50 ミリア、水着と川遊びを楽しむ。
ミリアです!!!!!
水着リアです!!!!!!
ひゃっはー水着! なんかテンション上がりますね!!
「何を走り回ってんだこいつは……」
今日は長期休暇二日目、昨日は森を目一杯探索し、泥だらけになりながら自然を堪能しました。いや、泥だらけになったのは主に私が穴に落ちたせいなのですが……許すまじ、穴!
そういえば学園に残ったミリア隊の他の皆さんは、どうやら皆で本部のある中央都市に行ったそうだ。中央都市には娯楽の保存を目的に色々と遊興施設があるので、皆さんも結構楽しそうでしたね。
私もそちらに行ければよかったのだけど……というか、もっと言えばローナフ邸に皆さんを招待できれば更に良かった。
それもこれも、アイリスをどうにかするまでの我慢。というか、長期休暇が終わったらシェードちゃんとアツミちゃんが帰っちゃうのだ。
うわわ、寂しくなってきました。
ともあれ、ここは私が色々と作った服が並んでる。サイズの調整は特にしてないので、後からどうにかする必要があるけれど、調整は魔法でちょちょいっとできるので、まずは気に入ったものを探すところから。
「ランテちゃんはもう選びましたか?」
「今年は、いつもと違うのにしてみたよ。えへへ、楽しみにしててね」
ランテちゃんは水着を着るのが初めてではないし、水着選びが初めてというわけでもない。なので既にすぱっと選んでしまっているようだった。
「アタシは、どーにも水着ってのが好かん」
「えー? アツミちゃんスタイルいいから、すっごい似合うと思うのに」
今回選ぶのは、シェードちゃんとアツミちゃん。それから私も、いいのがあれば新しくしたいです。シェードちゃんは既に色々と水着を持ちながら、あれこれ唸っている。
対して、なんか渋いのがアツミちゃん。
「そもそも、わざわざ肌を晒す必要もねぇだろ。こういうのは機能性で選べばいいじゃねぇか」
「機能性だけじゃ女の子は戦えないの! 第一、機能性で選ぶって言ってもアツミちゃん全身タイツみたいなの選ぶじゃん! 全然かわいくないよ!」
「あー? いいだろ別に」
おしゃれにはとんと疎い美少女ことアツミちゃん。戦姫が体調管理を魔道で行うために、美容とかも自動で整えてくれる立場でなければ、残念美人の名をほしいままにしていたと思う。
休みの日にプールで遊ぼうという話になって、残念水着を来てきたアツミちゃんには隙しかありません!
「ってか、ミリアだってクソみてぇな水着きてきたじゃねぇか、なんだよあのみりあとかいうゼッケンみてーなの」
「失礼な! あれはスク水という由緒正しき戦闘形態なのですよ! しかも上と下が分離してないやつ!」
「そういうのは私もわからないかな……」
シェードちゃんまで敵に回りました。
伝統と文化に則って、スク水という選択肢をした私は、むしろ褒められたっていいくらいだ。いや、誰が小学生だって怒ったほうがいいのかもしれない。
むきゃー! 低身長は私のせいではない!
「というか、今回は普通に川で水浴びですから可愛いの選びますよ、これとかどうですか!」
「スイカ柄はどうかと思うよおねえちゃん……」
子供じゃないんだから、って目で見てくるランテちゃん。
えー、結構可愛らしいと思うんですけど!?
「ミリアちゃんの場合、普通に似合っちゃうのが逆にこう、ダメだと思う」
「シェードちゃんに否定された……!」
私は知っている。ランテちゃんだって別に大人っぽい水着を選ぶセンスではないということを。確かに私も子供っぽいセンスをしているが、ランテちゃんに言われる筋合いはない!
だけど、シェードちゃんはマジのマジだ。乙女番長、おしゃれレディース、あれなんか違う?
「ミリアちゃんは普段は子供っぽいけど、真面目なときにびっくりするくらいかっこいい顔をするんだよ! そこを忘れちゃダメだよ!」
「え? 私そんなギャップ担当みたいな感じでしたっけ?」
自分をアホアホのアホー、というのもどうかと思うけど、天才超絶くーるびゅーてぃー、みたいなキャラとは違うことくらい自覚してる。
ちょっとワガママで元気なのが私、って感じじゃないだろうか。
「えー、天然とかっこいいのギャップキャラだと思う」
「ギャップだろ」
「二人まで!?」
まさかのランテちゃんとアツミちゃんからの援護射撃。私はアホアホかっこいいキャラだった……? いや、どういうキャラなんですかそれ。
とはいえ、全員からソッチのほうが似合うと言われてしまえば致し方ない。
でも、どう選べばいいのかなんて、さっぱりだ。
「うーん……じゃあ仮にだけど」
シェードちゃんが提案。
「水着で戦闘するってことになった場合、どういう水着を選ぶ?」
「なんですかその、夏の温かい感じのイベントみたいなシチュエーション!」
ミリアちゃん☆6(水着ver)とか実装されるのだろうか。どう考えても集金である。カッキンカキン!
それはそれとして、実際何を選ぶかと言うとー、悩む。
シェードちゃんは言うまでもなく、ランテちゃんだってセンスはいい。アツミちゃんは未知数だけど、よっぽどだったらシェードちゃんがいい感じに仕立てるだろうし、いい感じにはなると思う。
そんな状況で、私もシェードちゃんプロデュースになるのは、何だか負けた気がしなくもない。ので、ここは全力で選ぶ。選ぶんだけど……
……これかな?
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というわけでやってきましたミリア大森林にある川辺。
自然の中ではあるけれど、ここは水遊びだの、水汲みだのにつかうので、結構整備されている。遊ぶには絶好の場所というわけだ。
さて、水遊びをする前に、悩みに悩んで選んだ皆さんの水着を見ていこう。
私はさっさと着替えて、他の子たちが着替えるのを待っていた。ふふん、こういうところで前世の記憶というやつは……性別違うからあんまり役に立たないな?
それはそれとして、最初にやってきたのはランテちゃんだった。そりゃあすでに選んであったんだから着替えてくればいいだけだ。
ランテちゃんが着てきたのは――
「えへへー、どうかな?」
一言で言うなら、フリル! フリルにフリルとフリルがあわさってフリフリフリーのフーリフリって感じです! いやすごいフリル!
上下フリルの、黒の水着でした。
二の腕の辺りにもフリルがあって、肩を大きく露出する感じの水着になっています。そして、フリルは体型というかプロポーションを隠すのですが、そんなフリルを貫通してくる抜群のそれは、見ていて感嘆するほかありませんでした。
「シンプルで可愛らしいと思います!」
さすがランテちゃん、セクシーさと可愛らしさが両立した、素朴ながらも目を引く水着。ううんマンダム。
「やっほ、おまたせ。ランテちゃんもカワイイね」
続いて、やってきたのがシェードちゃん。
シェードちゃんの水着はとてもシンプルだった。ビキニタイプの、ちょっと露出が多いセクシーな大人っぽい奴。色は白と水色を基調としている。
露出はしていないけど、自前の戦闘力で存在感を放つランテちゃんと、露出故にそれに負けない存在感を放つシェードちゃん、どちらもエッチィです!
デレデレ。
「シェードちゃんはシンプルにしたんですね」
「派手なのも楽しそうなんだけど、ちょっと対比にしたかったんだ」
「対比?」
はて、アツミちゃんは結局シェードちゃんのアドバイスを受けていたから、多分アツミちゃんの水着はシェードちゃんプロデュースだと思うのだけど。
それで対比ということは、アツミちゃんはどういう水着なんだろう。
「して、そのアツミちゃんは?」
「あそこ――」
――木の陰から、気配あり。
アツミちゃんがこっちを眺めていました。あ、顔が赤い。
「……なぁ、ほんとにこれ見せなきゃだめか? 別にアタシの水着なんて誰も求めてねぇんじゃねぇか?」
「そんなことないですよ!」
アツミちゃんはスタイルがいい。
シェードちゃん、ランテちゃんはそれはもう言うまでもなくド級の戦闘力をお持ちなのだけど、アツミちゃんの場合はとにかくバランスがいい。
スラッとした身体に、決して小さいというわけではない形の良いプリンと、ちょっとムチッとしている腰つきは、なんともおじさん力が高まります。
美少女はここに四人いますが、美人さんと言って差し支えないのはやはりアツミちゃんしかいないでしょう。
「だあ……くそ、そんな目で見るな!」
私達三人の期待を一身に受けて、アツミちゃんが入場してきました。
赤と黒の、これまたビキニタイプ。シェードちゃんとの違いは腰に巻かれたパレオだと思う。足を長く見せるそれのおかげで、アツミちゃんの美人力がうなぎのぼり。
これはもう……マブいね!
「えー、カワイイと思う!」
ランテちゃんがキャッキャと喜んでいる。私もキャッキャしておこう。キャッキャッ。
「猿かてめぇは」
「私に対する認識ひどくないですか!?」
いくら何でも猿はひどい!
「んで――」
というわけで、三人の水着が出揃いました。なんか順々にセクシーになっていった気がする。どれもとても似合っていてベネなわけだけど、アツミちゃんがこっちを睨んできた。
「てめぇはなんだそのバスタオル」
「え? よくあるやつじゃないですか」
小学生がつけてるアニメキャラのバスタオル。私はそれで全身を覆っている。最初に来たはいいものの、なんとなく水着を披露する流れは必要かと思い、こうしてバスタオルで水着を隠したのだ。
「えらい自信満々じゃねぇか」
「いや、別にそこまで自信たっぷりというわけではないのですけど」
むしろ自身がないから隠しているとも言える。最初に待ち構えて水着を晒していたら、もう自分が最強って名乗りを上げるみたいだから。
残念ながらチンチクリンの私には、最強水着コンテストで優勝するだけの水着力はない。
なのでこうして、皆さんと同じように水着を披露するべく、バスタオルで隠していたわけです。
「えーっと……こんな感じです」
ちょっと恥ずかしがりながら……いやだって恥ずかしいんですもん、ハードル上がりすぎですよこれ……バスタオルを取ります。
でもって、反応は……
「ほー」
と、アツミちゃんがつぶやきました。それはどっちなんですか!?
とにかく、私の水着はワンピースタイプです。紺色の、一部にストライプの模様が入ったゆったりとした感じのもの。そこにねずみ色のパーカーを着てみました。
「いいと思うよお姉ちゃん!」
しばらく返事がなくて不安だったけど、ランテちゃんが褒めてくれて一安心。アツミちゃんも観察すると感心していると言った感じで、悪く思ってはいないみたい。
とりあえず、失敗はしなかった、と胸をなでおろした。
の、だけど。
「……ミリアちゃん」
「は、はい? なんでしょうシェードちゃん」
ずんずんとシェードちゃんがよってきた。ぎゃあ! なんですか、おしゃれ番長のビューティフルツッパリなんて屁でもないですよ! きしゃあ!
ぷるぷる。
「……結婚しよう」
「……何いってんですか!?」
思わず素で突っ込んでしまった。
いや本当に何言ってるのですか!? シェードちゃんは最近暴走気味だったけど、ついに何かの一線を越えてしまったかのようで。
慌てて飛び退いて、距離を取る。
「にゃー!」
「ああ!!」
あ、なんか変なスイッチを更に押してしまった!
「シェードおねえちゃんって変わってるね?」
「あれを変わってるですますな」
そっちは話をしてないで助けてくださいよ!!
パタパタとシェードちゃんから距離を取るけれど、一向に間が開かない。まずい、逆に差をつめられている――!
そうして逃げていると、
つるっと、足を滑らせて私は川に頭から突っ込んだ。
がぼぼぼぼぼぼ。
「って、ミリアちゃーん!?」
「おちつけ、アイツは溺れてもなんかしらんが助かる!」
「そうだよシェードおねえちゃん! ヘタに溺れてる人を助けようとすると、助けようとした人まで溺れちゃうよ!」
がぼぼぼぼ!
がぼぼぼぼぼぼ!
がぼぼぼぼ!
がぼぼ、がぼぼ。がぼぼぼぼぼぼぼぼ――