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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第五項 王都
288/378

unfinished

「今回の指名依頼だが内容は大きく分けて2つある。一つは魔の森の調査、もう一つは周辺住民の避難補助だ。避難補助については主にBランクの奴らに依頼する。お前たちは調査に尽力してくれ。ただし魔の森の深部にまでは行くな。中腹程度の様子を見て直ぐに報告しろ」


 魔の森周辺の村についてはギルドが手を打つようなので多少は安心できる。

 それに避難のための街道警備程度ならプレイヤーにも依頼が回って来るだろう。そうすれば世界派や利益を求めるプレイヤーが参加するはずなので安全性はさらに向上する。


「......それからゼロ、お前は出来るだけ深部の様子を確認してくれ。ハッキリ言ってしまえば死ぬ確率の方が高い。しかしお前たち訪問者の祝福は偵察にお誂え向きだ」

「分かっています。魔の森には一度入ったことがあるので深部でもどうにか情報を集めましょう」

「頼んだ」


 それから魔の森の調査について詳細が詰められた。

 参加するパーティは計9つで準備が出来次第パーティごとに出立するようだ。パーティによって魔の森に侵入する箇所が違い、その中でも私とユーリウスさんは普段から強力な亜人系の魔物が出現する場所の調査となった。

 私がユーリウスさんと同じ場所を調査するのは彼のパーティに一時的に参入することになったからだ。


 ユーリウスさんと話し合った結果、今日の21時頃には王都を出て目的の侵入場所近くにある村に向かい、そこで一晩休んでから調査を行うことになった。

 今回はユーリウスさんのクランでも選りすぐりの仲間が同行するようでその人数は5人だ。調査を行うにしては少ない数だが、魔物との戦闘を極力避けなければならないことを考えれば納得の人数だ。


「この依頼書を受付に渡せば依頼は受理されたことになる。通信道具もその時に渡されるから提出は忘れずに行えよ」


 話が終わり、部屋から出る前に依頼書を渡された。内容は指名依頼のもので達成条件や失敗条件などが最初に、下の方には報酬金とアイテムの貸与権利について記載されている。

 指名依頼を受けたことは無いし、Aランク依頼の相場は知らないが報酬はかなり弾まれているとみて良いだろう。今のところ装備の更新以外に使う予定はないが金は持っていても困ることはない。


 ギルドにいる内にと部屋を出て直ぐに受付に向かった。そこで依頼書を出すと何時ものように受理されて通信道具が貸し出された。それと今回の依頼は前金があるのでその振り込みもされた。ついでに冒険者ランクもAに昇格した。

 前金で800万バースはかなり高額だが死ぬことを前提とした依頼の相場など今まで無かったため計りかねているのだろう。

 何にせよ、それこそ死ぬ覚悟でスタンピードの情報を集めることに変わりはない。


 さて、21時まで時間が出来たわけだが先ほど一刀たちからCランクになったとの連絡が届いたのでクランを設立する。それにあいつらはまだギルドにいるようなので今後の話もしておかなければいけない。

 本当だったらスタンピードが終わるまで王都に滞在する予定だったのだが私が指名依頼を受けてしまったからな。まあ、王都に居てもパーティで活動することは少ないので変わりはない。役割にあった配置につくのは大規模イベントの常識だ。




 ロビーに向かうと一刀と聖が寛いでいたので合流する。


「遅かったね。もしかして試験落ちた?」

「そんな訳ないだろ。逆だ。試験の成績が良すぎて昇格してしまったパターンだ」

「何? そんなことがあるのか?」

「ここではなんだ。場所を移そう。と、その前にクランだ」


 再び受付に戻り、クランの申請をする。

 昨日聞いた話によるとクランのシステムはβの時と変わっているようだが私たちが求めていた機能はそのままだった。

 たまにパーティで活動する程度なのでクランとしての形を取る必要はないがクランを作っておくことで活動がスムーズになるのは否定できない。


「クラン申請ですね。設立費用は100万バースになりますがよろしいでしょうか?」

「私の口座から引き落としてください」


 一刀たちは自分も払うと言ってくれるが提案したのは私なので自腹だ。それに100万なら指名依頼の前金でも余裕で払えるので問題は無い。


「承知しました。ではこちらの申請書にクラン名とマスター、サブマスターのお名前をご記入ください。それとゼロ様はAランクなのでクランランクは(アイアン)からになります」

「おい、Aランクとは聞いてないぞ」

「僕も、僕も。Bランクじゃないの?」


 受付嬢の口から私のランクが語られたことにより、一刀たちが詰め寄って来るがその話は後ですると伝え申請書に名前を書かせる。


「はい、確認しました。クラン名unfinished。マスターがゼロ様、サブマスターが一刀様と聖様ですね。......申請が終了しました。こちらがクランカードです」


 そう言って受付嬢は鉄製のカードを渡してくる。そこにはunfinishedの文字と私たちの名前が記載されていた。これで遂に念願のクランが立った。

 アプデ前に設立出来たのは良かった。アプデ後は、私たちは別々の国に行く予定なので会う機会が少なくなる。そうなればクランを設立すること自体が面倒なのでズルズルと設立しないで時間が過ぎていくことになるからな。

 ちなみにunfinishedはクランであるのにクランとして活動する予定が無い、それと冒険は終わらないと言う意味から名付けた。


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