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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第二項 鉱山の街
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教会の書庫 その2

 本を読んでいると時間が経つのが早い。もともと読書は好きだったので静かな場所で過ごすのも悪くはない。最近は戦い漬けの日々だったしな。


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〈聖典と魔典〉 コメット=ジオスタ


 聖典と魔典は宗教国リジョルに古くから存在する書物のことを示す。聖書や魔書はこの世に多くあれど、聖典と魔典はすべてで10冊しか存在しない。またこれらの10冊のことを十概の聖魔典とも呼ぶ。

 

 十概の聖魔典は〈弱属〉〈強属〉〈呪い〉〈治癒〉〈吸収〉〈守護〉〈弱化〉〈強化〉〈死〉〈再生〉の10の概念を書物に記したものであり、これを保有する者はこれらの本質を理解することができると伝えられている。

 しかし、十概の聖魔典は資格あるものにしか保持することは許されず、それが聖魔典管理神官である。聖魔典管理神官は常に欠員が出ており全ての席が埋まったのは今から数百年前の話だ。


 十概の聖魔典を保有する者はこれらの本質を理解する、これはどういうことなのか私は過去に聖魔典管理神官に尋ねたことがある。

 しかし、彼らは口をそろえて『分からない』と言う。では、実際には本質を理解できていないのかと言われれば否だ。なぜなら彼らが行使する魔術は限りなく魔法の域に到達しているのだから。そこで私は本質を頭で理解するのではなく魂で理解したのだと解釈した。


 ここからが本題である。十概の本質とは何か、私なりの解釈を述べる。

 その前に前提の知識として〈魂〉〈魔力〉〈体力〉を知らなければいけない。〈魂〉とは生物すべてにあるとされ力の源とも言われており、これが所謂ステータスだ。〈魔力〉とは魔術や武技を行使する際に必要な要素でMPとも言う。〈体力〉は未だ良く分かっていないがHPのことだと定義されている。

 

 全ての生物は魂が宿ることで意思が生まれると聞いたことがあると思うが、魂を核としてそれを保護するのが体力、肉体を保護するのが魔力だと仮定する。すると、魔力が尽きたとき魔力欠乏症に陥り気絶するのは肉体の制御ができなくなったからだと説明できる。

 同様に魂を保護している体力が尽きることで魂に直接ダメージ受け、死ぬと解釈できる。


 そう考えれば、〈弱属〉〈強属〉は魔力の流動と固定、〈呪い〉〈治癒〉は魔力の劣化と活性化、〈吸収〉は魔素と魔力の変換、〈守護〉は衝撃の対消滅、〈弱化〉〈強化〉は魂の流動と固定、〈死〉は魂の分離、〈再生〉は魂の結合が本質ではないだろうか。


 それぞれ解説すると、魔力を流動させることで魔術(ここでは外部魔力と称する)に対する抵抗力を下げ、固定することで外部魔力に対する抵抗力を上げる。これが〈弱属〉〈強属〉であり、魔力の質を下げることで肉体に不調を与え、魔力の質を上げることで肉体の再生能力などを活性化させる〈呪い〉〈治癒〉。


 次の〈吸収〉〈守護〉は互いに対になる本質とは考えづらいので私は、これは別々の本質があると考えた。魔素、いや魔素で構成されたものを魔力に変換する〈吸収〉と衝撃などの攻撃を対消滅させる〈守護〉。

 魂の揺らぎを増加させることで魂の強度を下げ、魂の揺らぎを固定し魂の強度を上げる〈弱化〉〈強化〉。肉体から魂を分けることで対象を殺す〈死〉、肉体に魂を戻すことで対象を蘇生する〈再生〉。


 これらが十概の本質ではないかと私は解釈した。この解釈はあながち間違いではないと思うがこればかりは聖魔典の保持者になってみなければ分からない。しかし、双極属性魔術を極めたいと思うのならこの本質を意識してみるのもいいかもしれない。


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 ふぅ、全部読み終わった。なかなか、面白い内容だったと思う。特に師匠たち聖魔典管理神官のことが書いてあるこの本はオリジナルスキルを作るうえで役に立つだろう。

 時間を見れば、あと少しで書庫が閉まるから移動しよう。ゆっくりできる場所と言えばあの喫茶店だな。名前は知らないけどいい場所だ。


・・・


・・



 受け取った紅茶を飲みながらオリジナルスキルについて考える。方向性としては十概をメインとした効果にする。その中でも防御系の〈守護〉と〈吸収〉が今回のキーになる。

 それぞれの本質が魔素を魔力に変換する、と衝撃を対消滅させるだったっけかな。あの本の著者もこの本質が正しいとは限らないと言っていたし、私なりにもう一度考えてみるか。


 まずは魔力からだ。魔力とは魔素を体内で分解することで得られる。だから、魔力とは魔素の下位互換だろ。そうすると〈吸収〉は魔素を体内に通すことなく魔力に分解する、が正しいのだろうか? いや、〈魔力を知ろう〉で魔素とは未知のエネルギーの物質化だと仮定していたな。

 つまり魔力も未知のエネルギーとも言えるのか。......よし、決めた。これで〈吸収〉の効果は決定だ。


 次の〈守護〉だが実はこれの本質についてはなんとなく想像がつく。私が勝手に呼んでいるのだが〈守護〉の代名詞ともいえるシールド。あれがどれ程のダメージを無効化できるのか検証していた時に私は見てしまったのだ。攻撃を受けるたびにシールドが薄くなっていくのを......。

 何言ってんだコイツ? みたいな目はやめていただきたい。


 まあ、何が言いたいのかと言うと、攻撃を受けるたびシールドが薄くなるのはシールドを構成する何かが攻撃と相殺されることでダメージを防いでいるからだと思う。なので、相殺できない程の強力な一撃を食らうと攻撃を防ぐことができず、逆にシールドが破壊されてしまう。そして、それを構成するモノが何かというと......。


 これで効果の方は完成。後は制約さえ対等になれば新しいオリジナルスキルも完璧な仕上がりになるだろう。

 完成したらどの魔物に検証を手伝ってもらおうか。ん~、無難にロックゴーレムでいいや。あいつの魔石もあと少しで10個になるし、検証ついでにドロップしてくれると助かるんだがな。


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