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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第五項 王都
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休息。つまり蛇足

 クランについての話は昨日の内に聞いておいたので話もそこそこに場所を移すことにした。そこでギルドの個室を借りようとした時、聖がお勧めの喫茶店があると言うのでそこに向かうことになった。


「アルに今朝会ってさ。その時、その喫茶店に寄ったんだけどなかなか良かったよ。それにギルドから近いのもお勧めの理由だね」

「それなら混んでいるだろ?」

「それが隠れた名店みたいでさ。路地裏にあるから店内は空いてるよ」


 王都だけあり、街中は多くの人で賑わっている。それに冒険者ギルドがある区画では迷宮の街に劣らないほど冒険者の数が多い。まあ、それも魔道艇が動いていないと言う理由があるのだがそれは置いておくとして、人が多いと昼時から少し過ぎたくらいでは人混みは治まらない。

 そのため聖が勧めるような名店だとこの時間でも混雑していることがザラなのだがその心配は要らないようだ。


「ここがそうだね」

「ほぉ、雰囲気があるな」

「どこがだ? どう見ても普通の扉だぞ」

「そこが怪しいんだ。情報屋の血が騒ぐ」


 歩くこと30分ほどで目的の場所に着くことが出来た。確かに路地裏にあり、人が来ることはそうそうないだろう。それに看板すら立っておらず、知らなければここが喫茶店だとは分からない。

 それが琴線に触れたのか一刀が頻りに感心している。私には良く分からない感性だが、「やはり、侵入して情報を集めるのが効率良さそうだ」と呟いたのは聞き逃していないぞ。

 どうか親友が指名手配になりませんようにと祈りながら、先に入った聖に続く。


「そうすると目が足りないな。向こうのヤツを消してここに放つか?」

「一刀、入るぞ」

「ああ、すまん」


 思考の海に浸かっていた一刀を呼び戻す。何やら物騒なことを考えているようだが迷惑が掛からない程度にして欲しい。

 互いに個人のやることには過多に干渉しない約束だが私の邪魔をするなら速攻PKだ。βから情報屋をしている一刀なら教会に所属している私と殺し合う機会があるかもしれない。そんなことは無いに越したことはないがな。


「マスター、コーヒーを1つ。ゼロたちは?」

「私は紅茶で」

「俺はコーヒーだ」


 バーカウンターに立っていた初老の男に聖が注文をし、続くように私と一刀も注文を重ねる。私は聖の後を追うようにして席に着いてから店内を見回した。従業員はいない。それに客も4、5人程だ。

 如何にも隠れ家的な場所だ。これなら話の内容が他に漏れることはない。私がする内容などバレたとしても何も害はないのだがな。


「早速だけどAランクってマジ?」

「これが証拠だ」

「本物だな。それにしてもBではなく、Aランクに昇格とは何しでかしたんだ、お前?」

「それについてだが私はギルマスから指名依頼を受けた。その時にギルドのアイテムを貸すにはAランクでなければいけなかったからその貸与可能なランクまで上げてもらったと言う訳だ」

「指名依頼だと?」

「依頼内容は魔の森の調査だ」

「へぇ~、それって僕たちも参加できるの?」

「すまんが私個人に向けられた依頼だから無理だな」

「そっか、じゃあ仕方ないね」


 少ししてオーナーがコーヒーと紅茶を運んできたのでそれを飲みながら昇格試験やウォルターさんとの話の内容について二人に話す。


 昇格試験に関しては一刀の試験官がAランクの斥候だったため、一瞬で負けてしまったそうだ。しかし、Cランクとしての実力は申し分なく、無事に昇格できている。

 反対に聖は試験官がBランクだったからか1本取ることが出来た。そのため勿論、試験に合格したがBランクへと冒険者ランクが上がることは無かった。

 二人の話を聞く限り、試験の勝ち負けは昇格に殆ど意味をなさなそうだ。私の場合は指名依頼をするためにウォルターさんが見ていたのが要因だろう。

 確か春ハルさんもダンジョンアイテムを大量に持ち込んだ時に昇格と指名依頼の話が来たと言っていた。


 元からパーティ単位で行動する予定では無かったが指名依頼の件で私が魔の森に行っている間に行われるスタンピード対策会合に出席できなくなる。

 ユーリウスさんと話し合い、調査は一日程度を目安に行う予定になっているので王都に帰って来るのは明後日だ。なので空いた期間は私の代わりに一刀と聖に出席を頼まなければいけない。しかし、一刀は元々参加する予定だったが聖は他に予定があったはずだ。


「訳は分かったからいいよ。会合には僕が出席する。ゼロは指名依頼頑張ってよ」

「すまんな。何かあれば連絡をくれ。クランの方は使えないが通常通りフレンドメールなら使えるからな」

「オッケー。でも、まだ出発しないんでしょ?」

「そうだが、どうかしたか?」

「ミサキたちの所に装備受け取りに行くけど一緒に行く?」

「そう言えばそうだな。私も同行しよう」


 装備については迷宮の街で一度、新調するために頼んだがあの後、一度も街に戻ることなく王都に来てしまったので依頼内容を変えている。作ってもらうのは2着で変わりはないがあの時作成する予定だった装備よりも確実に強力になっていることだろう。


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