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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第五項 王都
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集結

「潰えよ」


 まさに鶴の一声。悪魔を中心に広範囲で強力な荷重が加わる。ヤツから逃げていた私も例外ではなかった。白黒の強化があるおかげで直ぐに地面に叩きつけられるようなことはないがそれでも一歩進む度に荷重は増していく。


「この身では仕方がない」


 何が仕方が無いのか知らないが必死の思いで足を動かす。既に口を動かすことすら難しい程に重力が圧し掛かっている。感覚的にもう少し荷重が加われば万象夢幻が発動する。その時が脱出のチャンスになるはずだ。


「逃がすとでも? 貴様はここで死ぬべきだ!」


 靄が噴き出して剣を形作る。片手剣サイズのそれは1本、2本と数を増やして最終的には数百にも上った。避けることはまずできない。加えて万象夢幻もこの数を前にしたら無力だ。詰んだ、な。


「群れなければこの程度か。死ね」


 雨のように降る剣の群れは次々と地面に突き刺さり、魔物もプレイヤーも分け隔てなく死を運ぶ。

光の粒子がタンポポの綿毛のようで綺麗だ。そんな感想を抱きつつ私は立ち上がった。


「わりぃ。遅れた!」

「いや、助かった。お前が来てくれなければ今頃教会だ」

「そうかよ。リザレクトだけ掛けられて放置された時はどうしたもんかと思ったが結果良ければ、だな」


 私の傍に来た不知火は肩を竦めながら笑う。そこに剣が到来するが不知火に触れた瞬間、霧散してしまった。


「後の二人はどうしたんだ?」

「まだ死んでは無いみたいだが合流は出来そうにないな」


 私にも剣が飛んで来る。しかし、それも私に触れると霧散してしまう。それは不知火のオリジナルスキル、絶対防御の効果だ。如何なる攻撃も無効化するため効果が切れるまでこの剣の雨の中に居ても問題ない。と言っても絶対防御の効果時間は短いので油断するとハリネズミになってしまう。


「それでどうする?」

「私の作戦だと防壁まで逃げて持久戦だったのだが...準備が出来たみたいだ」


 悪魔から視線を外し、一刀からの連絡を受け取る。そこには全員揃ったと一文だけ書かれていた。

 そして重力と剣の雨が効かないと悟った悪魔は両手に剣を生み出して構えを取った。


「反撃だ」


 私はそう言うと待機時間が終了した魔術を次々に発動させる。バフとデバフは勿論、ホーリープリズンが悪魔の周りに展開され、拘束を試みる。


「軟弱に過ぎる!」


 悪魔が生み出した剣で光の牢を切り裂き、吠える。ホーリープリズン程度では一手消費させるだけしかできないがヤツの気を引ければ良いので次の手を打つ。ただ私が持っている攻撃系のアーツは殆どないので嫌がらせ程度のデバフだけだ。


「無駄な抵抗だ。ここに来て考えることすらやめたか」


 悪魔の嘲笑う声が聞こえるがどうやら上手く行っているようだ。今私が使ったデバフは悪魔に対して雀の涙しか効果を期待できない。それでもヤツは剣で捌いてデバフに当たらないようにしている。全く無駄な努力だと言うのに。


「近くで見るとなかなか迫力があるではないか」

「龍角か。他は?」


 龍角の到着と同時に魔術によって作られた属性武器が空を埋め尽くすように飛来し、悪魔に奇襲を仕掛けた。先ほどまでとは攻守が逆だ。


「お待たせしました。この面子であの悪魔を討伐します」


 馬に乗って他のメンツが到着した。今の攻撃は春ハルさんがやったようだ。


「作戦は聞いているか?」

「もちろんです。ゼロさん、くれぐれも無茶はしないでください」


 アーサーから釘を刺されつつも全員にパーティ申請を送る。ロードたちはPVPが専門であるためPVEには不向きだ。だから最終的にこのパーティで悪魔を倒すことになった。

 メンバーは私、不知火、アーサー、春ハルさん、龍角、天命だ。上位勢の中でもトップの実力者で構成されたこのパーティが負けるようなら後は天に祈るだけとなる。


「来ますよ!」

「今度こそ止めてやらぁ」


 まずは神官としての役割を果たすためにバフとデバフをばら撒いて白黒の強化を図る。それ以降バフの更新さえすれば好きに動いても良いようだ。と言うのも即席のパーティであるため連携など出来るはずもなくただ個の力をぶつけるだけだからだ。


「どけ邪魔だ」

「先に行きたければ俺を殺してみな」


 突き出された悪魔の剣を盾で往なした不知火はシールドバッシュを喰らわせる。一度受けている技だからか対処がスムーズだ。


「そうか。なら死ぬといい」

「スイッチ!」

「我の龍鱗を貫くか。やりおる」

「古代種か? 怪奇な姿をしている」


 悪魔が後退して魔術を不知火に打ち出した瞬間に龍角はその魔術を受けながらも悪魔に接近し、殴り掛かった。ヤツは容易く龍角の攻撃を防いで見せたが龍角は尻尾を操り、死角から悪魔を攻撃した。この攻撃には悪魔も虚を突かれ、防ぐことすら出来ずに喰らってしまう。


「では始めましょうか。勝利を我が手に」

「貴様、天使の使いか!」


 アーサーが虚空から神剣を取り出す。世界を照らす光を持つ神剣には流石の悪魔も驚いた表情を見せる。神器とはそうも恐ろしい物なのだろう。


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