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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第二項 鉱山の街
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生産職の集い その2

「それではボス戦が始まる前に事前確認をしておきましょうか。前衛はレオとミサキさん、中衛に私とゾル、後衛はロードとリアさんです。イーコスウルフは体力が一定以下になるごとに配下のファングウルフを召喚してきますがその処理は私とロードが行います。ミサキさんたちは最低限の対処をしてもらえれば問題ありません。次にヤツのHPが3割になった時に衝撃波を伴う咆哮をしてきます。これを喰らってしまえば私の白黒は解除されてしまうのでアーツを使って障壁を張ります。咆哮のタイミングは私が合図するので合図が来たら全員私の近くまで撤退してください。その咆哮が終わったらレオは獣化を使っても構わない。あとは全力で攻撃するだけだ。援護は私がするのでレオとミサキさんはとにかくイーコスウルフを倒すことだけ考えてください。何か質問はありますか?」

「質問じゃないけど話づらいならいつも通りの口調で構わないわよ」


 確かにミサキさんたちと話す時は口調を変えている。だが、ミサキさんがそう言うならいつも通りでいかせてもらおう。話づらかったのは事実だしな。ミサキさん以外に目を向けるが質問はないようだ。それでは2度目のフィールドボス戦を始めよう。


〈ボスエリアに侵入しました。戦闘を開始します〉


「あれ? 何もいませんよ」

「ここのボスは遅れて登場しますからね。しかし、戦闘は既に始まっているので油断は禁物ですよ......エンチャント・レッドアップ。レオはイーコスウルフが現れたら即突撃していいぞ」

「よっしゃ、任せな!!」

「どうやら来たようですな。〈セクステットマジック アップ六属〉」


 アオオォォォーーーーン!!


 イーコスウルフが草むらから出現した瞬間にレオが駆け寄り、大剣を横凪に一閃する。それに少し遅れてミサキさんも一太刀浴びせる。

 さらに後ろではロードが赤、緑、茶、黄、青、半透明の魔術陣を生み出して自己強化を施している。6個のアーツを同時発動させるのは並大抵のことじゃない。アーツが発動するまでの間、魔術陣を保たなければならないからだ。さらには複数のことを同時に考えて行使しなければいけないのでいかにマルチタスクが得意な人でもこの数を同時にこなすのは難しいだろう。

 だが、それは流石にやりすぎだと思うがな。今のアーツは次に発動させる同属性の魔術攻撃のダメージを増加させるものだ。倍率などは詳しく知らないが次にロードがやろうとしていることは想像に容易い。


「さあ、ショータイムの時間ですぞ!!【火が灯り風が吹く 大地が怒り天雷が下る 静寂に沈むは無の極致〈セクステットマジック ソード六属〉】」


 ロードが両手を空に掲げ、詠唱を開始する。すると先ほど同様中空に赤、緑、茶、黄、青、半透明の魔術陣がロードを中心にして展開される。詠唱の補助を受け極限の輝きを放った魔術陣が震え、轟音を響かせながら色とりどりの剣が空を駆け、イーコスウルフを猛攻する。


 ヤツは焼かれ、切り裂かれ、抉られ、貫かれ、潰され、衝撃によりその体躯を地に投げ打つ。

 見ればイーコスウルフのHPは5割を切っていた。なんで主人公ムーブをしてるいるのだ。私も派手な技が欲しくなるだろ。


「すごいです!!」


 リアさんが目を輝かせてロードを見つめる。

 確かに派手でかっこいいがあれはレベルによるごり押しだ。まあ、本来の魔術師としての役割、固定砲台としては十分な働きだろう。

 しかし、ロードよ、お前は許せんな。なんでリアさんから尊敬の目で見られているのだ。リアさんも無意識のうちに尻尾をフリフリ、耳をぴょこぴょこと動かしているじゃないか!!


 ふぅ、ネコミミ少女は最高だな。マナー違反だがスクショをしてしまった。私が撮ったんじゃないぞ。勝手にフォルダーの中に入ってたんだ。だから、これは私の意志ではない。きっとゲーム内システムが勝手に動いたんだ。そういうことにしておこう。

 最高の写真を手に入れたのでこの件は不問にしてやる。だが、リアさんそんな目であいつを見ちゃいけませんよ。仮面のおかげで涼しげな顔をしているように見えるが仮面の下は最高の演出をしたとにやけ顔になっている違いない。私も仮面を付けようかな。そうすれば......いや、今は戦闘中だった。

 

「あぶねえな!! フレンドリーファイアがあるんだからこっちのことも気を遣えよな 」


 今のロードには何を言っても通じないと思うぞ。それとミサキさんには攻撃が届かないようにしっかり調整されていた。そこはちゃんと意識していたみたいだ。


 アオオォォォーーーーン!! アオオ、......ッツ


「うるせえぞ、犬っころ!! ハイスラッシュ!!」


 イーコスウルフが遠吠えによりファングウルフを呼ぼうとした瞬間、レオの攻撃によりモーションキャンセルが起こりファングウルフを呼びつけることに失敗した。

 これはそのまま3割まで削り切れそうだ。衝撃咆哮を防いだ後の準備を進めておくか。準備といってもロードの真似事だけどな。私には3属性以上の魔術を同時に発動させるのは無理だが2属性までだったら連続詠唱ができる。


 連続詠唱とは通常1つ1つ発動させるアーツを思考操作で同時にアーツを選択することで途中に待機時間を挟むことなくアーツを行使するテクニックだ。

 言葉で説明すると簡単に聞こえるが実際にこのテクニックを使えるプレイヤーは多くない。このテクニックを戦闘中にも使えるならそのプレイヤーはトッププレイヤーといっても過言ではないと言われるくらいかなり高度なテクニックだ。


 かくいう私もβ版の時にさんざん練習した。そのおかげもあって光と闇の2属性なら5種類のアーツくらいは連続詠唱ができるようになった。だが、できると言ってもかなり集中力が必要になるのでロードのようにバンバン使えるわけではない。

 それでもこのテクニックを使えば戦局を覆すことができる。光魔術と闇魔術を交互に発動させれば白黒も発揮するからな。ちなみに白黒は聖魔術と邪魔術のアーツを使ってもリセットされなかった。どうやら光魔術と闇魔術の派生なのでシステム的にはセーフらしい。


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