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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第五項 王都
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チェック

 雷に打たれ一時的に抵抗力が無くなったからなのか運が良いことにバルネラブルも判定に成功した。これはデバフの詰め合わせをプレゼントするしかないなと思っていると「まだ終わらない」と春ハルさんが呟いた。


「リモートスペル......フラッシュオーバー」


 彼女の真下で展開されていた赤色の魔術陣は一度消え、20メートルほど離れたところに再び現れた。そこはハーピークイーンが落下する場所と合致している。


 ブルースターターにはパラライズのような副次効果があるのかヤツの体中に電気が迸っており、痙攣している。


 ダウンバーストによって地に落とされたハーピー同様、ハーピークイーンも墜落する。それによるダメージは1割とハーピーに比べ僅かだ。

 しかし、魔術陣が展開されていた場所に墜落すると一瞬にして炎上した。それはファイヤーピーラーのように火の柱を生み出すものでは無い。対象を燃やし尽くす炎だ。


 ハーピークイーンを覆うように纏わりつく炎は絶大な威力を発揮する。

 白黒による後押しはあるがそれを抜きにしてもフラッシュオーバーは強力であり、ヤツのHPを1秒ごとに1割ずつ減らす。


「【十の鎖は土拘束。囲う武具は二十の土槍――】」


 春ハルさんには手加減と言う言葉が存在しないのか、炎上するハーピークイーンを飛び立たせないように無数の土で模られた鎖と数十の槍が飛来した。


 鎖によって拘束してしまえば射程距離などの心配も少なくて済む。

 対空なら弓だが魔術士はオールラウンダーなので場面に合わせて魔術を選べるのは強みだ。まあ、6属性も使い分けるのはかなり人を選ぶが。


「ゴズゴズゴジデ!!」


 燃える体に鎖が絡み、槍が突き刺さるのと同時にハーピークイーンは何かしらの魔導を行使した。

 見えない風圧により、殆どの槍は破壊され、3本の槍だけがヤツの左翼を貫く。幾重にも絡んだ鎖は不快な金属音を上げて切断された。


「ガゼベゴゼガブゼ!!」


 ヤツのHPは残り3割もなかったが殺しきれなかったのは痛手だ。

 フラッシュオーバーの効果が切れ、羽毛を無くし、醜い姿をさらけ出したハーピークイーンは怒りの表情を顔に宿す。

 それから緑色の魔術陣を展開した。

 ヤツの周囲に5つ、私たちの頭上に1つだ。特に頭上に展開された陣は15メートルほどある。


 私よりも先に動いたのは春ハルさんだった。


「【切り裂け、十の無剣――】」


 春ハルさんが残り少ない展開されている魔術陣から魔術を放つ。

 陣からは半透明の剣が飛び出し、ヤツを狙う。10本の剣は何にも邪魔されること無く、ヤツの身に届いた。いや、ヤツを覆う風の膜に届いたと言うのが正解か。


 剣はハーピークイーンに突き刺さること無く消失する。


「上は私が対処するので春ハルさんは前の魔術を頼みます」

「【無壁は八重に聳える。五本の無柱が建つーー】」


 春ハルさんが魔術を行使して半透明の壁を八枚直列に並べ、五本の柱を隙間なく私たちの眼前に生み出す。これで春ハルさんが最初に展開した魔術陣は10を切り、次いで新しく4つほど展開される。だがその4つは今まで以上の威力は見込めないだろう。


 さて、人のことばかり気にしていないで私も上空に展開している魔術陣の対処をしなければ。と言ってもあの大きさから察するに範囲型の魔術である可能性が高い。

 だとすれば回避するのではなく、受けてしまうのが最も確実な手段だ。万象夢幻はかすり傷でも発動してしまうからな。


「【刻々と刻まれる時 朱き陽は沈みて蒼き陰が姿を見せるーー】」


 八種の連続詠唱で拘束割をするのは難しい。なのできっぱりと諦めて動かずに詠唱を始める。

 それから少ししてハーピークイーンが展開していた魔術が発動した。予想通り、魔術陣の大きさから上の魔術の発動にはもう少し時間が掛かりそうだ。


「ジジ」


 ヤツが鳴くと魔術陣から3本の槍が生まれ、飛び出した。見た目はウィンドランスのままだがドクトゥスともなれば魔術さえも異常な威力になるのは有名だ。


 槍が打ち出され、春ハルさんが生み出した壁にぶつかる。

 一枚目が割れ、二枚目が割れ、三、四、五枚目が割れると同時に槍はその数を1つ減らし、2つになる。

 続いての六、七枚目の壁と槍が1つ消え、最後の壁を砕いて槍は私たちの目の前に飛来するが横一列に並ぶ柱に傷を付けることは出来ずに消失した。


 それでもハーピークイーンの傍には残り2つの魔術陣があり......魔術が発動した。

 生み出されたのは弾丸程度の空気の塊だ。それが二つなら特に問題は無いが、ヤツがそんな生ぬるい攻撃をするはずがない。

 どんどんと空気の塊はその数を増やしていく。

 どこか既視感があると思ったがが師匠が使ったエモニ・ルスだ。ただし、あの時よりもヤツが生み出した空気の弾丸の方が圧倒的に多い。


 無数の弾丸が打ち出される。同時にではなく、機関銃のように連続的に打ち出されるのが恐ろしい。弾丸は当たる度にギリギリと音を立てて柱を削り始めた。しかし、円形の柱は面で受けることは無くどうにか弾丸を喰らいながらも横に軌道をズラしていく。


「グゾグジジジ」


 それを見て苛立ちを隠せないハーピークイーンが飛び立とうとした。空中から好機をみるためだろう。ここで見逃すのはまずい。だが、私は詠唱中であり、どうすることもできない。

 後、少しだけ時間があれば詠唱が終わるのだが......仕方ないので私は心の中で春ハルさんに縋ることにした。彼女なら何とかしてくれると信じて。


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