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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第二項 鉱山の街
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生産職の集い その3

「行くわよ。エクスカリバー!!」

「ミサキ、お前が使ってるのはただの直剣だぞ? ついに頭も逝っちまったか」

「うるさいわね。気合い入れて攻撃してんのよ」


 ミサキさんは通常運転だ。ゾルも錬金術で作った薬品を投げて援護に徹している。錬金術で作られた薬品はデバフや状態異常と言った効果を相手に付与できるので便利だ。もちろん薬師が作ったポーションの方が効力は高いが錬金術は質より量で勝負できるので適材適所と言いうやつだ。

 ちなみに錬金術師は量産することが本職ではないのだがまあ、今は一次職なので量産することが本職になっている現状だ。

 二人のやり取りを横目にイーコスウルフを見ればあと少しでHPが3割に達するところだった。


「リフレクト......そろそろ衝撃咆哮がくるぞ。私の周りに集まってくれ。カース......リフレクト......レオたちが戻ってきたらロードは魔術でヤツのHPを削ってくれ。頼んだ」


 衝撃咆哮は魔術攻撃に属するのでリフレクトで防ぐことができる。咆哮にも攻撃判定があるのは面倒臭いがフィールドボスだからしょうがない。それに今のところ全ての仲間呼びがキャンセルされているイーコスウルフが可哀そうに思えてきた。だからと言って手加減などする由もない。


「オッケー。もう大丈夫よ」

「だそうだ。ロードいけるか?」

「ええ、問題などありませんぞ。......ファイヤーストーム」


 人数分のリフレクトを張り終え、ロードが魔術を行使すると炎の竜巻がイーコスウルフを包み込む。ジリジリとダメージを与え遂にHPが3割を切った時ーー


 グガァァァァァァア!!

 

 イーコスウルフが天に向かって吠える。咆哮は衝撃となり地を駆けて私たち目掛け襲い掛かる。あれに当たれば私の白黒は解除されてしまう。しかし、先ほど展開したリフレクトに当たり、反射することはなく対消滅することで咆哮を防ぎ切った。もう少し余裕があると思ったが意外とギリギリだった。


 さて、集中だ。想像しろ、光と闇が交互に織りなす世界を。自身の領域を広げ他者の領域を侵す。魔術はイメージが大事だ。想像力次第では通常より弱くも強くもなる。


「【聖光が我らを照らし冥府が仇を呼びつける 極楽浄土 魑魅魍魎 天門に上りて獄門を睥睨す〈連続詠唱 功麻賢睡速呪〉】」


 どうだろうか? かっこよく決まったと思う。尊敬の眼差しが向けられているかとチラりとリアさんを見るが全くその気配が見えない。やっはり、派手さなのか!! 支援職に派手さを求められても応えることができないというのに理不尽なものだ。  

 まあ、いいさ。私が連続で発動させたエンチャント・レッドアップ、エンチャント・イエローアップ、エンチャント・グリーンアップ、パラライズ、スリープ、カースによりイーコスウルフが睡眠状態に入った。麻痺か石化の状態異常が入ってくれれば最高だったが睡眠でも行動阻害系の状態異常が入っただけ御の字だ。

 一応レオのためにSTRとAGIを上昇させたがこの隙にロードには大技を撃ってもらおう。それであいつの体力も全損するだろうからな。


「あれ、ボスが寝ちゃいました! どういうことですか?」

「あれは闇魔術のアーツ、スリープですぞ。ゼロ殿が発動させた連続詠唱のおかげで何種か放った状態異常が入ったのでしょうな。それにしても、まさか6種連続で発動できるようになっているとは」

「眠りの状態異常か。麻痺だったら俺も殴れたんだがな。しゃあない、今回はロードに譲るぜ!!」


 リアさんは私がアーツを発動させたことに気づいていなかったのか。基本属性魔術と違ってエフェクトが派手ではないためどんな効果か分かりづらいのが裏目に出た。本来なら対策を練りづらいのでエフェクトが地味な方が有利なのだが今は派手さが欲しかったところだ。


「フィールドボスに状態異常を入れるのはレベル差があっても難しい。1つでも入った時点で相当運がいい方だろ」

「そんなことはいいから止めを刺してちょうだい。次の街に早く行きたいわ」


 それもそうだ。睡眠の状態異常とて永遠に継続するわけではない。早く止めを刺さないとイーコスウルフが起き上がってしまう。


「僭越ながら吾輩がとどめを刺させていただきます。〈セクステットマジック アップ六属〉【我欲す 愚者に下りし無慈悲なる旋風 廻り廻りて灰塵に帰せ〈セクステットマジック ストーム六属〉】」

 

 6色の光がロードを包み込み、ロードが放つ魔術を底上げする。一言一言に魔力を込められた詠唱はさらに魔術陣を拡大させ、イーコスウルフをも軽く飲み込む竜巻を6つ生み出す。

 イーコスウルフに向かい進む竜巻はヤツに近づくにつれ徐々に巨大な1つの竜巻となる。全ての属性が反発することなく完全に調和した竜巻は旭日昇天の如く激しく唸りその中にイーコスウルフを取り込む。

 直後、イーコスウルフの悲鳴のような雄たけびが耳に届く。しかし、竜巻は止まることを知らず段々と中央に収束しーー


「春ハルさんのスタイルも悪くありませんな」


 そういってロードがぼそりと呟く。

 魔力が尽き、竜巻が消失した後、そこには晴天のもと月光に照らされた草木のみが凱風に煽られていたのだった。


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