03 歩美ちゃん。
同じマンションのひとつ階下。
もう何度も往復して、数えきれないくらい遊びに行ったドアを力強く拳で叩く。 否、殴る。
「あーゆーみー! 帰ってるー?居るんだろー?出ておいでぇー」
これは別に荒手の集金では無い。
ドアの横にはインターフォンもあるが、つい三日前壊れて音が鳴らなくなってしまったのだ。
なので現在歩美ちゃん家のインターフォンは修理中。
鉄筋コンクリートの分厚い壁でも、しっかり部屋の中まで届くようにした配慮だ。
ガンガン五月蝿く鳴り響く、ドアの音にも負けない大声で、馴れ親しんだ幼馴染の名前をひた叫ぶ。
「あーゆーみーちゃーん! 中に居ることは電気メーター見れば分かってるんだよー! はよ出てこいって言ってんだー!!! 」
……うん。 例えそれが歩美ちゃんの部屋どころか御近所さんにも鳴り響き、大きな誤解を与えたとしてもインターフォンが壊れているんだから致し方ない。
部屋の中の歩美ちゃんがドタバタと、慌てたお陰で すっ転んだり、壁や棚にぶつかって更なる大きな勘違いを御近所さんに生んだとしても、ご愛嬌っていう奴だ。
明が叫ぶのを辞めて大人しく待っていれば、暫くしてドアが開いた。 顔を出す。
「おかえり明ちゃん、今日は早いんだね?」
綺麗に編み込まれたおさげ髪を揺らし、ほんわか笑った愛らしい少女。
明とは非対称な色白な肌に、ほんのり桃色に染まった頬っぺたがよく映える。
小柄で華奢、年齢より童顔な顔立ちがまた、小動物を彷彿とさせる歩美ちゃんだ。
「歩美もおかえり。 今日はほら! 例のアレが届く日だったから、早めに帰って来たんだよ。
けどババァに御使い頼まれちゃってさー……、今から行かなきゃいかねぇんだわ」
「はい、これいつもの」 とお裾分けを渡せば、「ありがとう。 いつもごめんね」と受け取る歩美ちゃん。
両手に抱えて申し訳無さそうに、眉をハの字に曲げた。
「でも良かったじゃない。 明ちゃん理想のプラチナブロンドが見つかったんでしょ? 合わせをするのが楽しみだなぁ〜」
「約束したのに歩美には、随分待たせちまったからなぁ〜。 次のイベントはいつよ? そん時にしようぜ!」
「丁度大きいのが夏休みにあるよ! 夏コミって言うんだけどね――……」
明の幼馴染、歩美ちゃんの趣味はアニメやゲーム、漫画と言った類。
絵を描くことが好きで、お話を考えることも好きで、実は同人作家さんでもある。
活動報告にも書きましたが、これにて一旦お試し更新は停止となります。
次の更新再開めどは、まだ立てておりません。
ストックがある程度溜まり次第、再開したいと思います。
その際にはまた活動報告をしたいと思いますので、宜しくお願い致します。
閲覧数見るところが、未だによく分かっておりませんので、読んで下さった方がいらっしゃるの??? かよく分かりませんが、ここまで読んで下さった方誠にありがとうございました。
明が異世界転生を果たすまで、あと……少し。
(21.01.18)