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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第四項 迷宮の街
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パーティ VS トレントンキング その9

「ほんと、油断ならないね」


 突如、一刀とレオを囲むように無数の刃が生まれた。銀ではなく、仄かに緑色を宿した魔力の塊は風の魔導に違いない。


 またしても不知火の嫌な予感は当たってしまった。しかし、迎撃の構えを継続していた聖が矢を放つ。

 アビリティボウにより属性付与と属性解放が込められた矢は途切れることなく次々と風の刃の傍に届き暴風を生み出す。

 『魔導には魔術を』などと格言があるように属性解放は魔力を消費するため魔術判定となり、瞬く間にトレントンキングの魔導を無効化してしまった。ただ、暴風の影響は味方にも届いているようでレオがよろけそうになっている。


 トレントンキングを見ればヤツのHPは残り1割を切った。さらにハイストームも目前まで迫っているので残り数秒で接触するだろう。この時間調整も流石としか言いようがない。その分MPを大量に使用したのだろうがロードは良い仕事をした。


 6つの竜巻が近づいているのを察し、風に煽られながら一刀とレオが私たちの下に向かって来る。

 二人の後ろではトレントンキングが自身よりも小さい竜巻に飲まれ始めた。HPがジリジリと削られる中、ヤツはあの手この手で竜巻を消し去ろうとするもパラメータの壁を乗り越えることは出来ず、終には力尽きた。


〈戦闘が終了しました〉


 戦闘終了のアナウンスが響くと同時にトレントンキングが黒い灰を散らしながら消えていく。周囲を見渡せばトレントンも同様にその身を灰に変えながら消えていた。

 ものの数秒で見渡す限り、緑が広がる草原に早変わりだ。さっきまで中央に巨木が聳え立ち、トレントンが生い茂っていた場所とは思えない。


「終わってみればあっけなかったね」

「攻撃を殆ど喰らわなかったからだろ」

「そもそもこちらの火力が高すぎましたからな」

「不知火のオリジナルスキルのおかげでもある」

「それにしても硬かったぜ!!」


 戦闘が完全に終わったと分かった瞬間、全員が肩の力を抜いてトレントンキング戦を振り返り始めた。

 今回の戦いは正直なところパラメータのごり押しで勝ったとも言える。特にロードの攻撃はパラメータの暴力に等しい。聖たちでも多くても1割届かないと言うのに、ロードは一人で8割強のダメージを叩き出したのだから。レベルに相応しいパラメータならば2,3割と言ったところに収まっていたに違いない。


 それにしても70階層でこの強さは他にも絡繰りがあったはずだ。今度、トレントンキングを討伐する時は情報ありで挑みたいものだ。ソロにせよパーティにせよ今回のように学の無い戦い方では時間が掛かるのは想像に容易いからな。


 戦いの話は一度置いておくとしてドロップアイテムの確認だけは済ませておきたい。レオも言っていたがトレントンキングは非常に硬く、さらに魔導も行使した。つまりだ、トレントンキングのドロップアイテムは銀樹刀の強化に使える可能性が非常に高い。

 いや、確実に使えるだろう。銀樹刀はエルダートレントンの素材を使用しているわけだし、同じトレントンの名を有するトレントンキングがダメなはずがない。ただ、問題はミスリルが無いことだ。芯になっているミスリル鋼を変える必要は無さそうだが専門家に聞いてみないとそれは分からない。


〈魔含の硬木〉 上等級 ☆5

魔含の硬木。魔力を含んだ木で魔力との親和性が高い


 インベントリから戦利品を確認したところトレントンキングのドロップアイテムは魔含の硬木と言う物だった。これがレア枠なのかは知らないが明らかに通常のドロップアイテムとは違う存在感を放っている。それに詳細には『魔力との親和性が高い』と書かれているので私が求めている素材の条件に合致する。


「ゼロ殿は何を手に入れました?」

「私は魔含の硬木と言う物を手に入れたぞ。ロードはどうだ?」

「吾輩はトレントンキングの枝でしたな。ところでその魔含の硬木は魔力媒体となりますかな?」

「なるな。だが、やらんぞ」

「いやはや、分かってはいたのですがゼロ殿も使いますか。武器を新調するために欲しかったのですが他を当たることにしましょう」


 どうやらロードは魔含の硬木が目当てだったようだ。どこで情報を手に入れたのか分からないが杖の素材としてはバツグンに相性が良いのは確かだ。純ミスリルに比べれば等級は劣るが上等級でも十分に上位武器と言える。


 私以外の面子にもドロップアイテムの確認をしているが結果は芳しくないようで肩を落として落胆している。私以外で魔含の硬木が必要な者はロード以外いないのでやはりレア枠だったか。今回ばかりは私の運も力を発揮してくれたようだ。


 それから10分ほど休憩を挟んで全員のHPとMPをほぼ全快まで回復させた。

 いろいろと話しあった結果、ここでダンジョンから出るのは勿体ないと言うことになり、71階層に進出することになった。情報では71階層からは火山地帯になると分かっているが上手く想像できない。


「この先は何があるから分からないからバフは全て掛けていこう」


 転移する前にバフを回していく。

 私たちのレベルが70を超えていることもあり、戦闘自体は今までと変わらない気がするが懸念事項が一つだけある。それによっては、火山地帯は私にとって天敵のエリアとなる。さて、どうなるだろうか。


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