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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第五項 王都
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前哨戦

 魔物を探して三千里、ということは無く100メートルも進めば目的の魔物が見つかった。今回検証に使う魔物はゴブリンウィザードだ。コイツはゴブリン種であることからも分かる通り弱い。しかし、他の魔物と違い魔導を使用する。低ランクの中で魔導を使う魔物は殆どいないので検証にはもってこいだ。


 十字架の数がそれぞれ20個ずつあるのを確認し、バフの更新を整える。


「それではいこう」


 魔封じの腕輪を装備してから攻勢に出る。バフの効果時間もあるので悠長にしてはいられない。そして検証のためにも不要な魔物は排除しておかなければいけない。ゴブリンウィザードはゴブリン同士の群れで行動しているからな。


 樹王を振るい近くにいたゴブリンをまとめて斬り捨てる。魔封じの腕輪を装備していると魔刃を展開するのも一苦労だ。それ故に導魔の使用は極力抑えている。導魔も使えないことは無いが何時ものように3メートルも魔刃を伸ばせないので非効率的になってしまう。


 踏み込み樹王を振るう。それだけで前線のゴブリンは息絶えるがその穴を埋めるように次々と他の魔物が攻めてくる。さらに遠距離攻撃持ちの魔物も私の存在を確認して飛び道具を放って来た。


「多いな。範囲攻撃も考えるべきか」


 一回転しながら樹王を振るうとそれだけで私を中心に同心円状から魔物が息絶える。それでも樹王の刀身の長さまでしか魔物は倒せていない。こういう時にはやはり導魔が役に立つ。それか広範囲に効果を及ぼす攻撃系のオリジナルスキルを作成する手段もあるが作りたいオリジナルスキルが多すぎて迷いどころだ。


「やっときたか。お前たちはどいていろ」


 ゴブリンウィザードが魔導の準備を始めたのが見えたので周囲の魔物を蹴散らす。欲しいのはやつらの魔導攻撃だけなので物理攻撃は遠慮していただきたいのだ。

 近づいてくる魔物を処理し、矢などの遠距離攻撃を避けながら待っていると遂に魔導が発動した。よく見るファイヤーボールだ。


 火の玉は私に向かって飛び、魔封じの腕輪の効果範囲、つまり私から1メートルの距離まで近づくと徐々にその大きさを縮めさせ、最終的に元の半分ほどの大きさになって私に直撃した。そして万象夢幻が発動する。


「ヤツのように無効化することは出来ないと。単に効果を半減させるだけか。もう少しデータが欲しいな」


 予想通りではあったが求めていた性能では無かったというのが本音だ。出来ることならデミワイバーン・ドクトゥスのように春ハルさんの魔術も無効化できると良かったのだがそこまで強力な効果は期待できないか。あるとすれば魔封じの腕輪が持つ装備スキルだがアレはリキャストタイムが長すぎるので容易には使えない。

 なんとなく効果は分かるので明日の戦いで使いたいのだ。本当なら検証してから使う方が良いのだがまあ、仕方がない。


 それから暫く戦闘を続け、魔封じの腕輪の性能調査を行った。とりあえずの総評だが普段使いは難しい、だ。メタモルフォーゼを使えば装備の変更は簡単に出来る。しかし、それは私が主体の行動時であって相手の動きも考慮すると僅かな作業量も膨大になる。

 例えばバフの更新やデバフの使用ならば問題は無い。だが相手の動きに合わせてデバフを使いたい時や攻撃を防ぐためにシールド、リフレクトなどを使う時に魔封じの腕輪があると足かせになってしまう。

 特にこの腕輪を着けていると展開したシールドなどを動かすのでも一苦労だし、おそらくシールドの耐久力も減少している。これでは意味が無い。魔術に対抗しようとして物理攻撃を許容することは出来ないからだ。

 ただし、装備スキルの魔封じを使った時には無類の強さを発揮すると踏んでいる。何せ推測の域を出ないが魔封じは魔力が一切使えない状態だと考えられるからだ。そんな状況になればバフもシールドも意味を為さない。後魔封じが発動していても万象夢幻が発動するなら最恐のコンボになるかもしれない。


「おーい、ゼロじゃねぇか! 一人で何してんだ?」



 前線から離れた場所でステータス画面を弄っているとレオが城門から出て来た。他にはプレイヤーがいないようなのでこれからソロ狩りだろう。


「新しい装備を手に入れたからその検証だ」

「はーん、検証終わったのか?」

「ああ、さっきな」

「じゃ今から狩りに行かね?」


 レオから狩りの誘いを受けたがどうするか。今の時間を見ると検証開始からそれほど時間が経っていない。


「明日もあるからそこまで長くは出来んがいいか?」

「おうよ。俺も明日は仕事だからな。24時位までならどうだ?」

「問題ない。他に誰か来るか?」

「あー今んとこ呼んではねぇが」

「そうか。ならいつも通り二人で行こう」

「任せとけ。じゃ何時ものバフ頼んだ」


 急遽レオとの共闘が始まった。レオとパーティを組み、バフを掛ける。まだSTRとAGIのバフしか掛けていないのにレオが前線に飛び込んで行ってしまったので私も追いかける。これだからレオは...。気兼ねなく剣を振るえるのが楽しいのは分かるがせめてバフを掛け終えるまでは待っていて欲しかった。

 仕方ないか、と吐き捨て近場にいる魔物にデバフをばら撒きながら解除されてしまった白黒を成長させて私も魔物目掛けて樹王を振るった。


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