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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第四項 迷宮の街
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71階層

 転移が完了し、私たちの視界に飛び込んできたのは真っ赤に煮えたぎる溶岩と立っているだけでも暑さに身を焦がれる灼熱の大地だった。他には魔物もいるが今はそれどころでは無さそうだ。


「リジェネーション。リジェネーション......」


 HP持続回復型アーツのリジェネーションを連発する。何故なら徐々にHPが減少しているからだ。

 やはりと言うか、何というか私の予想は最悪な展開で当たってしまった。どうやらこの階層は常に暑さによるスリップダメージが生じるようだ。

 今の気持ちを述べるなら、終わった。この一言に尽きる。


「その、何だ。ドンマイ!!」

「白黒が使えなくなるのか。まあ、大丈夫だろ。なんだかんだレベリングのおかげでこの階層の適正レベルより俺たちのレベルの方が高いからな」

「そうだ、な。だが、戦闘は極力控えてくれ。私が死ぬ」

「大げさじゃね? 回復すればいいだろ」

「......制約によって戦闘中の回復は無効化されている」

「......おつ」


 スリップダメージ。それは継続的にダメージを与える状態異常によくあるダメージ方式。

 正しく、私の天敵と言って差し支えない。何せ白黒は連続のダメージ判定に滅法弱いからだ。白黒を発動しようものなら一瞬で解除されるに違いない。

 だが、私が困っているのはそこではない。確かに白黒を使えなくなるのは非常に困る。今までのように連戦することは叶わないだろうし、予定は無いがフロアボスとの戦闘も苦戦では済まなくなるだろう。

 しかしだ。そんなことよりも万象夢幻で課した制約がこの火山地帯の攻略を無理難題に変えてしまった。


 ここで万象夢幻についておさらいしよう。

 このオリジナルスキルの効果は非常に強力だ。その効果が白黒によって召喚された白の十字架10個と引き換えに物理現象の原因を生み出すエネルギーの完全消失、黒の十字架10個と引き換えに魔素エネルギーの完全消失を行う。

 これだけ強力な効果を生み出すには大きな制約が必要だった。それが常時HP、MPの半減、制約によって十字架が全てなくなった時に10分間の全アーツ使用不可。そして、戦闘中のHP回復不可。


 そうなのだ。この戦闘中にHPの回復を不可能にする制約によりスリップダメージは天敵となっている。

これが状態異常ならポーション服用で対処できたかもしれない。だが、このエリアのそれは状態異常ではなく、地形、気候ダメージ。私が打てる手立ては無くなった。


「幸い、目指すべき場所は分かっている。強行突破でセーフティーエリアまで進んでしまおう。そこまで着けば71階層の登録が出来るからな。ゼロは無理でもここには不知火の防具を作るのに最適な素材が転がっているはずだ」

「だな!! 走れば直ぐ着くぜ!!」


 確かにここの魔物と戦わなければいけない訳ではないからな。戦闘を極力抑えれば問題はないか。


「ついてきな!! 道は俺が切り開く!!」

「先頭を走るのは良いが攻撃は入れるなよ?」

「分かってるって!!」




 レオを先頭に走ること約30分。徐々に魔物の分布が変わって来た。

 今まではマグマ版スライムや甲羅に小さな火山を乗せた陸亀だったのが無理やり人型にしたようなゴーレムが増えてきた。


 そのゴーレムは正しくファンタジーの世界に登場するような魔物で胴が異様に太いモノもいれば、左手が岩のように丸いモノもいる。規格が統一されていない不良品のような出来のゴーレムだった。

 中には鉱山の街でさんざん戦った人形のようなのっぺりとした顔のゴーレムもいたが、それらは岩のゴーレムとは違い金属由来のボディを持っている。


「これは戦闘を避けられそうにないな。大丈夫そうか、ゼロ?」

「複数体は厳しいが不知火がいるから単体なら問題は無い。ただ、長くても5分に止めてくれ」


 魔物の分布が変わると言うことは戦闘が起こる可能性を孕んでいたが、時間を置かずして戦闘が始まろうとしている。


 先ほどまでは移動を重視してフィールドを駆け抜けていたが、それもそこにいた魔物たちのAGIが低かったからできたことだ。スライムや陸亀のAGIなどたかが知れている。

 しかし、ここからは違う。不細工な岩ゴーレムはAGIが低いようだが金属ボディのゴーレムは鉱山の街と同じだ。つまり、どう言いう事かと言うと......。


「いやいや、きもいって!!」

「ホラー再びってね」


 マネキンのような緋色のゴーレムが走って近づいてくる。それも陸上選手も真っ青な速度でだ。

 溶岩が流れているおかげと言うべきか周囲は明るいが、これが真っ暗な場所だったら本当にホラーだな。


「ふざけてないでしっかりしろ。来るぞ。ハイヘイトアップ......っぐ」


 ゴーレムの攻撃を不知火が盾で防ぐ。しかし、助走をつけて放たれた一撃はエネルギー量が高かったようで顔を歪めながら1歩だけ蹈鞴を踏んだ。それでもHPの減りは少なくヒール1発で全快まで回復した。


 この系統のゴーレムは地味にSTRがそこまで高くない。ただし、金属の身体が示す通りVITが高い。さらに神のいたずらか支援職や後衛職よりは高いAGIを持っている。そのせいでスライムなどのように無視して進むことができていないのだ。


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