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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第五項 王都
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集合

 私は王都の北門の入り口に立っている。時刻は21時前と言うことで門に並ぶ人数もだいぶ減り、陽光の光もとうの昔に落ちて涼しさを感じられるようになった。今はユーリウスさんたちを待っている状態だがもう少し時間が経てば彼らとも合流できるだろう。


 今回の調査にはラピを連れていくことはしない。ユーリウスさんのクランが保有する馬車に乗せてもらえるからと言う理由もあるが調査中に魔物の群れに襲われてしまえばラピが死ぬかもしれないからだ。

 魔物が群れていてもせいぜい数体程度なら問題は無いのだがその数が十を超えて百にも届けば如何に私と言えラピに乗りながら攻撃を捌くのは難しい。そう言った事情もあり、ユーリウスさんたちの馬車に世話になることにした。


「少し早く来すぎてしまったか」


 見知った仲ではないので遅刻してはならないと早めに集合場所に来たが時間まで15分ほど残っている。


 ボケーっとして時間を潰すのは勿体ないので掲示板でワールドクエストの情報について調べことにした。と言っても未だスタンピードは起こっていないようだ。

 森林の街では魔の森の麓にゴブリンやオークの群れが降りてきているようだがその数も数パーティいれば対応できる数なので問題視されていない。これについては教授たちのクラン、叡智の探求者がスタンピードの予兆である可能性が高いと示唆しているが対策するかは森林の街のプレイヤーによるだろう。


 そうそう、叡智の探求者と言えばミサキさんたちから装備を受け取った後に寄って情報を買いに行った。買ったのはPK集団の動向や重要な住民についての情報だ。

 住民についての情報は有用なものが多かったがPK集団については殆ど情報が無かった。それもPKされたプレイヤーが余りにも少ないことが原因だ。


 叡智の探求者もこれについては疑問を覚えているようで今回のワールドクエストとPK集団は何かしら関係性があるのではないかと睨んでいるらしい。

 特にPK集団が存在しない可能性は余りにも低いので何処かに隠れ潜んでいるのではないかと考えられている。そこで考えられる候補が魔の森だった。

 しかし、魔の森に入ることは出来ても何週間と暮らすことは難しいので他にも協力者がいるのではないかとクラン内で噂されていた。


 それと、ついでに春ハルさんの種族について聞いたのだが予想通り、ダンジョンアイテムだった。アイテムの名称は転生の宝珠であり、効果は他種族に転生できると言う物だ。

 これだけならキャラクタークリエイトを失敗した時に使える程度だが春ハルさんを見れば分かる通り、初期に選択する種族以外にも転生できる。

 ちなみに転生先は初期選択種族のヒューマン、デミヒューマン、セリアンス・ドッグ、セリアンス・キャット、エルフ、ドワーフに加えてオグルヒューマン、セリアンス・フォックス、セリアンス・シープ、セリアンス・ラビット、ダークエルフのようだ。

 それぞれ種族ごとに初期パラメータが違うが聞いた話では魔術に適性を持つのはデミヒューマン、セリアンス・フォックス、セリアンス・シープの三種族らしい。そしてセリアンス・フォックスはINTがデミヒューマンに次いで高く、セリアンス・シープはINTとMNDが平均的に高い数値を取っていた。


 何故、教会では獣人でもセリアンス・シープが多いのか疑問だったがこれで解決した。セリアンス・シープは種族的に最も神官に向いているからだろう。

 ただし、私は転生する気はない。初期パラメータでINTとMNDが高くともレベルが上がればSPでその差は埋めることが出来るので意味を為さないからだ。

 それに獣人族には特有の特徴が出てしまうのも精神的に受け入れることが出来ない。獣人を見ている分には良いのだが自分に尻尾が生えるのは何かが違う気がする。私はケモナーであって決して自分が獣人になりたいわけではないのだ。


「ごめんね、ゼロさん。待たせてしまったかい?」


 城壁に背をかけながら虚空を見つめていた私に声が掛けられる。昼間にも聞いた声なので声の主はユーリウスさんで間違いない。

 顔を上げて様子を見れば馬車道から2台の馬車がこちらに向かって来ていた。その内の1つである先頭の馬車には御者台にユーリウスさんが乗っている。


「私も先ほど来たばかりなので待っていませんよ。今日はよろしくお願いします」

「こちらこそよろしく。ゼロさんの荷物はそれだけかい?」

「ん? そうですが」

「訪問者は羨ましいね。確かストレージって言うんだっけ?」

「ストレージ? 正確にはインベントリですが意味合いは同じですね」

「そうそう、インベントリだ。それって本当に便利だよね。僕たちもアイテムボックスを持ってるけど、なんでも入るわけじゃないから馬車は必須でさ。今から向かうラトリム村にも冒険者ギルドの倉庫があるなら良かったんだけどね。そう言うことだから馬車の検査には少し時間が掛かることになるんだよ。まあ、この間に自己紹介でも済ましてしまおうか」


 そう言いながらユーリウスさんはこちらに向かって来る5人に手招きをする。

 彼らが今回の依頼で組むことになるユーリウスさんのクランメンバーか。二人ほどただものでは無い気配を放っている。実力としてはユーリウスさんと同程度ありそうだ。


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