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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第五項 王都
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PK戦 その3

 跳んだ首が地面を転がる。しかし、それは数秒後には光となって消えていく。周囲にあった魔術士たちの遺体も光になったことから奴らが蘇生されることは無さそうだ。


 導魔を片手に振り返る。すると先ほどまで殺気を放っていた前衛の五人は近寄ることなく私を睨んでいた。


 神官が殺され、回復要員がいなくなったため慎重になったのか、それぞれが得物を構えているが踏み込んでくる気配がない。

 ならばと、私の方から距離を詰める。最初に狙うのは槍使いだ。前衛の編成は剣士が3人に槍使いが1人、最後に重戦士、つまりタンクが1人だ。

 この中で一番厄介であるのが槍使いになる。特に普通の槍よりも長い長槍を持っているので純粋なリーチなら負けている。


「散開!!」


 剣士の一人が声を荒げる。それを受け、全員がバラバラに距離を取った。だが、私は槍使いに対してさらに距離を詰める。


「俺狙いかよ。クソが」


 槍使いは面倒くさそうに吐き捨てると槍を構えた。槍にオーラが展開されているのでアーツで迎撃してくるはずだ。脳内でこの状況で使われる可能性が高い槍術のアーツを考える。

 遠くではないが近くでもない。そんな距離感で使うアーツとなればタメを必要とするアーツを選択するだろう。


「ハイチャージスピア・四連!!」


 予想通りの攻撃が来た。だが、突き出された槍は計4つある。その全てがオーラを纏っていることからアーツであることが分かるが四連続で攻撃できるアーツの情報は掲示板に載っていなかったのでオリジナルスキルが使われているのかもしれない。

 ただし、私がやることには変わりはない。剣士であれば突き、斬りと最低でも2パターン想定できるが槍使いの場合は大抵突きから始まる。これはアーツにも同じことが言え、槍術のアーツでは横振りの攻撃が少ない。


 重心を前から横に移動させ、右前方に進路をズラす。真横で空気を巻き込むような音が4回鳴る。槍に対して当たらないギリギリを攻めて回避したので、槍を突き出した状態から横凪のアーツを使っても威力は乗らない。

 便乗ではないがヤツがハイチャージスピアと言う突きを行ったのに対し、私も突きで後手を放った。槍使いは魔力視を持っていないようで導魔の刀身が伸びていることに気づいていない。私が突き出した導魔を見ながら、仕切り直し、と数歩後退しようとして喉を穿たれた。


「アブソープ」


 導魔を押し込めながら槍使いに近づき、首を持つ。今の攻防の間に他の前衛たちは動こうとしなかった。なので槍使いが死ぬ前にMPを回収させてもらうことにした。

 痛覚設定はオフになっているからだろうが槍使いは驚きはしたが痛みを感じた素振りは一切見せずに喉に刺さった導魔を抜こうとする。しかし、深々と突き刺さった導魔を抜くことは出来ず、私に足を引っかけられて地面に倒れ伏した。


 喉に穴が空いているので槍使いのHPは恐ろしい勢いで減少しており、じきに死ぬのは確定だ。保って5秒程だろう。それでも減少したMPを回復させるのに使用できるなら有効活用するまでだ。


「お前、ゼロだな。何故ここに来た?」

「バーサーク」


 槍使いが光となって消え、私が導魔を構えると一人の剣士が問い掛けてきた。それへの返答は剣で返すため距離を詰める。それと同時に待機させておいたバーサークを自身に掛ける。

 今は近接戦用の装備であるため羽織を羽織っている。この羽織は内部に対して認識阻害が発生するので小さめの魔術陣程度なら隠すことが出来る。ただし、魔術と言っても服の下で発動させるのでこの裏技的なテクニックを使えるのは殆どがバフ系のアーツに限られる。


「ッチ! 喋る気は無しか。Cで行く」

「了解だ」


 振り下ろした導魔が剣士に受け止められる。

 一合交えて分かったこと。それはこの剣士が強いと言うことだ。


 魔刃による刀身が視えていると言うのもそうだが何よりこの剣士も剣に魔力を纏わせることが出来ている。それが素材によるものなのか技量によるものなのかはまだ分からないが警戒度を上げた方が良いだろう。


「タネは割れてるぜ。これがお前のオリジナルスキルなんだろ? βでは世話になったが借りは返させてもらうぞ」


 魔刃がオリジナルスキルだと勘違いしているようなのでバレたかと言う表情を僅かに演出する。

 それにしても、この剣士とはβで会っているらしい。そんなことを言われても何度もPKに襲われているので誰が誰か分かる訳もないのだが。


 剣と導魔がぶつかり、鬩ぎ合う。パラメータ差で完全に私が押し勝っているが一度、剣士から距離を取るために後退する。

 私の周囲を残りのPKたちが固めだした。包囲網を仕掛けて来るつもりなのか分からないがオリジナルスキルを警戒しないといけない。今、オリジナルスキルが判明しているのは月光斬なる技を使った剣士だけだからだ。


 この中で最初に倒すべきはオリジナルスキルが1つは判明している剣士だ。

 残りの剣士は未だにオリジナルスキルを隠しているので迂闊に手を出すことは出来ず、知り合いだと言う剣士も技量的に後回しの方が良い。残るタンクは情報を引き出したいので最後だ。


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