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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第五項 王都
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新装備 その2

「次、行くわよ。今度は近接戦専用の装備になるわ。これのコンセプトは現代風剣士ってとこかしら。それに少し和を追加している感じね」


〈羽衣鳥のシャツ〉 希少級 ☆6

STR+6 AGI+15

羽衣鳥の羽を使った服


〈ハードメタルゴーレムの籠手〉 希少級 ☆7

STR+26

ハードメタルを使用した籠手。曲面を持つ籠手は受け止めることよりも受け流すことを目的にされている


〈帯刀ベルト・速抜〉 希少級 ☆6

STR+10 AGI+12

MPを込めることで極小規模の結界が生成される


〈ライジングキャットのズボン〉 希少級 ☆6

STR+5 AGI+18

ライジングキャットの皮を使用した服。僅かに空気抵抗を減少させる


〈夜目の羽織・隠れ梟〉 希少級 ☆9

羽織の内部に対して認識阻害が発動する。しゃがんだ際、認識阻害が強化される

隠れ梟の羽をふんだんに使った服。装備者の残留魔力を吸収し、認識阻害を発動させる


 今度も5つのウィンドウが開かれた。

 パラメータの振りに関しては注文通りSTRとAGIにしっかり振られている。それぞれ数値としてはSTRに47、AGIに45だ。

 STRにもパラメータを振っている理由は今のSTRではバフが乗っていない状態で攻撃してもダメージ量が少なくなってきたからだ。特にファイヤーブロンズゴーレムに震撃を放っても死ななかったことなど記憶に新しい。


「シャツとズボンに関しては特筆する点が無いから流すけど、残りの3つは凄いわよ。まず、籠手。これは名前の通りハードメタルゴーレムと呼ばれる大地の塔の100階を超えた辺りに出てくる魔物の素材が素ね。特殊効果は無いけどとにかく硬くて耐久値もそうそう削れないわ。それに同等級の斬撃程度では殆ど傷が付かないわ」


 大地の塔の100階層より上の魔物か。私が辿り着いたのが71階層なのでそれより30階層上らなければいけない場所だ。

 それに100階辺りでも火山エリアのままのはずなので私が自力で取りに行くのは難しい。ましてや、それがゴーレムであるのも良くない。

 火山地帯では白黒が使えないので素のSTRが低い私の攻撃では倒し切るまでに数分ではきかない時間が掛かる。まあ、10分も戦闘してれば私はスリップダメージで自滅するのだが。


 それはそうと、未だプレイヤーが辿り着いていない場所のアイテムを使用しているのだから作成された装備も単純に強力だ。

 効果だけ見ればSTRだけにしかパラメータが振られていないので他の素材でも良いように見えるだろう。正しくその通りだ。STR+26程度ならミサキさんに掛かれば他の素材でも出せる。

 だが、それではダメだ。私が籠手に求めているのはパラメータの上昇ではなく、如何にダメージを受けずに攻撃を往なせるかだ。


 近接戦が主体のこの装備では銀樹刀を使って戦うことになるが攻撃全てを銀樹刀で防ぐわけではない。

 元々、私が祖父から教えられた戦法は双心流・柳の術理を使うことで攻撃を捌き、その隙に双心流・荒の術理で詰めるものであるため、肉弾戦を前提としている。

 そこに白黒を混ぜるのだから肉弾戦は大きなリスクを伴うわけでそれを解消する手段が籠手だ。籠手を使えばダメージを受けることなく捌くことができ、また、攻撃にも転用できる。


 そう言った意味ではこの装備は条件を満たしている。

 着けてみても思った以上に軽く、刀を振る手に違和感が生じない。それなのに多少の攻撃では傷つかず、受け流しに特化したフォルム。

 重量が大きい得物を正面から受け止めなければダメージすら入らないだろう。魔物の攻撃は勿論のこと、それ以外でも十分ポテンシャルを発揮してくれそうだ。


「帯刀ベルトだけど、これは少し特殊よ。ゼロが居合をするって聞いたから着手してみたけど、この装備の本領を発揮させるにはかなり技量が必要になるわ。とりあえず着けてみなさい」


 言われるままに帯刀ベルトを身に着ける。

 腰に付けたそれは2つの輪が付いており、そこに導魔と硬魔を差し込んだ。2本とも輪に柄の部分が引っかかることで下に抜け落ちることはない。

 腰に差していた時と違い、安定感は無いが、ぶら下げるだけならその内に慣れるので問題ではない。しかし、これの何が特殊なのだろうか。触ってみた感触も、居合の感触も想像の域を出ない。


「実はその帯刀ベルトの輪っかは結界片で出来ているの」

「結界片ですか。それは結界石の欠片ですか?」

「察しが良いわね。でも違うわ。結界片は私も何かは知らないのよ。でも、市場に売ってたから掘り出し物だと思って買い取ったの。で、その結界片だけど、MPを込めると微弱な結界を張るわ。本当に微弱だけどね」

「ああ、なるほど。理解しました。コイツにMPを込めれば銀樹刀を包む鞘になると言うことですね」

「......察しが良いわね。そう言うことよ。だけど、本当に微弱だから少しでも力加減をミスれば割れるわ」


 ミサキさんが簡単に割れると言うのだから相当脆い結界なのだろう。

 帯刀ベルトにMPを少量つぎ込み、様子を見る。すると魔力の膜が導魔と硬魔を覆っているのが見えた。


「あ......脆すぎますね」


 どれ程の硬度か確かめようと触れただけで結界は割れてしまった。

 情けない声が漏れ、ミサキさんだけでなく一刀たちもこちらに振り返る。

 私は内心の恥ずかしさを払拭するように言葉を続けながら帯刀ベルトの輪に触れた。


「そこが問題なのよね。最初は鞘にちょうど良いと思ったのだけど失敗ね。でも帯刀用としては問題なく使えるわ」


 私の醜態を無かったことにしてミサキさんが話を続ける。


「ただ、その結界だけど、よく見ると表面が波打ってるのよ。その波紋に逆らわないように触れる程度なら多少は強度も増すわ」


 言われて気づいたが結界の表面は微かに波打っていた。試しに波に従って撫でると結界は割れることなく維持されたままだ。


「これじゃあ、意味ありませんがね」


 結界の波打ちは鍔から切先にかけて揺れている。だが、居合をする時は真逆に進むので全く意味を為していない。

 納刀する時にしか意味を為さない鞘はどうかと思う。それも力加減を誤れば割れる。果たして使い道はあるのだろうか。


「それについては私のミスだから安くしておくわ。それより、次。次に行きましょ、夜目の羽織は自信作よ」


 話題を変えて逃げる気のようだ。まあ、安くなるのなら妥協しよう。依頼通り帯刀ベルトであるのは変わりないからな。


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