表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第五項 王都
290/378

新装備 その1

 王都の生産職ギルドは冒険者ギルドからそう遠くない所にある。歩いて数十分掛かる他の街とは違い、利便性は遥かに高いだろう。そのせいか生産職ギルドは非常に混んでいた。

 他にも理由の一つとしてスタンピードが本格的に始まる前に装備を更新しようとするプレイヤーが多いと言うのもある。


「昨日よりも混んでるね」

「昨日は夜だったから比較対象にはならんが混雑しているのは変わりないな」

「さっさとミサキさんの所に向かおう」


 ロビーには生産職は勿論のこと、戦闘職のプレイヤーがひしめき合っている。

 王都のギルドだけあって他の街に比べればロビーは広いがそれでも手狭さを感じずにはいられない。

 戦闘職のプレイヤーは装備を求め、生産職のプレイヤーはアイテムを求めてロビーでは耳を塞ぎたくなるほどに賑やかだ。

 これでまだスタンピードが始まっていないのだから魔物の群れと交戦することになったらもはや地獄絵図にも負けず劣らずの光景になるのだろう。


 一刀たちとロビーに集まるプレイヤーを眺めながら通路を進み、ギルド保有の工房が設置されている場所に向かう。


 ミサキさんたちが設立したクラン、デミウルギアの面子もロビーでアイテムの売買を行っていたが流石にミサキさんやアルと言った幹部級の者は出てきていない。そう言うのは専ら商人の仕事だ。ミサキさんたちも値段を付けることはあるが飽くまで生産職である彼女らは生産に重きを置いている。


「待っていたわよ。入りなさい」


 ミサキさんに誘われるままに工房に入ると何時もの面子が揃っていた。

 今いる工房はギルドが貸し出ししている工房の中でも一番ランクが高い場所のようで広さもさることながら設置されている生産道具も私が知っている物より遙かに性能が高そうだ。


「あら、ゼロも来たのね」

「ええ、先ほど聖たちと合流したもので」

「そうなの。まあ、いいわ。とりあえず、頼まれてた品を渡すからゼロは私、聖はアル、一刀はドガンの下に行ってちょうだい」


 ミサキさんの言葉に従い、それぞれの下に移動する。私はミサキさんに呼ばれたのでまずは武具から渡されるのだろう。


「あんたのはかなり気合入ってるわよ。勿論、聖たちのも全力で取りかかったけど、あんただけ素材のランクが違ったから私も緊張したわ。でも納得いく出来よ」


 私の装備は始まりの街でミサキさんに作ってもらった神官服の防具と銀樹刀だ。銀樹刀は魔の森の素材なのでまだ問題はないが防具に関しては心もとない物となっている。

 そのため装備を新調することにしたのだがどうせだったら今作れる最高の物にしたかったので金に糸目は付けずに作ってもらった。

 その結果、目玉が飛び出るほどの予算額となったわけだがこれから長い間使う装備になるので妥協することにした。


「そうね、まずは支援特化型の装備から見せるわ」


 そうして私の前に5つのウィンドウが展開した。


〈ミスリル糸の長着〉 希少級 ☆6

INT+23

ミスリル糸が織り込まれた服。高い魔力伝導性を有する


〈黒絹の帯〉 希少級 ☆5

INT+20

ブラックシルクの絹で作られた布


〈ミスリル糸の切袴〉 希少級 ☆7

INT+10 MND+14

ミスリル糸が織り込まれた服。高い魔力伝導性を有する


〈黒ミスリル糸の直綴〉 希少級 ☆7

INT+5 MND+18

レイアの黒結晶で染められたミスリル糸が織り込まれた服。魔力伝導性を有し、闇属性に対して僅かに耐性を持つ


〈漆黒絹の五条袈裟〉 希少級 ☆6

MND+22

ブラックシルクの最上絹で作られた服。光を吸収するほど黒く、闇と同化する


 今扱える最高ランクの素材を使っただけあり、性能は十分だ。

 INTは58、MNDは54上昇するので白黒が成長するまでの間、時間稼ぎとして使うホーリープリズンの強度が増し、各種耐性も高まるのでより安全に白黒を使えるようになるだろう。


「ゼロが一度依頼をキャンセルしたから、今回のコンセプトは私が勝手に決めさせて貰ったわ。ズバリ、僧侶ね。神官も良いけど私は僧侶の方がイメージしやすいのよ」


 迷宮の街で依頼した時は確か神官系のデザインを頼んだ記憶があるが僧侶のデザインも悪くない。

 私は形から入るタイプだが僧侶でも支援職としてのイメージがしっかり湧くので問題ない。むしろ、僧侶には見慣れているのでこっちのデザインの方がしっくりくる。ただ、この世界では僧侶を見たことが無いのでメジャーではないのだろう。


「装備名を見て貰えば分かると思うけど帯と五条袈裟以外はミスリルを使っているわ。残念ながら純ミスリルは手に入らなかったけど、かなり純度が高いから魔力に対して親和性が高いわよ。ま、それが意味することは魔術を受けたらダメージが増加するってことだけど後方支援なら問題ないわよね?」

「ええ、この恰好で近接戦は動きにくいのでしませんから」

「そうよね。ゼロならもしかしたらって思ってたけど普通の思考回路をしていて安心したわ」


 ミサキさんは私を何だと思っているのだろうか。流石に私でも長着に切袴ならともかく、直綴と五条袈裟を纏って身体を動かしたりはしない。


「それとこの黒ミスリルって言うのはミスリルをレイアって花の種子で染めた物ね。レイアの種子は色に応じた特性を持っていて黒は闇属性に対する耐性よ。でも、この特性は装備に乗らなかったわ。実際のところ、詳細鑑定持ちに見て貰ったところ気まぐれ程度には効果があるみたいだけどね。それと黒絹と漆黒絹も黒ミスリルと同じで気まぐれ程度の闇属性耐性があるわ」


 気まぐれ程度でも耐性が上がるのなら私としては助かるのだが、この一手間で一体幾ら溶けたのか。他のミスリル装備が黒ミスリルで無いことから大体の察しは付くがミサキさんに預けた予算では足りなかったのだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ