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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第一項 始まりの街
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教会

 歩くこと数十分、やっと教会が見えてきた。

 この街の教会は宗教国に所属する神官たちが経営しているものであり、他の場所にある教会も全て宗教国が経営している。

 

 教会と言ってもそれほど大きくはないが扉から出てくるプレイヤーの数はかなり多い。

 教会はプレイヤーが死ぬと復活する場所なので、大半のプレイヤーが魔物か何かにやられたのだとは想像がつくがそれにしても多い。

 低レベルの状態でラッシュボアかファングウルフにでも挑んだのだろう。

 魔物は夜になると活発になるため想定外の一撃でも食らったのではないだろうか。

 それにこのゲームが開始してから1日も経っていないのだし、野良パーティでは連携に無理が生じるので、この光景は仕方ないのかもしれない。


 出てくるプレイヤーを尻目に教会に入る。

 ついでに聞き耳を立ててみたがどうやら私の想定通り魔物が思ったより強くて負けたらしい。他にもパーティメンバーがオリジナルスキルの使用を渋って全滅したところもあった。

 オリジナルスキルについては何とも言えんな。

 本来ならパーティを組んだのだから味方の危機にはオリジナルスキルを使うべきなのかもしれないがオリジナルスキルはプレイヤーの切り札だ。

 制約や効果を知られると困るプレイヤーもいるだろう。聞き耳を立てたパーティもどうやら野良だったみたいだし、信用しきれなかったのかもしれない。


 それはいいとして早速教会の中に入ったのだがどうやらプレイヤーは一人もおらず、いるのは窓を拭いているシスター数人と祭壇に立っている神父だけだった。

 プレイヤーがいないと言うことはこの空間はインスタンスエリアなのだろう。

 ちなみにインスタンスエリアとはプレイヤー、またはパーティのみしか入ることのできないエリアを言う。

 この仕様になっているのなら教会前にプレイヤーが多くいたのにも納得できる。教会内は自分のパーティしかいないのだから手狭に感じることはないのだろう。


 教会内の左右には天使の絵が描かれたステンドグラスがあり、目の前には長椅子が綺麗に並び、その向こう側に8つの像が立っている。

 あの像はきっと七神と大神なのだろうがどの像がどの神なのか皆目見当もつかない。

 教会などβテストの時も死に戻り以外で訪れたことがないのでちょっと緊張気味だ。

 神官職に就いていたのに何故教会に行かなかったのか疑問に思うかもしれないが、プレイヤーが教会に世話になるのは復活させてもらう時しかなかったからしょうがない。


 それはさておき奥にいる神父のような人がリーンさんなのだろうか?


「教会に何か御用ですか?」


 私が神父さんに近づき声を掛けようと歩き出したところで、ドアの近くにいたらしいシスターに話し掛けられた。


「ええ、リーンさんという方に用があったのですが」

「リーン様にですか? 失礼ですが紹介状か何かお持ちですか?」

「紹介状はないのですがルドルフさんと言う方にリーンさんに会いに行ってみな、と言われまして」


 やはり、そう簡単に会えないのか。

 ルドルフさんもリーンさんは宗教国の中でも5本の指に入るほどの光魔術の使い手、と言っていたのでかなり位が高い人だとは思っていたが、紹介状が必要になるレベルなのか。

 ルドルフさんに紹介状を書いてもらえればいけるか?


「ルドルフ様にですか! わかりました。少々お待ち下さい」


 そう言ってシスターは神父の下に走っていった。


 ルドルフ様、か。

 宗教国の実力者であるリーンさんとパーティを組んでいたと聞いてからルドルフさんもかなり強いと思っていたが、これは思った以上に凄い人物なのかもしれない。

 人は見かけによらないとは正にこのことを言うのだな。それなりに人を見る目を持っていると思っていたがまだまだみたいだ。

 それにしてもルドルフさんはなんで屋台を開いてたんだ?


「あなたがルドルフ様にリーン様の紹介をしてもらった方ですね?」

「はい、ルドルフさんに紹介してもらいましたゼロといいます。それで、あなたは?」

「これはすみません。私はこの教会の神父をしていますウルマと申します」


 シスターが戻ってきたと思ったら今度は祭壇に立っていた神父のウルマさんを連れてきたようだ。もしかしたらこの神父がリーンさんかと思っていたので少しがっかりしてしまったのは内緒だ。


「つかぬことお聞きしますがゼロ様はリーン様にどのようなご用件でしょうか?」

「私も神官の端くれでして、そのことを知ったルドルフさんに、リーンさんに会いに行けば何かアドバイスをもらえるかもしれないと言われたのでここに来させてもらいました」

「そう言うことでしたか。リーン様は多忙な御方なので承諾を頂けるかは分かりかねませんが、私はこのことをリーン様にお伝えしてきますので少々お待ちください」


 そういうが早くウルマさんは祭壇の奥に歩いて行ってしまった。

 リーンさんには今日は会えないかもしれない。だが、これは特殊なスキルを得るためのチェインクエストの可能性もあるので、会えなくてもいつかはリーンさんに話を聞きたい。

 それとルドルフさんにもだ。シスターに敬称で呼ばれているのだから相当な地位にいる人なのだろう。あの時に冒険者ギルドの場所を尋ねるためにルドルフさんに話し掛けて良かったよ。


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