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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第五項 王都
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悪魔との攻防 その1

先週分です

「この時をどれほど待ちわびたか!」


 悪魔は空から眼下の私たちに対して告げる。その姿は正しく強者のそれだがそこ目掛けて一条の矢が迫る。


「この街を滅ぼせば私は更なる高みに昇れる!! さあ、パーティーをはじ......グッハァ!?」


 悪魔が開戦を告げると同時に聖が放った矢がヤツを撃ち抜いた。まさか本当に当たるとは。避けるなり他の行動を予想していただけに驚きだ。もしかすると私が想定しているよりもヤツは弱いのかもしれない。それならばやることは一つだ。


「流石、僕だね」 

「だせえな、あいつ!!」

「そう言ってやるな」

「俺たちも下に行くか?」

「ですな。吾輩も早く戦いたいですぞ」


 同じ感想を抱いたのは私だけではないようだ。レオたちもヤツを見据えている。


「魔物たちは任せられるか?」


 形式的なものだがアーサーに確認を取る。これから私たちはあの悪魔と戦闘を行う。だから私の白黒を万軍の魔物に当てることは出来ない。


「分かりました。下のプレイヤーは私たちが指揮を執っておきます。それにしてもイベントシーンすら許さないとはあの悪魔に同情しますね」

「それが私たちの楽しみ方だからな。さて、始めるとするか」


 パーティメンバーを見れば彼らは一様に頷いた。


「行くとしよう!」


 今日、初めて主戦場に降り立つ。朝から支援だけでまともに身体を動かせていなかった。ヤツと殺り合う前に軽く準備運動といこう。


「好きなように動いて構わない。私も好きに動く」

「ったく、神官職がこれだと困るぜ」

「元からそのつもりだ!」

「その前にAGIバフを掛けてくれませんかな?」


 城壁から飛び降りて着地と同時に宣言する。私のこういった行動は昔から変わりがないので多分だが理解は得ている。

 それよりも既に動き出したレオと一刀にバフを飛ばしながら悪魔がいるだろう方向に目を向ける。


「劣勢っぽいな」

「さっき当たったのは仕様の問題かもね」


 戦場の向こう、最前線と言えるそこは既に地獄絵図と化していた。どうやら聖が放った攻撃は大したダメージを与えていないようだ。そも攻撃が当たったこと自体演出的な何かだった可能性もある。


「ほぉ、これは凄い」


 その時、戦場に爆音が響き渡る。私たちが見たのは全てを燃やす業火だ。春ハルさんたちが使うアーツ、フラッシュオーバーをさらに強化したような魔術は火柱を立てることなく大地を焼き焦がした。


 近くにいたプレイヤーたちも悪魔がいる方向を見る。前線の悲惨さを告げる情報が次々に届き始め、イベント始まって以来の動揺が広がり始めた。


「前線は崩壊寸前か。早く助けてやらねばな」

「よく言うよ。まあ早く参戦しないとちょっとまずそうだけどね」


 バフの殆どをかけ終え、白黒も成長を果たした。先行しているレオたちを追いかけるように私たちも足を速める。向かう先の魔物は大体が一刀らによって蹴散らされていたがさらにロードの魔術によって大きく数を減らす。

 ロードと聖の二人を置き去りにして開かれた道を突き進めばちょうどレオが悪魔に斬りかかったところだった。


 青い軌跡を残し、レオが持つ長剣が悪魔の胴に打ち込まれる。そう思えたがいつの間にか取り出した剣でヤツは攻撃を防ぎきって見せた。


「マジか! 硬ぇ!!」


 どうやらヤツの実力をなめ過ぎていたようだ。私たちの中で最もSTRが高いレオの攻撃を受けても微動だにしないとは思いもしなかった。


「小賢しい。死ぬがよい」


 アーツの硬直によって動けないレオ目掛けて剣が振り下ろされる。欲を言えばヤツの攻撃力がどれ程高いかレオには身を以って検証して欲しい所だが振るわれた剣がレオを捉えることはない。何故なら不知火がいるからだ。

 同じく青いオーラを纏った不知火がヤツの攻撃を巨大な盾で受け切り、アーツの効果か悪魔を押し返した。

 ヤツの態勢が崩れた瞬間、一刀が躍り出る。二連撃。手に持った二本の短剣でヤツを切りつけた。


「邪魔をするな、ゴミ共」


 一刀の攻撃を受けても一切の動揺を見せないヤツは後ろに跳躍する。それから直ぐに上空に一つの魔術陣が出現した。それがこの場で発動されてしまえば敵味方関係なく多くの者がダメージを受けるだろう。それほどまでに巨大な赤色の魔術陣が広がった。


「バフを貰ってこれか。流石はレイドボスだな。気をつけろHPバーが三本ある」


 ヤツを追うことなく一刀は冷静に鑑定結果を告げた。私の鑑定レベルが低いと言うことはないのでレベル差があると詳細鑑定以外では碌にヤツの情報を拾うことができないようだ。

 HPバーが見えないのは少し厄介だがまあ、見えないならしょうがない。それにしても三本とは。第三形態まであると考えるのが妥当だろう。あれか? 最終的には人外の姿にでもなるのだろうか。


「レベルは何だ?」

「HP以外全く見えん。多分だが相当高レベルだと思うぞ。それも俺たちのレベルキャップ以上のな」


 今にもヤツの魔術が発動しそうなのに逃げることなく、まして発動妨害する訳でもなく何故私たちがこの場にいるのか。それは聖がいるからだ。私たちの下まで追いついた聖が穿つのは閃光放つ、一陣の風。


「〈属性解放風・雷・無〉」


 放たれた矢は正確無慈悲にヤツの腕を撃ち抜く。その攻撃は傍から見てもヤツにダメージを与えていた。聖の十八番は見事にヤツの右腕を消し飛ばした。


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