生まれた月光の狩人、ランテちゃんだけど……そもそも月光の狩人って何ができるの?(シェード)

 ・一番わかり易いのが、自身の寿命を使っての主に対する特効魔法ですね。

  ・どうして寿命を使うんだろうねって、そこが気になるんだけど。この辺り根本的なところから考える必要があるかな。

   ・これは個人的な推測なのですが、そもそもマナとは時間に影響を与えるエネルギーではないかと思うんですよ。魔導機の最高峰が時間に影響を与えるのもそうですが、その最高峰であるケーくんたちが、代償を求めてくるのもそれっぽい気がします。

    ・っていうと?(シェード)


・代償に捧げるのは、命とか、知識とか、臓器とかそういったものです。そういったものって、時間をかけて作られるものなんですよ。時間をかけて広まったものにこそ価値がある、とも言えます。

 ・ミリアちゃんがよく代償に捧げてるかつての世界の常識も、長い時間を駆けて浸透したもの、ってことだよね。(シェード)

 ・なので、月光の狩人も端的に時間そのものである寿命をリソースにしているということでしょう。そこから考えて、月光の狩人とは時間から直接リソースを引き出すことのできる特異なのではないかと思います。

  ・そこから考えると、月光の狩人はつまり……「時間にアクセスするための鍵」っていう結論に至るわけだね。(シェード)


>マナ

・さて、宿痾とはなにか、月光の狩人とはなにかについて考えましたが、根本の話をすると私達が考えるべきはマナとはなにかということです。

 ・そこに答えを出さないと、結論も一向に出せないよね、このままじゃ。(シェード)


・改めてマナを纏めると、マナっていうのは万能のリソース。命を蘇生させること以外は何でもできる。無から有を生み出すことも、逆にそれを完全に消滅させることも思いのまま、すごいエネルギーだよね。(シェード)

 ・だからこそ、それを最初に発見した黒幕が全世界を電撃的に掌握できたとも言えます。宿痾による人類殲滅は極端な例ですが、そうでなくともマナなんてものが見つかれば、世界は戦争で滅びますよ。

  ・その一番極端な例が現実になっちゃってるんだけどねぇ。(シェード)


・マナの根底にあるのは時間の確定です。マナが万能なのも、どれだけ魔法を使って現実を改変しても全てはマナが決めた歴史の中での出来事だから、とも言えるでしょう。

 ・マナはこの世界を物語にしちゃったんだ。物語は結果を書き換えることができないし、物語の中でならどんな現象も起こりうるんだから。(シェード)

  ・皮肉ですねぇ。とにかく、何にしてもマナが存在する限り、歴史を変えることはできないということです。


・逆に言えば、マナがなければこの世界の歴史はわからなくなる。マナがなかったことになれば前提は全部ひっくり返るし、また人類がマナで宿痾のような存在を創ることもなくなる。(シェード)

 ・確かにメルクリウスと月光の狩人を手中に修めて歴史改変を自在にできるようになれば、同じように問題を解決することもできるでしょう。ですが、私達の求める結末はそこではない。

  ・そのためには、マナを綺麗サッパリなくさなきゃ。(シェード)


・で、ここまで情報を纏めた上で、問題はやっぱり、マナをどうやって無くすか、ってところになるんだよね。(シェード)

 ・私達の技術は全てマナに頼っています。ですから、マナを消滅させるためにマナに頼るという構図にならざるを得ない。そうなった時、マナが正常に作用するかといえば、そんなはずはありませんね。

  ・方法は思いつくだけならいくつか思いつくけど、それが有効かっていうと……(シェード)

   ・時間はありません、一つ一つ検証していくしかありません。


・じゃあ、一つ。ミリアちゃんにも聞いて欲しい案があるんだ。(シェード)

 ・ほう、最初から肝いりですか。聞きましょう。


・マナは時間が存在することで成立するエネルギーだよね。それがあるから、私達は過去に飛んだり未来に戻ることができる。(シェード)

 ・そうですね。

  ・でもさ、時間ってもう一つ起こせる現象がない? 時空を越えると同じように、えっと、だからつまり。(シェード)



・時間って、停められるんじゃないかな。マナを使えば。――その時、時間が止まった世界で時間がなければ存在できないエネルギーは、どうなるの?

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