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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第五項 王都
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「貴様の言い分は傲慢にも程があるぞ? ゲームの中なら何でも許されると思うなよ?」

「この世界はゲームなんかじゃねぇ! 見て来ただろ! ここに生きている人を、そして魔物に殺された兵士たちを!!」

「それがどうした。この世界が本物だと言うのならこの国を守るのはこの国の兵士ではないのか? それこそがこの世の摂理では無いのか?」

「ちげぇよ。さっきから言ってるだろ? 力を持っているなら人のために使わなきゃいけねぇんだよ!」


 烈慈円怒の言い分は理解できる。確かにオリジナルスキルを筆頭に強大な戦力を有する我々ならこの世界の住民よりも圧倒的に力を持っていると言って良いだろう。


「烈慈円怒さんの言い分も確かに理解できる。けど今はそのことについて議論してる暇は無いんじゃないでしょうか?」

「正気か、アーサー? コイツは多くの人を見殺しにしたと言ってるんだぞ?」

「ですが一人は救っていますよ?」

「だが、それでも多数を見捨てたことに違いはねぇ!」

「ゼロさんが最後まで戦ったとして誰も救えなかった時はどうするのですか? 力を持っておきながら誰も救えないのかと罵倒するのではないですか? それよりもこれからについて話しましょう。PKが攻めてきているのなら今後も同じようなことがあるかもしれませんからね」


 一時はどうなるかと思ったがアーサーが場を収めてくれたので話の続きをする。


「続きだがPKの集団は少なく見積もっても40。ただし、この数は村に攻めて来たPKの数で他の村を攻めているPKがいることを考えればさらに増えると考えていいだろう」

「そこが魔の森から一番近い村なのか?」


 質問を飛ばしてきたのはクラン天命会のマスターである天命だ。


「一概にはそうと言い切れないが魔物が出てくるのを防ぐ砦の一つから一番近い村であることは確かだな」

「そうなるとここに来るまでに他の村も攻めに行く可能性があるってことか」

「私の意見としてはそれはないと考えている。何せその村から王都までの道のりに寄れる村はなく、他の村も攻めようとすれば確実に遠回りになるからな」

「だがその話が本当だとしたらそのPKたちはとっくに近くまで来ていることになるぞ?」

「そのことについては私から。外で戦っていたプレイヤーからPKされたとの報告を受けています。なのでPKも既に王都周辺に集まっていると考えていいでしょう」


 教授からの言葉によって烈慈円怒が席を立とうとするがクランメンバーの者に止められていた。この様子なら彼のことは任せても良さそうだ。

 それにしても予想はしていたがPKのやつらも既に来ていたか。機会があればやつらの首の1つや2つ確実に取ってやりたいところだ。しかし、今はそうも言ってられない。身勝手に王都から出れば集中砲火を浴び無意味にデスペナを喰らうだけだからな。


「全てのPKと対峙したわけではないが少なくとも幹部を除き3人はオリジナルスキルを二つ持っていると見ていいだろう。ただ使ってないだけでこの人数はさらに多いと思ってくれていい。魔の森は見た限りレベリングに使える程度には戦いやすい魔物が蔓延っていたから平均レベルだけなら私たちを除くプレイヤーよりも高いかもしれん」

「有象無象のレベルは気にするまでもない、と言いたいところだがオリジナルスキルとかいう一種のチートじみたスキルがあるせいでPK側の戦力もバカには出来ないか。魔物との戦闘中に横やりを入れられると面倒だな」

「否。その程度の輩、我が捻り潰して見せよう。我が龍化もさらに高みに昇った故試してみたいことが多くある」


 天命がPKを面倒臭がれば自身のオリジナルスキルの試運転にちょうど良いと龍角が名乗りを上げた。ヤツのオリジナルスキルが今どうなっているかは知らないがβ時代のことを参考にすれば格下相手なら群がろうと勝利を掴んで見せるだろう。


「確かに龍角がヘイトを買ってくれるなら心強いが赤の雨幹部の闇子は確実で、ついでに久遠の存在を確認している。そうなれば他の幹部もいることは確実だ。流石に龍角一人で押さえることは出来ないだろう」

「ふむ、それは我一人ではキツイ戦いになるな。他にも助太刀を頼みたいものだ」

「話はまだある。...PKの軍勢はこれだけではない」

「どういうことだ?」

「久遠が零した情報ではあるがどうもPKたちも一枚岩ではないらしい。推測で物事を決めるのは憚られるが私が予想するにこのスタンピードを起こしたのはヘルタースケルターだと思われる」


 ヘルタースケルターの名を聞き嫌そうな顔をした者は多かった。やつらに苦渋を嘗めさせられたのは大規模クランを運営するものなら殆どだろう。


「ゼロさんが詳しい事情を知っているとは思えないですがつまり赤の雨派とヘルタースケルター派でPKも分かれているということですか?」

「その可能性は高いだろう。これについては教授に確認を取って貰っている最中だ」


 そう言って会議の進行を眺めていた教授に目をやる。すると全員が私に釣られて教授を見た。


「誠に遺憾ではありますがその情報に確たる根拠を付け加えることは出来ません。私たち叡智の探求者が隠者の館と協力して密偵を放っていますが如何せんヘルタースケルターはPKの烏合の衆でして赤の雨の傘下にいるであろうPKとの区別がつかないもので」


 残念ながら戦場にいるPK共がどこに所属しているかは現状知りえることは出来ないようだ。まあ、私たちがすることは基本変わらない。やつらの関係を利用してどうのこうのするのは教授たちの領分だ。


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