表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第一項 始まりの街
38/378

圧倒的勝利

「後、3体!」

「承知しましたぞ。......〈トリオマジック ランス赤・青・黄〉」

「りょーかい。さて、集中集中っと。ふぅ......瞬間装填、属性付与発動。シッ!!」


 残り3体になったファングウルフの1体をレオが力のままに切り捨て、その後ろの1体をロードが各属性のアーツを巧みに操り、串刺しにする。

 最後の一体は聖がオリジナルスキルを使ってまるで雨の如く矢を降らせ射抜いた。


「どうやらファングウルフの処理は終わったみたいだな。俺では攻撃力が足りなくて困っていたからちょうど良い頃合いだ」

「本当だよな。ゼロのデバフ入ってんのにコイツ、どんだけSTR高いんだよ。たく手間かけさせやがって」

「だが、これでハイ・ファングウルフに対して攻勢に出れる。レオは残念ながらタイムオーバーみたいだがな」

 

 最後のファングウルフを倒すまでに約70秒と言ったところだ。

 本来なら最大で99秒まで戦うことが出来るが途中で私達のカバーが間に合わず、何回か攻撃を受けてしまいHPが減少したので少し効果時間が短くなってしまった。


 レオは防御など考えずにファングウルフに突っ込むのでこっちとしてはハラハラして仕方が無い。それに獣化は制約によって回復が無効化されるのでたまったものではない。

 しかし、そこはオリジナルスキルの恩恵と言うべきか、いや、単にレオのPSが大きく関係しているのだろうが強力な一撃は必ず避けていた。


 本来なら急激にパラメータが上昇すれば思い通りに動けなくなることがしばしば起こる。ましてそれがAGIならば余計に自分が思い描く行動から外れてしまうだろう。

 だが、レオはそのAGIが2倍になっても思い通りに動いていたのでセンスを感じる。


 それはさておき、ここからが本番と言っても差し支えない。

 ハイ・ファングウルフは一部の魔物を除き、この始まりの街ではフィールドボスの次に強い魔物だろうからな。

 

 困ったことにレオは先の戦闘でオリジナルスキルを使ってしまったので先程のような火力は出せないだろう。

 それにパラメータが半減しているしな。と言ってもそこは私の白黒でバフが入っていない状態の時のステータスよりかは高くなっているだろうが。

 

「ここまで来れば油断さえしなければ大丈夫だろうがまた仲間呼びされたら困るのは私たちだ。最後まで気を抜かずに行こう。レオはステータス自体はバフ無しの時と余り変わっていないだろうからそのまま前衛でいけるか?」

「もちろんだぜ! 俺が後ろで戦うなんてあるわけねえからな!!」

「それじゃあ、総攻撃であいつを沈めるってことで良いのか?」

「いいんじゃないかな? どっちにしろレオがペナを食らってるからこの戦闘が終わったら一度街に帰ることになるだろうしね。それにそろそろ、みんなも夕食の時間じゃないかな?」

「まあ、そういうことだ。ここからは全力戦闘だ。だが、不測の事態に備えて少しはMPを残しておけよ? 特にロードはな」


 ここまで私たちを追い詰めてくれたんだ。その礼はしっかりしなきゃいけない。

 私が右手を振るうと魔術陣が現れ、そこから紫電がハイ・ファングウルフに向かって飛んでいく。だが、ハイ・ファングウルフに当たった瞬間にバチッと音が鳴ってパラライズがレジストされる。

 既に何十回とデバフを撃っているがなかなか状態異常系のアーツは成功しない。

 入らないってことはないが効率が悪いのは確かだ。パーティを組んでいるとソロの時に比べて成功率が下がるなんてことがあるのかもしれないな。


 さて、私は仲間の支援に集中しているわけだがレオはその体捌きでハイ・ファングウルフに近づき連続でアーツを放ち、それに続くように一刀も高速で移動しながら切りつけていく。

 途中でハイ・ファングウルフが苛立ちを隠せずにレオに対して飛び掛かろうとするが直ぐその間に不知火が入り、ヘイトアップを使いカバーに入る。


 ハイ・ファングウルフは攻撃を防がれたと分かると後方へ退き、今度は仲間呼びをするため吠えようとする。

 そこに狙い澄ました聖のヘビィショットがハイ・ファングウルフの頭を打ち抜き、仲間呼びをキャンセルさせ怯みを誘発させた。

 その直後、怯みによってその場に縫い付けられたハイ・ファングウルフに対して三色の槍が飛来してヤツの身体を串刺しにする。

 

 我ながら息の合った連携だと思いながら、待機中だったマナコンバージョンを発動させて魔術を連発しているロードに対してMPに余裕のある不知火と聖からMPを分配させる。

 

 ロードのMPが回復したことを確認してから再度右手を翳し、ハイ・ファングウルフにパラライズのアーツを放つ。

 今ならダメージも食らっているし、効果があるのでは無いかと思い放ったアーツだったが予想通り、魔術陣から放たれた紫電がハイ・ファングウルフに絡みつき痙攣させる。

 鑑定で表示されているやつの簡易ステータス画面に麻痺の状態異常が表示され、その横に5秒とカウントダウンが始まった。


「今だ、全力でやれ!!」

 

 私が合図を出すと同時にレオと一刀が走りながらハイ・ファングウルフにそれぞれがアーツを叩き込み、追い打ちするよう聖のアーツにより放たれた矢が放物線を描きながら脳天に命中してハイ・ファングウルフの頭を強制的に下げさせる。

 次の瞬間、聖による追撃の矢が螺旋を描きながら頭を貫いた。

 

 一連の動きを終えた後、時間経過により麻痺が解除されたハイ・ファングウルフが体毛を逆立てて怒りの籠った声で吠えるが残念かな、吠えてる暇があれば攻撃に移れとばかりにロードが片手にもった魔術触媒である杖を振るう。

 すると、どこからともなく火、水、雷の3属性の球、槍そして刃が出現してハイ・ファングウルフを吹き飛ばし、貫き、切り裂いていく。


 そして、残り1割程だったHPバーが砕け、終にはハイ・ファングウルフが淡い光を放ちながらその体を崩壊させていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ