表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第五項 王都
305/378

PK戦 その2

 攻之術理である三日月は魔力の刃を飛ばす術だ。しかし、未完成であり、斬撃を飛ばすことは出来ても威力は非常に低い。それ故に三日月を受けてもHPの減りは見た目に反して低いものとなる。


「うお! い、痛くねぇ」


 だが、人間とは何かが迫ってくると反射的に目を瞑ってしまう生き物だ。


 攻歩之術理 縮地死突


 空いている距離を縮地で詰め、運動エネルギーを最大限利用した突きを放つ。面よりも点。エネルギーを一点に集中させた突きは一切の抵抗を感じさせることなく弓使いの脳天を貫いた。


 HPが砕けたのを横目で確認しながら前転して投擲された槍を躱す。3人のプレイヤーを殺した程度では一秒たりとも止まることは出来ない。

 状況としては魔術士2人、弓使い1人が死亡し、残りの弓使いも腕を亡くしたため戦力に数えることは出来なくなっている。ただ、殺したはずのプレイヤーが死に戻りしていないところを見れば蘇生待ちであることが分かる。


 光属性魔術であるリザレクト、ハイリザレクトは使用すれば確率で対象を復活させることが出来る。だが成功率は驚くほど低い。


 刹那の思考の後、先に神官を潰すことにした。神官との距離が近いと言う理由もあるが蘇生が成功する可能性を考えたら放っておくことは害にしかならないからだ。

 それに可能性は低いが蘇生率を高めるオリジナルスキル持ちかもしれない。まあ、今も黒色の魔術陣を展開させている時点でその確率は遙かに低いだろう。


「パラライズ!」


 神官の下に向かおうとした瞬間、ヤツが展開していた黒色の魔術陣から紫電が飛んだ。

 アーツ宣言からも分かる通り、パラライズだ。紫電は瞬く間に私に対して飛来し、状態異常に陥れようとする。だが、それは導魔を以って振り払うことで霧消してしまう。


「魔術も無効化できるのかよ!!」

「おい、あいつゼロだ!!」

「は!?」


 後方から前衛たちが怒鳴りながら近づいてくる。

 距離にして10メートルほどだ。足を緩めれば直ぐに追いつかれるだろう。


 パラライズが無効化された神官は驚きにより、硬直していた。レジストならまだ可能性の範囲内だが無効化は想定外の事態だったからだろう。

 素人PKならそれも分かるが明らかにこの集団は連携の取れたプレイヤーたちだ。そして個人の実力もプレイヤー中では上位に足を踏み入れようとしている程度には高い。つまり、この程度で動揺するはずがない。


 歩之術理 昇落


「かかったな! ホーリープリズン......あれ?」


 目の前に10本の光の柱が出現し、空へと伸びる。しかし、それは私を拘束することが出来なかった。

 何故なら昇落は重心移動により、速度に緩急をつけることで相手の距離間隔を狂わせる術だからだ。それ故にホーリープリズンの範囲内に入ったと思ったら実はまだ範囲内に入っていないという現象が生じる。

 ただし、速度に緩急をつける術の性質上、一時的に減速することとなり、後方から迫って来る敵に関しては自ら身を投げ捨てるようなものとなる。


「パラライズ......シールド」


 待機させておいた魔術を行使することで苦し紛れに前衛たちに対してパラライズを飛ばし、さらに盾を呼び出す。

 拘束割を使って魔術陣を構築しているのでわざわざ止まる必要はないが動きながらではパラライズを操作することが難しい。そのため、紫電は前衛たちに向かって一直線に飛んで行った。


 やつらならこの程度の妨害は容易く対処してくるだろう。私の想定通り、真ん中にいた剣士がアーツを使った攻撃でパラライズを相殺させた。これで一人は足止めすることは出来たわけだが私の目的はそれではない。


 光魔術が発動したことで白の十字架が一つ追加された。


「白黒四種......白黒四種」


 シールドのアーツ宣言と同時に展開していた魔術が次々に待機時間を終える。

 神官との距離を詰めているため何時ものように八種類のアーツを同時に行使することは出来ないがそれでも頭をフル回転させて宣言省略により、バフとデバフをばら撒いていく。


 一歩踏み出すごとに白黒は成長し、最終的に10を超えた。

 最大成長まではまだ遠いがこれだけでもパラメータへの補正は単なるバフを軽く凌駕する。


 一段と周りの景色がゆっくり動くようになり、思考に余裕が生まれる。


 神官との距離は5メートルを切った。減速する世界の中で神官の横に浮いている書物が二冊、青いオーラを纏いながら捲れていく。

 書術のアーツが発動される予兆だ。この状況から考えるとリリース系のアーツだろう。


 だが、発動はさせない。大きく踏み込むと同時に導魔を横一文字に振るう。神官との距離はまだ3メートルほど空いている。だが導魔に対して虚刀を使用すればその刀身は最大3メートルまで伸びる。


「リリーー」


 神官が口を開いた。

 魔力視のスキル持ちだからだろうか、迫る導魔を見て眼を大きく開いた。


 そして、首が跳んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ