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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第五項 王都
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ラトリム村道中

 ユーリウスさんが御者台に座り、馬車を進める中、私はデヴィッドさんとジェシカさんから銀翼の成り立ちについて聞いていた。


 銀翼はユーリウスさん、デヴィッドさん、ジェシカさんの他6人の総勢9人で結成されたクランだ。クラン歴も今年で10年に届くようで王国の中でも上位のクランに入る。また、今ではメンバーも50人を超え、大御所と言っても良い。

 そんな銀翼は最初、ユーリウスさんたち3人から始まった。最初の出会いはユーリウスさんがデヴィッドさんと大地の塔で共に攻略を行ったところから始まり、その後、ジェシカさんが加わり、パーティとして銀翼を組み、今に至る。


「懐かしいな。あの時はアタシも強さだけを追い求めたもんだからユーリウスたちには迷惑を掛けちまったわけさ」

「あれは酷かったですね。あの時は確か、奈落に侵入しようとしていたジェシカを止めようと奮闘したものです」

「そうそう、二人掛かりでも止めれなくて周りの冒険者にも助けてもらったんだよね」

「それはまた...ジェシカさんも強さの探求者だったんですね」

「ゼロは分かってんな。剣士たるもの強さを求めてなんぼってもんよ」

「だからって奈落に入るのは自殺行為だけどね」

「先ほどから気になっていたのですがその奈落って言うのは何ですか?」


 彼らの話を聞いていると知らない単語が多く出てくる。

 この世界に生きている住民なので当たり前なのだがプレイヤーと違いこの世界には詳しく、ファゲルドル山脈やらグランドリソースと全く何のことか理解できない。だが、それで一々話を切ってしまえば盛り上がりに欠けるので後で調べることにして相槌を打っていたのだが奈落は見逃せない。

 話しの流れから相当危険な場所であることが窺い得られる。それに奈落と言うワードはゲーマーの心を擽るものがある。


「そう言えばゼロさんは訪問者だったね。だったら、まだこの国から出たことないんだっけ?」

「出たことはありませんね。加えて言えば、五大都市以外に行くのも初めてです」

「それじゃあ、奈落について知らなくても仕方がないか。まあ、奈落って言うのは三大迷宮の1つだよ。この三大迷宮って言うのが世界で最も難易度の高い迷宮のことだね」

「付け足すと三大迷宮はその名の通り3つの迷宮を示し、それぞれ奈落、天空城、狭間です。奈落は冒険者ギルドの総本山近くに在ります。天空城については不明ですが確か狭間はリジョルに存在するはずです。今は教会関係者しか立ち入ることが出来ないようですがゼロさんなら許可が下りるかもしれませんね」

「話を戻すと奈落は冒険者が一度は入ってみたい迷宮ってやつだな。今でこそアタシたちはAランクだけどあの時はまだBに成りたてだったからな。奈落は入場制限があってAランク以上相当の人しか入れないんだ」


 奈落はダンジョンのことだったのか。それなら攻略するのがゲーマーと言うものだ。それに入場制限に引っかかることもないので入る分にはスムーズにいくことだろう。

 ただ、場所が問題だ。冒険者ギルドの総本山は魔大陸にある。現状、この国から出ることは出来ないし、大型アップデートでも追加されるのは周辺四国だけだと噂されているので奈落を攻略できるのはまだ先の話だろう。

 それよりも宗教国にあると言う狭間に挑む方が速いかもしれない。こちらもまた良い響きのワードだ。如何にもラストダンジョン的な匂いがする。


「あれ? その三大迷宮とやらが最高難易度のダンジョンなんですよね。では大地の塔はそれよりも難易度が低いってことですか? 私は一度大地の塔に入っていますが制覇するのは難しく思えましたよ」

「どちらかと言えば、あれは別もんだな。そもそも塔型の迷宮とそれ以外の迷宮では構造が違うぜ」

「どういう風に違うんですか?」

「それは私が説明します。と言っても違いは転移用の魔法陣があるかないかの違いです。そして、外見が塔であるかですね。塔の迷宮は7つしか見つかっていないのはご存じですか?」

「噂程度には知っています。何か特別なダンジョンだとか」

「塔型の迷宮は大地、天空、海原、日輪、月華、群集、僅々の七つあるとされています。もちろん、これらは塔型であるのには変わりありませんが一度迷宮に入れば中は特殊環境となります。簡単に言えば名称に応じた環境と魔物が出現するのです。不思議だと思いませんか? このような特徴を持つのは塔型の迷宮だけなんですよ」

「出たよ、デヴィッドのそれ。確かに他の迷宮と比べたら変かもしれないけど、そこまで気にしないでしょ」

「ユーリウスは分かっていませんね。迷宮内に魔法陣がある。これが示しているのは塔型の迷宮は神代の遺物である可能性が高いんですよ。それに七つしかないのも、七大天使と関連付けることもできます」

「それこそ、こじつけだよ。たまたま数があったからって無理やりだね。だったら七大悪魔でも辻褄は合うよ」

「悪魔!! ユーリウス、幾らお前だろうと世界樹の民である私の前でその名を口にするのは許さないぞ」


 七大天使に七大悪魔、世界樹の民と言う言葉に心躍るがそれについて聞こうにもデヴィッドさんは御者台に乗り込みユーリウスさんと喧嘩を始めてしまった。


「あっちゃー。こうなったらしばらくは止まんないぜ。そうだ、ゼロはアタシの飛斬について知りたそうにしていたし、それに通ずる剛一断流について教えるわ」


 ジェシカさんの言う通り、御者台の二人はどんどんとヒートアップしてしまい手の施しようがなくなってしまった。ラトリム村に着くまでは大人しくジェシカさんの話でも聞いておくとしよう。下手に手を出して飛び火されても困るからな。


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― 新着の感想 ―
[一言] …………七大天使によって運行され、七大悪魔を封印している楔が塔の迷宮の正体の可能性が微レ存……?
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