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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第五項 王都
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阿吽の呼吸

 アーサーたちと合流してから始まった戦いは既に10分ほど経過した。私たちの被害は軽微でありながら悪魔のHPは残り3割まで削ることが出来ており、第三形態まで残り少しという状況まで運ぶことに成功した。


「炎舞!」


 天命が放つ炎の太刀が悪魔にぶつかり火の粉を散らす。魔術と剣術を両立させている天命のダメージ量はトップクラスを誇り、悪魔に対してもHPバーの減りが視認できた。


「小賢しい」

「させるかよ!」


 攻撃を受けた悪魔が天命に向かって槍を投擲するが間に来た不知火によって防がれる。すると近づいた龍角の一撃が悪魔を襲った。これを悪魔は盾で防ぎ、手に持った剣で斬り返すが龍角が纏う鱗にぶつかり弾かれた。

 今の龍角は龍人の姿をしているがもう一つのオリジナルスキル、龍王の影響を受けて数十枚の鱗が疎らで黄金色に変色していた。その変色した鱗は非常に固いようで悪魔の攻撃を受けても傷一つ付いていない。


「また貴様か!」


 龍角と交代するように前に出た私が震撃を悪魔に打ち込み、天命とスイッチする。樹王による攻撃は諦め、体術をメインに切り替えたが今のところ順調だ。一撃ずつ交代すれば攻撃を喰らう可能性も低く、悪魔のフラストレーションのみが上昇している。


「グァアアア!!」


 天命の攻撃が終わった瞬間、春ハルさんの援護が飛んで来る。一瞬にして炎上した悪魔は地面から天に伸びる青い稲妻を受けて膝を付いた。


「クソガァアア」


 さらに不可視の衝撃が悪魔の左肩を抉り、氷がヤツの身体を蝕んでいく。


「動けぬか!」


 龍角の攻撃が悪魔を捉えた。身動きが出来ない悪魔は正面から拳を喰らい、凍り付いた身体の一部を地面に残して転がる。ヤツの身体は直ぐに再生を始めたがそこへ天命と私が駆け寄った。

 まず天命が悪魔の右腕に剣を叩き付け、直ぐに衝撃が伝搬してヤツの腕を叩き切った。それだけでは終わらず二振り目でもう片方の腕も肩から切り落とす。こうなれば四肢を再生するまで反撃が出来ない。


「破っ!」


 助走の運動エネルギーを一気に収束させて悪魔の頭部を殴りつける。毎度の如く放たれた震撃はヤツの脳内で花開いた。靄が飛び散り、ヤツのHPが一瞬にして1割ほど削れる。しかし悪魔が死ぬことはなく、靄が渦巻いて私たちを攻撃した。

 この戦いの最中何度か見たがこの靄にはHPを削る効果があるので全員が一度距離を取る。あのまま攻撃を仕掛けても悪魔のHPを削り切る前に私たちが先に力尽きてしまうのだ。ただ遠距離攻撃が出来る天命と春ハルさんの攻撃が止むことはない。


「ここからが本番だ!」


 悪魔の声と共に靄が衝撃を伴って放出され、私たちが吹き飛ばされる。私だけは万象夢幻により攻撃を無効化したがあのまま近くに居れば良い的なため急いで後退する。


「魔力が練れていないぞ」


 悪魔が天命に狙いをつけたので不知火がカバーに入る。悪魔の攻撃を一度は防ぐが二度目の攻撃を防ぎきれなかった不知火が弾かれた。そこに天命が一太刀浴びせようとするが戦いの最中MPを消費しすぎた天命の攻撃は普段より軽かった。

 その隙を突いた悪魔が攻撃を受け切り、天命を掴む。瞬く間にHPが減り始めたのでハイヒールとヒールを飛ばしてエリアヒールも重ね掛けする。それでもHPの減りの方が速いが龍角が悪魔に攻撃することで天命が逃げることに成功した。


「ヤバすぎだろ」


 愚痴を零しながらHP回復ポーションとMP回復ポーションを飲んだ天命が前線に戻り、魔術が籠った剣術を披露する。爆炎を上げながら悪魔を襲った剣撃はしかしヤツが生み出す靄によって受け止められてしまった。


「ラストスパートです。一気に行きましょう!」


 アーサーの号令と同時に私たちに掛かっていたバフの効果が上昇し始めた。見ればアーサーが持つ神器ではない方の武器が光を放っている。


「我に続け!」


 最初に龍角が走り出し、悪魔に攻撃を加える。ヤツはその攻撃を軽々と防ぎ靄を動かして龍角を襲うが不知火が間に入り、龍角を庇う。靄が盾に弾かれてヤツの視界を封じたので強行突破して私が悪魔に一撃加える。一拍おいてヤツの呻き声が聞こえたが追撃を仕掛けることなく天命とスイッチする。


「〈奥義・雷一閃〉!!」


 天命が持つ剣が激しくスパークし、悪魔に向かって飛びたつ。横凪に放たれた雷は音速もかくやという速度で飛翔して悪魔に迫る。非常に高い光量を持つ雷の一撃は一瞬ヤツの視界を奪い命中した。


「ガァ...ァア」


 声にもならない音を響かせてヤツの動きが止まる。天命が放つ二つ目のオリジナルスキルはスキルを代償にして放たれるが見ての通り、非常に強力だった。なにせあの悪魔を一時とはいえ行動不能にしてしまったのだから。


「今です。止めを!」

「【風に押されて土に埋もれる。凍える大地に震えても燃え盛る炎は身を焦がす。空に昇る閃光、身を砕く見えざる鉄槌】」


 アーサーの指示と同時に最後の詠唱を終えた春ハルさんが魔術を打ち出す。構築された魔術陣の数は6つ。待機時間は10分に届くだろう。基本属性魔術の二次スキル、それらの最終アーツが全て放たれた。


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