二次職 その2
転職可能な職業はやはり神官系だけだったか。ここで生産系なんかが出てきても困るだけなので別に構わないが。とりあえず、それぞれの詳細を見てみよう。
二級神官(双極属性魔術・無属性魔術・書術に補正)
見習いを卒業した神官が就くことが多い。光と闇の両方に適性があるが極めるのは並大抵のことではない
聖神官(光属性魔術・書術に補正)
光系統魔術に特化した神官。その頂は聖典の保持者にも届きうる
邪神官(闇属性魔術・書術に補正)
闇系統魔術に特化した神官。その頂は魔典の保持者にも届きうる
説明文を読む限り、二級神官が通常転職枠で残りの2つが私が所持するスキルか称号に関連して出現した転職枠だろう。2つとも名称の最初が聖か邪なので称号ではなくスキルである可能性が高い。今私が持っているスキルに聖魔術と邪魔術があるからな。
この情報は意外と役に立つだろう。ロードなんかは光と闇以外の全種類の魔術を習得していたので全てのスキルを二次スキルにしてから転職をした方が特殊な職業が出てきそうだ。
師匠の弟子という面で考えるのであれば聖神官にした方がいいのかもしれないが結局私がその後継者とやらになったとして聖典と魔典どちらを引き継ぐのか定かではない。しかし、今空きが出ているのは聖典のみなのでやはり聖神官にした方がいいのだろうか。
しかし、それでは白黒の強みを捨てることになりかねない。説明文の通り、聖神官は光属性魔術に特化している。どこまで特化しているのかは分からないが白黒を今後も重視した戦い方を取るのなら二級神官が一番マッチする。
ここは私の直感に委ねるべきだな。
〈神官から二級神官に転職しました〉
転職は成功。私が選択したのは二級神官だ。
毎回使っているが今後も白黒は私の切り札になる。このオリジナルスキルの強みを消してしまっては意味がないからな。
聖神官になっても邪神官になってもどちらかを伸ばすなら他方はその成長の幅が止まるか縮む。
何かを極めるには何かを捨てなければならない。これはこの世の摂理。しかし、全てを極めることができる道があるのならその道を進まないでどうするというのか。
何事もやる前から答えなんて決まっちゃいない。自分が信じる道を進む、それが望む未来を掴む近道だ。
「どうやら転職は終わったようですね。リーン様の言う通り、二級神官を選びましたか。ゼロ様、彼ら聖魔典管理神官が立つ場所は遙か高見です。しかし、私はあなたが彼らと同等、いやそれ以上に成長することを願っております」
トリガさん。そんなことを言われてしまったらこの私とて泣きそうになってしまう。年を取るごとに涙腺が緩くなっているのだからそう言う感動系はやめていただきたい。だが、その言葉はしっかり胸に刻んだ。師匠の背中に一歩でも近づくために今後も修行に励んでいこう。
「待たせたな」
アイアンゴーレムをちょうど倒し終えたところの聖たちと合流する
「遅いじゃねえか。ゼロがいないとアイツが硬すぎてぜんぜんダメージ入らなかったぜ!!」
「転職は無事終わったみたいだな。お前がいないと不知火の回復に手間取るから早く帰ってきてくれて助かった」
これでも街からはダッシュで来た。バフも使ってたのでそれなりに早く着いたと思ったのだがレオのお眼鏡には叶わなかったようだ。
それに私がいないと不知火の回復ができないのでポーションを使ったのだろうがそれだと逐一行動を止めなければならないので時間が掛かったのは想像に容易い。
「すまなかったな。まあ、許してくれ。それと、多分ロードに有益な情報を持ってきたぞ」
「俺たちにはないのかよ?......仕方ない。それじゃあ、アイアンゴーレムの連戦始めるか」
スキルの関係上ロードくらいしか当てはまらない。そこはもう仕方ないと思って諦めてもらおう。あるとしたら一刀と聖の二人もだが転職の間に行かなければ流石に分からない。
それはさておき、アイアンゴーレムとの連戦だ。転職した私の実力を見せてやろう。ちなみに転職したからといって強力なスキルは手に入ってない。
気分的に強くなった気がするだけだ。モチベーションは戦闘における重要なファクターとも言うし、きっと大丈夫だろう。




