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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第四項 迷宮の街
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パーティ VS トレントンキング その3

「これはダメだね。処理しきれないよ。何か攻略法があるはず」


 両手を上げて降参のポーズを取ったのは聖だ。トレントンキングが起こした地震は30秒程で収まった。しかし、その時には周囲に数えられない程のトレントンが出現しており、トレントンキングを狙うことが出来なくなっていた。


 最初はオリジナルスキル込みの聖の攻撃で容易くトレントンが沈んだため、数だけなら問題ないと考えていた。だが、倒せど倒せど蘇るトレントンを前に私たちの攻撃とやつらの再生力が拮抗し始めた。

 その間にも厄介なことにトレントンキングは自己回復を進め、最終的にHPを全快にしてしまった。


「どうすれば良いか分からん」

「一度、情報を整理しよう。ロードは広範囲魔術でトレントンの行動を阻害してくれ。不知火とレオはロードの護衛だ」

「任しときな!! 葉の一枚たりとも触れさせねえぜ!!」


 聖の言葉通り、このフロアボスには攻略法があるはずだ。

 何せ不意打ちを受けたとは言え白黒の効果が健在の状況下で戦闘が拮抗しているのは可笑しい。

 これでもし攻略法が無く、トレントンキングをひたすら殴るのが正解だとしたら70階層などと言う低階層にいるはずがない。それにゲーム的にも面白味が欠ける。


「ゼロはどう思う?」

「鍵はトレントンだろう。普通のやつは再生しない。そうだよな、一刀?」

「ああ、俺が知っている情報の中には再生するトレントンはいなかったな」

「やっぱり? でも、それが分かった所でね」


 ロードが広範囲魔術をばら撒いてトレントンの攻撃を相殺している間に情報整理を行う。

 まずは本命のトレントンキングについてだ。今までの攻防から分かったことはヤツは火属性に耐性があり、弱点となる属性は無い。

 これはロードが各魔術を行使して確認したので間違いないはずだ。ちなみに、どの属性でも殆どダメージに変動が無かった。

 それから物理攻撃に対してもかなりの耐性を持っている。矢などの飛び道具は勿論のことレオの攻撃でも1割も削れていない。

 パラメータが上昇してこれなのでバフが無ければ戦闘にならないだろう。それに加えて常時HPが回復するので脳筋戦法は取れない。


 次に考えるのはトレントンだ。確信をもって言えるがこいつがこの戦いのキーとなる。

 まずはこいつが持っている能力の一つが再生だ。これは読んで字の如く枝を燃やされようが幹を切断されようが直ぐに再生する。

 次に風の魔導が使える。これは鎌鼬を飛ばしたり、突風をお起こしたりと幅広く行使してくる。ちなみにだが一刀の詳細鑑定で確認したためトレントンの正式名称はトレントンで間違いない。


「問題は再生能力だな。あれを無効化できれば勝利に近づくはずだ」

「でも、あれをどうにかするのは難しいね。ロードの火魔術で焼き殺しても直ぐに再生しちゃうから」

「そこを注視してもう一度戦ってみるか。俺は他のトレントンを視てくる」

「それなら聖はエリア端の様子を見てきてくれ。護衛役は不知火だな」


 話し合いの結果、まずは情報収集に励む事になった。

 トレントンは再生能力が高く、魔導を行使できるがそこまで威力は無く、10体程度なら同時に戦っても問題なく処理できる。

 なので、戦闘維持は私、レオ、ロードの三人で行う。その間に一刀は他のトレントンたちにヒントが無いか確認しに行き、聖には不知火と共にエリアの端にいるトレントンの確認に行ってもらう。


 戦っていて分かったことだがトレントンキングに近づく程にトレントンの量が増えて攻撃頻度も上昇する。

 トレントンキングから30メートルのこの場所ならまだ、問題ない。さらにここからならロードの魔術も十分にトレントンキングを狙うことが出来て検証に役立つ。


「一刀たちが戻って来るまで持久戦だ。レオは離れすぎないように注意しながら遊撃に当たってくれ。ロードはMPを節約しながら牽制だ。私はもしものために守りを固めておく」

「分かってるぜ!!」

「レオ殿は近場のトレントンたちの排除をお願いしますぞ。【彩色の剣が舞う その身を刻み 燃やし 凍てつき 拘束し 迸り やがて無に帰す〈セクステットダブルマジック ソード・ハイソード六属〉】」


 レオが私の近くにいたトレントンを斬り捨てるのと同時にロードが魔術を行使した。

 ロードの周囲に展開された魔術陣からそれぞれの属性で模られた剣が生み出され、剣先がトレントンに向かう。それは数秒した後に一斉に射出され再び再生し始めた遠方のトレントンに突き刺さった。


 再生中のトレントンに攻撃してもダメージは通るのでパラメータ強化が乗った状態で行使された魔術を受けてトレントンは炎上したり、細切れになったりと属性攻撃を受ける。だが、見ている限りトレントンのHPバーが砕けることは無い。


「こいつら死ななくね!?」

「再生能力も厄介ですがこの不死性がある限り吾輩たちが攻撃に専念することは出来ませんぞ」

「体力が一定以下になれば一時的に行動停止になるようだからそこを攻めるしかないな。とりあえず攻撃を続けよう。一刀たちが戻ってくればこの状況も進展するはずだ」


 実はこのトレントンには再生能力や魔導を行使する以外にも不死と言う特性を持っている。

 これはHPが一定以下にならないと言う効果のようでいくら攻撃しようが死ぬことが無かった。

 ただ、死なないだけで部位破壊と言うべきか、やつらを伐採するように切断してしまえば戦線復帰までかなりの時間が稼げるので問題ない。


 トレントンキングと本格的に戦闘が開始するようになれば邪魔になるだろうが、それについても問題ないと考えている。

 飽くまでもこれは推測に過ぎないがトレントンの不死性を維持するのにも絡繰りがあり、その絡繰りを破ればトレントンの不死性及び再生、トレントンキングの自動回復も無効化できると踏んでいる。


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