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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第五項 王都
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デミワイバーン・ドクトゥス その4

 道中エンチャント・マナスティールを掛けてMPを回復させながら白黒の強化を施していく。どうにか白の十字架を10個召喚できたがこれ以上は時間を掛けていられないだろうと思い、早速デミワイバーン・ドクトゥスの下に向かう。

 天命が攻撃を仕掛けて時間稼ぎをしているおかげでヤツはその場から大して動けておらず、城壁に向かうような行動を見せていない。これは城壁にいる者たちが攻撃の対象を他の魔物に変え、地上にいるプレイヤーがオリジナルスキルを使って攻撃し始めたのが大きい要因かもしれない。


「空中機動出来るやつらは俺に続け」

「俺たちは周囲の魔物を狩るぞ!!」

「オーガだ! 誰かヘルプを頼む」


 戦場にいるプレイヤーたちの力も合わさり周囲の安全は確保されつつある。本命のデミワイバーン・ドクトゥスの方はと言えば残念ながら時間稼ぎにしかなっていない。私たちの動きを見て空中戦が出来る者たちが向かっているが殆どの者が近づいただけで切り裂かれたり、尻尾で薙ぎ払われたりしている。

 それでも僅かだが時間稼ぎに貢献しているのだから文句をつけることなどない。ヤツが城壁まで近づいてしまえば起こるだろう被害は相当なものになるのは想像に容易いからな。


 私は新たに作り出したシールドとリフレクト、周囲に無数に立ち昇る土の柱を足場に空中を駆ける。天命は二度目の水蒸気爆発が出来ないという話しをしていたから最初のように派手に仕掛けることは出来ない。


「それにしても片翼が無くなっているのに飛べるのは流石魔物と言うことか」


 柱を蹴り、デミワイバーン・ドクトゥスの近くに寄る。手にするのは樹王。ここで導魔を持たないのは黒失が発動したとして魔刃を伸ばしても刀身を維持できない可能性があるからだ。

 私と天命以外にも攻撃を仕掛けているプレイヤーもいるわけだからそもそも黒失が発動する事態は無いかもしれないが黒失が発動する条件が分かっていないので何とも言えない。


「天命、私に合わせろ」


 遠くにいる天命から了承の返事が返って来る。ならば早速仕掛けるか。バフの類は直ぐに消されると分かっているのでAGI上昇だけに留めている。AGIに関しては行動速度が格段に上昇するので普段から使っているほどだ。


 プレイヤーのオリジナルスキルが放たれるのと同時にヤツの懐に飛び込む。瞬間バフの類は消され、私に追随していたシールドとリフレクトも消失する。この性質のせいでデミワイバーン・ドクトゥスの近くではアーツも使えない。

 斬撃を飛ばすオリジナルスキルは汎用性が高いのだろう。剣士系のプレイヤーは大体似たようなオリジナルスキルを持っている。そしてデミワイバーン・ドクトゥスの自尊心故か飛ぶ斬撃を避けることはせず、尻尾で弾いている。先ほどから様子を見ていてそのことが分かった私はこのチャンスを有効活用する。


 今回も例の漏れず尻尾を伸ばして斬撃を弾いた。その時、私のことは意識外となり、ヤツの背に飛び乗ることが出来た。しかし、流石に背に乗ればバレるのは当たり前だ。ヤツは身を捩り私を振り落とそうとする。


 攻之術理 死突


 だが落とされるより一歩早く私の攻撃がヤツの硬い皮膚を貫き一撃を加えることに成功する。やはりバフが無いとダメージを期待できない。それに筋肉に拒まれているのか樹王も深く差し込むことが出来ていない。


「ピュラァラアアア!!!」

「おっと」


 身体を揺らすのではなくデスロールのように体を捻り私を振り落とそうとするので最後の足掻きに突き刺さった樹王を折る。そして振り落とそうとする力に身を任せて身を投げる。すると血眼になりながらヤツは落ちる私に追撃を掛けようと翼を全開に広げた。


「今しかねぇよな。〈奥義・土一閃〉!」


 そこに隙を見計らっていた天命が攻撃を仕掛ける。一度振られた剣は空を切り、またも奇跡に沿って大量の土が現出した。それは射出された速度に加え、さらに重力の力を受けて落ちてくる。

 デミワイバーン・ドクトゥスも避けようとした。だが土砂の量は多く回避は出来ず、土砂にその身が飲み込まれる。


「私も巻き込む気か!」


 私も土砂に呑まれそうになったが咄嗟の判断で書術のリリースを使用してシールドを生み出すことに成功し、間一髪のところでその場から退避する。代償に白黒が強制解除されてしまったが死ぬよりかはマシか。


「に、逃げろぉぉおお!!」

「なんで土が落ちてきてんのぉぉおお!???」

「撤退、撤退しろ! 巻き込まれるぞ!!」

「ここは俺に任せて先に戻れ。後で追いかける」

「クッソ。すまねぇ!」


 地上にいるプレイヤーたちは突然空に現れた大量の土に驚き、それが落下を始めたことで焦って逃げ出し始めた。中には魔物と戦っている最中のプレイヤーも居たりしたが阿鼻叫喚の様子だ。


 それから僅かな時間の後、デミワイバーン・ドクトゥスを含んだ土塊は地面に叩きつけられる。その余波で地面は物理的に揺れ、さらに砂埃が広範囲を覆った。


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